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エンジニア転職でのアクセシビリティ専門家への転身戦略:障害者支援技術から高年収を実現する実践的キャリアチェンジ術

この記事のまとめ

  • アクセシビリティ分野は社会的意義が高く、企業の法的義務としても需要が急増している専門領域
  • 障害者雇用促進法やウェブアクセシビリティJIS X 8341により、企業のアクセシビリティ対応は必須となっている
  • アクセシビリティ専門家は年収600万円~1200万円の高待遇が期待でき、社会貢献とキャリア成功を両立できる

エンジニアとして転職を考えている方の中には「社会により良い影響を与える技術者になりたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

アクセシビリティ専門家への転身は、そんな想いを実現できる理想的なキャリアパスです。障害者支援技術の習得は、単なる技術スキル向上にとどまらず、社会インクルージョンを技術で実現する意義深い仕事につながります。

この記事では、エンジニアがアクセシビリティ分野への転職を成功させるための具体的な戦略と、高年収を実現するための実践的なスキル習得法を詳しく解説します。読み終える頃には、インクルーシブデザイン分野でのキャリア構築への明確な道筋が見えているでしょう。

なぜアクセシビリティ専門家への転職が今注目されているのか?

アクセシビリティ分野は、社会的責任と企業価値向上の両方を実現する、現代社会において最も重要な技術領域の一つです。そういえば最近、大手企業でもウェブサイトのアクセシビリティ対応が話題になることが増えているのにお気づきでしょうか。

実は、これは単なるトレンドではありません。障害者差別解消法の改正により、2024年4月から民間事業者に対する合理的配慮の提供が法的義務となったのです。この変化は、IT業界に新たな専門職需要を生み出しています。

アクセシビリティ分野の市場規模と将来性

総務省の調査によれば、日本の障害者人口は約964万人に達し、高齢化に伴ってこの数は今後も増加が予想されています。これは全人口の約7.6%に相当し、決して小さくない市場規模を示しています。

ところで、企業がアクセシビリティ対応を進める理由は法的義務だけではありません。アクセシブルなサービスは、障害者だけでなく高齢者や一時的な機能制約を持つ人々にも恩恵をもたらすため、結果的にユーザーベース全体の拡大につながるのです。この「アクセシビリティ=ビジネスチャンス」という認識が広まったことで、専門人材への需要が急激に高まっています。

企業のアクセシビリティ対応は法的義務へ進化

障害者差別解消法の改正は、IT業界に大きな変化をもたらしました。特に、ウェブアクセシビリティに関しては、JIS X 8341(日本工業規格)への準拠が事実上の業界標準となっています。この基準は、視覚障害者、聴覚障害者、運動機能障害者など、さまざまな障害を持つ人々がWebサイトやアプリケーションを利用できるよう設計するためのガイドラインです。

興味深いことに、海外では既にこうした動きが先行しています。アメリカのADA(Americans with Disabilities Act)、EUのEuropean Accessibility Actなど、グローバル企業にとってアクセシビリティ対応は避けて通れない要件となっているのです。つまり、日本企業もグローバル展開を視野に入れる場合、アクセシビリティ専門家の存在が競争優位性に直結するということになります。

高年収が期待できるアクセシビリティ専門職の需要拡大

転職市場でアクセシビリティ専門家がどれほど求められているかをご存じでしょうか。実際の求人動向を見ると、アクセシビリティエンジニアの年収相場は600万円から1200万円と、一般的なWebエンジニアと比較して20-30%程度高い水準にあります。

これは単純にスキルが希少だからというだけではありません。アクセシビリティ専門家は、技術的な実装能力に加えて、ユーザビリティ設計、法的要件の理解、そして何より「多様な人々の体験を想像し、共感する能力」という人間的な素養が求められるからです。こうした複合的なスキルセットを持つ人材は市場に少なく、企業は高い報酬を提示してでも確保したいと考えているのです。

アクセシビリティ専門家として活躍できる職種とキャリアパス

アクセシビリティ分野は、一つの専門領域でありながら、様々な職種でその知識が活かされます。エンジニアの皆さんが既にお持ちの技術スキルは、アクセシビリティ分野でも十分に活用できるのです。

