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コードの可読性評価基準 - 面接官が重視するクリーンコードとは

コーディング試験で正解のコードを書けたのに、なぜか評価が低かった。そんな経験をしたことはありませんか。実は、面接官がコーディング試験で見ているのは「正しく動くかどうか」だけではありません。コードの可読性、つまり「読みやすさ」が評価の大きな割合を占めているのです。

プロダクション環境では、書いたコードを他のエンジニアが読み、修正し、拡張していきます。面接官はその視点でコードを見ています。どんなに効率的なアルゴリズムを実装しても、読めないコードは現場では使い物にならないと判断されるのです。この記事では、面接官が具体的にどんな基準でコードの可読性を評価しているのか、そしてクリーンコードを書くための実践的なテクニックを解説していきます。

なぜ面接官はコードの可読性を重視するのか

面接官がコードの可読性を重視する理由は、日常業務の現実に根ざしています。ソフトウェア開発の現場では、コードを「書く時間」よりも「読む時間」の方が圧倒的に長いという調査結果があります。Robert C. Martin氏の著書「Clean Code」でも、コードを読む時間と書く時間の比率はおよそ10対1だと述べられています。つまり、読みやすいコードを書ける人材は、チーム全体の生産性に直接貢献できるのです。

ところで、面接官自身がコードレビューの経験を豊富に持っていることも見落とせないポイントです。彼らは日々、プルリクエストで他人のコードをレビューしています。そのため、読みにくいコードに対する感度が非常に高く、変数名ひとつ取っても「これは現場で通用するか」という判断を瞬時に下します。面接という短い時間の中で、候補者がチームに加わったときの働き方をイメージしているわけです。

そういえば、ある大手テック企業の採用担当者が「正解にたどり着けなくても、コードが美しければ合格にすることがある」と語っていたことがあります。逆に言えば、正解であっても可読性が低ければ不合格になり得るということです。コーディング試験で問われているのは、単なるプログラミング能力ではなく、プロフェッショナルとしてのコード品質への意識なのです。

命名規則の重要性と面接での評価ポイント

コードの可読性を左右する最も大きな要因のひとつが、変数名や関数名の命名です。適切な名前がつけられたコードは、コメントがなくても何をしているかが一目でわかります。面接官は命名のセンスを見ることで、候補者のプログラミング経験の深さや、他者への配慮ができる人物かどうかを判断しています。

たとえば、配列の中から特定の条件を満たす要素を探す関数を書くとき、変数名に「d」や「tmp」を使う人と「filteredUsers」や「activeAccounts」を使う人では、コードの印象がまったく異なります。前者のコードは書いた本人しか理解できませんが、後者のコードはチームの誰が読んでもすぐに意図を把握できます。面接官が見ているのは、まさにこの違いです。

実は、命名に関して面接官が注目する観点はいくつかの明確なパターンに分かれます。変数名が処理の内容を正確に反映しているかどうか、一文字変数をループカウンタ以外で使っていないか、略語を多用していないか、といった点です。日本語話者のエンジニアにありがちなのが、ローマ字での命名です。「kensaku」や「toroku」のような名前は、国際的な開発チームでは通用しません。面接ではこうした細かい部分まで評価の対象になることを覚えておいてください。

変数名で意図を伝える技術

変数名を考えるときに意識すべきなのは「この変数は何を保持しているのか」を名前だけで伝えることです。たとえばブーリアン型の変数であれば、「flag」ではなく「isActive」や「hasPermission」のように、真偽値であることが名前から推測できるようにします。この命名パターンを一貫して使えるかどうかで、候補者のコーディング習慣の質がわかるのです。

コレクション型の変数についても同様のことが言えます。リストや配列を格納する変数には、複数形の名前を使うのが一般的な慣習です。「user」ではなく「users」、「item」ではなく「items」とすることで、コードを読む人はそこにコレクションが入っていることを瞬時に理解できます。面接のような緊張する場面でも、こうした基本的な命名規則を自然に実践できることが高評価につながります。

数値を扱う変数では、単位や目的を名前に含めることが効果的です。「time」という変数名だけでは、秒なのかミリ秒なのか、経過時間なのかタイムスタンプなのか判断できません。「elapsedTimeInSeconds」や「requestTimeoutMs」のように、単位まで含めた名前をつけることで、誤解によるバグを未然に防げます。面接官はこういった防御的なコーディングスタイルを非常に高く評価します。

関数名で処理の目的を明確にする

関数名は変数名以上に重要で、その関数が「何をするのか」を正確に伝える必要があります。よくある失敗例として「process」や「handle」のような汎用的すぎる名前をつけてしまうケースがあります。「processData」という関数名では、データに対して何をするのかがまったくわかりません。「validateUserInput」や「calculateMonthlyRevenue」のように、動詞と目的語を組み合わせた具体的な名前が求められます。

面接官が関数名で特に注目するのは、名前と実際の処理内容の一致度です。「getUserName」という関数の中でデータベースへの書き込み処理が行われていたら、それは名前と実装の不一致であり、重大な可読性の問題です。関数名は契約のようなもので、読む人がその名前から期待する動作と実際の動作が一致していなければなりません。

そういえば、関数の命名に迷ったときに使える便利な指標があります。もし関数名が思いつかないとしたら、それはその関数が複数のことをやりすぎているサインかもしれません。ひとつの関数がひとつのことだけを行うという原則を守れば、自然と適切な名前がつくものです。面接中にこの考え方を実践できれば、設計力の高さもアピールできます。

関数分割と適切な抽象化レベル

関数を適切に分割することは、クリーンコードの核心と言っても過言ではありません。面接官がコーディング試験で見ているのは、候補者が「ひとつの長い関数にすべてを詰め込むタイプ」なのか、「適切な粒度で関数を分割できるタイプ」なのかという点です。後者のスタイルは、チーム開発での保守性に直結するため、非常に高く評価されます。

関数の適切な長さについてはさまざまな意見がありますが、一般的な目安としては20行以内に収まることが望ましいとされています。ただし、これは厳密なルールではなく、重要なのは関数がひとつの明確な責務だけを持っているかどうかです。面接中にこの原則を意識してコードを書くことで、設計に対する理解の深さを示すことができます。

実は、関数分割は面接中にリファクタリングのスキルを見せる絶好の機会でもあります。最初は動くコードをベタ書きして、その後で「ここを関数に切り出しますね」と声に出しながらリファクタリングする。このプロセスを面接官に見せることで、普段の開発フローを疑似体験させることができるのです。面接官はその姿を見て「この人は実務でも同じように品質を意識するだろう」と判断します。

単一責任の原則を関数に適用する

単一責任の原則とは、ひとつの関数はひとつのことだけを行うべきだという考え方です。たとえば、ユーザーの入力を検証してデータベースに保存する処理があるとき、これをひとつの関数に書いてしまうのは避けるべきです。「validateInput」と「saveToDatabase」という二つの関数に分けることで、それぞれの関数の責任が明確になり、テストも書きやすくなります。

面接の場面では、この原則を適用するタイミングが何度も訪れます。問題を解く過程で「この部分は別の関数に切り出した方がいいですね」と判断できるかどうかが、評価を大きく左右します。面接官は完璧なコードを期待しているわけではなく、こうした設計判断ができるかどうかを見ているのです。

ところで、関数を分割しすぎることにも注意が必要です。1行しかない関数をたくさん作ってしまうと、かえってコードの流れが追いにくくなります。分割の判断基準は「この関数の処理内容を一言で説明できるか」です。説明するのに「〜して、それから〜して」と複数の動作を列挙しなければならない場合は、分割の余地があると考えてよいでしょう。

抽象化レベルを揃える

ひとつの関数の中に、抽象度の高い処理と低い処理が混在していると、コードの可読性は一気に下がります。たとえば、ビジネスロジックの関数の中に文字列のパース処理が直接書かれていたら、読む人は思考のレベルを行ったり来たりしなければなりません。抽象化レベルを揃えるとは、同じ関数内では同じ粒度の処理だけを記述するということです。

具体例を挙げると、注文処理の関数があったとして、その中に「在庫を確認する」「割引を適用する」「決済を実行する」という処理が書かれているのは適切な抽象度です。しかし、その中に「文字列をカンマで分割して配列にする」という低レベルの処理が混ざっていると、読み手は混乱します。低レベルの処理はヘルパー関数に切り出して、メインの関数は高レベルの流れだけを記述するのが理想です。

面接では、この抽象化レベルの統一を意識できていることを示すと、コードアーキテクチャへの理解度をアピールできます。面接官は「この人はメソッドの設計について深く考えている」と感じ、シニアレベルの候補者として評価する可能性が高まります。