実は、アクセシビリティは「特別な技術」というより、既存の開発・デザインプロセスにインクルーシブな視点を加えることから始まります。ですから、現在フロントエンド開発、バックエンド開発、UI/UXデザイン、QAエンジニアとして働いている方々にとって、アクセシビリティ専門性を追加することは、キャリアの幅を大きく広げる投資となるでしょう。

ここでは、アクセシビリティ知識を活かせる具体的な職種と、それぞれで期待される役割・年収水準について詳しく解説します。

アクセシビリティエンジニア(フロントエンド特化)

アクセシビリティエンジニアは、ウェブサイトやアプリケーションが、視覚障害者、聴覚障害者、運動機能障害者を含むすべてのユーザーにとって使いやすくなるよう技術実装を担当します。具体的には、スクリーンリーダー対応のHTML構造設計、キーボードナビゲーションの実装、色覚異常への配慮などを行います。

この職種は、従来のフロントエンドエンジニアのスキルに加えて、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)の深い理解と、障害者の実際の利用パターンを学習する必要があります。そういえば、多くの企業でスクリーンリーダーのテスト環境を構築できる人材がいないという話をよく聞きませんか。こうした専門知識を持つエンジニアは、年収800万円から1200万円の高待遇で迎えられることが多いのです。

実際の業務では、WAI-ARIA属性の適切な使用、フォーカス管理の実装、動的コンテンツの読み上げ対応など、通常の開発とは異なる高度な技術的配慮が必要になります。しかし、一度身につければ、どの企業でも重宝される希少なスキルセットとなるでしょう。

インクルーシブデザイナー

インクルーシブデザイナーは、多様な能力や特性を持つユーザーが等しく利用できるサービスデザインを創造する専門家です。従来のUI/UXデザイナーとは異なり、最初から「誰も排除しないデザイン」を意識してユーザー体験を設計します。

興味深いのは、インクルーシブデザインの手法が、障害者だけでなく、高齢者、外国人、技術に不慣れなユーザーなど、幅広い層にとって使いやすいサービスにつながることです。結果として、企業のユーザーベース拡大に直結するため、経営層からも高く評価される役割となっています。

この職種では、ペルソナ設計の段階から多様性を組み込み、プロトタイプ作成時から様々な支援技術との互換性をテストします。デザインツールの習得に加えて、障害学や認知科学の基礎知識も必要になる、学際的な専門性が求められる分野です。年収は750万円から1100万円程度が相場となっています。

アクセシビリティコンサルタント

企業のアクセシビリティ戦略全体を設計し、法的コンプライアンスから実装まで総合的にサポートするのがアクセシビリティコンサルタントです。技術的な知識に加えて、障害者差別解消法やJIS X 8341などの法的要件を深く理解し、企業のリスク管理と社会的責任の実現を両立させる役割を担います。

この職種の魅力は、単なる技術指導にとどまらず、企業文化の変革に関わることができる点です。アクセシビリティの推進は、組織全体の多様性への理解を深め、結果として更なるイノベーションを生み出すことが多いのです。そのため、経営コンサルタントとしての側面も強く、年収1000万円を超えるポジションも珍しくありません。

支援技術専門エンジニア

支援技術専門エンジニアは、障害者が日常生活で直面する課題を、最新のテクノロジーで解決する製品やサービスの開発に従事します。視覚障害者向けの音声ナビゲーションシステム、聴覚障害者向けのリアルタイム字幕生成システム、運動機能障害者向けの視線入力デバイスなど、人々の生活の質を直接向上させる技術を創造する仕事です。

この分野では、単なるソフトウェア開発にとどまらず、ハードウェア設計、AI・機械学習、IoT技術など、幅広い技術領域の知識が活用されます。特に、障害のある方々と直接対話しながら開発を進めるため、コミュニケーション能力と共感力が重要な要素となっています。年収は700万円から1300万円と、技術的専門性に加えて社会的意義の高さから高い評価を受けています。

また、支援技術分野は政府の障害者施策とも密接に関わるため、安定した需要が見込まれる分野でもあります。厚生労働省の「障害者総合支援法」に基づく補装具費支給制度など、公的な支援もあり、持続可能な事業展開が可能な領域です。

アクセシビリティQAエンジニア

アクセシビリティQAエンジニアは、開発されたウェブサイトやアプリケーションが、本当に多様なユーザーにとって使いやすいかを検証する専門家です。通常のQAエンジニアの技能に加えて、スクリーンリーダー、音声認識ソフト、特殊なキーボード、視線追跡装置など、様々な支援技術を使いこなしてテストを行います。

面白いことに、このポジションでは実際に視覚障害者や聴覚障害者の方々と協働してテストを実施することも多く、技術的なスキルと人間的な洞察力の両方を育てることができます。ユーザビリティテストの結果を開発チームにフィードバックし、より包括的な製品へと改善していく過程で、大きなやりがいを感じることができる職種です。

年収は650万円から950万円程度で、特にエンタープライズ向けシステムや金融・公共系システムでは、アクセシビリティ対応が法的要件となることが多いため、安定した需要があります。

ソフトウェア業界

パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。

プログラマー

プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。

システムエンジニア(SE)

システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。

テクニカルライター

テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。

セキュリティエンジニア

セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。

OAインストラクター

OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。

CAD設計エンジニア

CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。

ハードウェア業界

ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。

ハードウェアエンジニア

ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。

組み込みシステムエンジニア

組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。

IT業界の年収は職種によって大きく異なる

マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。

職種名 平均年収
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) 670万円
プリセールス 599万円
社内システム企画 512万円
サーバーエンジニア 462万円
システムエンジニア(制御・組み込み) 455万円

またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。

年代 平均年収
20歳~24歳 307万円
25歳~29歳 373万円
30歳~34歳 449万円
35歳~39歳 528万円

IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。

参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント

未経験から転職しやすいIT業界の職種4選

転職しやすいIT職種

IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。

エンジニアやプログラマー

多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。

「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。

IT営業

ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。

自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。

IT事務

IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。

テクニカルサポート

テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。

IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。

未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント

転職成功のポイント

未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

未経験者を募集している求人を探す

未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。

さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。

教育制度の有無を確認して企業を選ぶ

未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。

逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。

IT業界に役立つ資格を取得する

IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。

  • ITパスポート
  • 基本情報技術者試験
  • マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
  • 応用情報技術者試験

また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。

  • 論理的思考力
  • プログラミングスキル
  • コミュニケーション能力
  • プレゼンスキル
  • 資料作成能力
  • 英語力

IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。

文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする

IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。

たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。

また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。

【例文あり】志望動機を明確にしておく

未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。

  • 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
  • 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
  • 自分自身のエピソードを盛り込む

3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。

プログラマー

【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。

現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。

システムエンジニア

【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。

現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。

上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。

【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要

未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。

プログラマー

【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。

目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。

システムエンジニア

【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。

転職エージェントを活用した準備がおすすめ

未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。

また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。

未経験からIT業界へ転職するメリット

転職のメリット

まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。

在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も

IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。

また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。

キャリアプランを立てやすい

IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。

未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点

転職の注意点

働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。

未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい

転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。

転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。

人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある

IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。

思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。

未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決

IT業界への疑問

未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。

副業やアルバイトから始められる?

未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。

フリーランスとして活躍するには?

ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。

高卒でもIT業界を目指せる?

IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。

未経験でもインターンを受けることは可能?

IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。

まとめ

アクセシビリティ専門家への転職は、技術的なスキルアップと社会貢献の両方を実現できる、現代のエンジニアにとって理想的なキャリアパスです。障害者差別解消法の施行により企業のアクセシビリティ対応が法的義務となった今、この分野の専門人材への需要は今後も継続的に成長していくことが予想されます。

既存の開発スキルにアクセシビリティの知識を加えることで、年収600万円から1200万円の高待遇ポジションへの転職が現実的に目指せます。重要なのは、技術習得だけでなく、実際の障害者コミュニティとの接点を持ち、当事者の声を聞きながら実践経験を積むことです。

アクセシビリティ分野での転職成功には、WCAG理解、支援技術の知識、そして何より「誰も取り残さない技術」への情熱が不可欠です。この記事で紹介した戦略を参考に、社会的意義と経済的成功を両立する理想的なエンジニアキャリアを実現してください。

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