コメントの書き方で差がつく評価ポイント

コメントに関する面接での評価は、多くの候補者が見落としがちなポイントです。「コメントは多い方がいい」と思い込んでいる人が少なくありませんが、実は面接官の多くは不要なコメントをマイナス評価の対象としています。良いコードはコメントなしでも読めるものであり、コメントが必要な時点でコード自体に改善の余地があるという考え方が、クリーンコードの世界では主流です。

とはいえ、コメントが一切不要というわけではありません。面接官が高く評価するコメントは「なぜそのアプローチを選んだのか」という意思決定の背景を説明するものです。コードの「何をしているか」はコード自体が語るべきですが、「なぜそうしているか」はコードだけでは伝えきれないことがあります。たとえば、あえて効率の悪いアルゴリズムを選んだ理由や、特定のエッジケースへの対処としてその実装にした理由などは、コメントとして残す価値があります。

そういえば、面接中にコメントの使い方ひとつで「この人は現場経験が豊富だな」と印象づけた候補者のエピソードを聞いたことがあります。その人はコーディング中に「ここは計算量がO(n log n)になりますが、入力サイズが小さいのでこのアプローチを選びました」というコメントを一行だけ書いたそうです。この一行で、計算量への理解、トレードオフの判断力、コミュニケーション能力のすべてをアピールできたのです。

避けるべきコメントパターン

面接で減点される代表的なコメントパターンがいくつかあります。ひとつ目は「コードをそのまま英語にしただけ」のコメントです。たとえば「// increment counter by 1」というコメントは、コードを見ればわかることを繰り返しているだけで、何の情報も追加していません。こうしたコメントは面接官に「コメントの目的を理解していない」という印象を与えてしまいます。

二つ目は、古くなった情報を含むコメントです。面接の場面で直接的に問題になることは少ないですが、「当初はこうしようと思いましたが」のようなコメントを残したまま別のアプローチに切り替えると、コメントとコードの不整合が生まれます。面接中にコードを修正した場合は、関連するコメントも一緒に更新するか削除する習慣を見せることが大切です。

三つ目は、コメントアウトされたコードをそのまま残すことです。面接中に別のアプローチを試したくなることはよくありますが、以前のコードをコメントアウトして残しておくのは避けるべきです。バージョン管理がある前提で考えれば、不要なコードは削除するのが正しいスタイルです。面接官にとって、コメントアウトされたコードが残っているのは、コードの整理ができない候補者というシグナルになります。

コードの構造化とフォーマット

コードの物理的な構造、つまりインデントや空行の使い方、コードブロックの並び順なども、面接官が意識して見ているポイントです。こうしたフォーマットの要素は、コードの論理的な構造を視覚的に表現するものであり、可読性に直接影響を与えます。

インデントの一貫性は最も基本的な評価項目です。スペース2つを使うのかスペース4つを使うのか、あるいはタブを使うのか、それ自体はどれでも構いません。重要なのは、コード全体を通じて同じスタイルが一貫して使われていることです。面接中に途中からインデントの幅が変わったり、ネストの深さが揃っていなかったりすると、注意力や丁寧さに欠けるという印象を与えてしまいます。

実は、空行の使い方も可読性に大きく影響します。関連する処理のまとまりを空行で区切ることで、コードの論理的なブロックが視覚的に明確になります。長い関数の中で空行を一切使わないと、どこからどこまでがひとつの処理単位なのかがわかりにくくなります。逆に、すべての行の間に空行を入れると散漫な印象を与えます。適切な空行の使い方は、文章における段落分けのようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。

早期リターンでネストを浅く保つ

深くネストされたコードは読みにくく、面接官にも悪い印象を与えます。if文の中にif文があり、その中にさらにif文がある、という構造は「矢印コード」と呼ばれ、クリーンコードの対極にあるスタイルです。この問題を解決する有効なテクニックが、早期リターン(ガード節)です。

早期リターンとは、関数の冒頭で不正な入力や例外的なケースを先にチェックして、条件を満たさない場合はすぐに関数を終了するパターンです。これにより、メインのロジックはネストが浅い状態で書くことができ、コードの可読性が大幅に向上します。面接中にこのテクニックを自然に使えると、「コードの可読性を意識して書ける人だ」という評価を得られます。

ところで、早期リターンのパターンは面接官との会話のきっかけにもなります。「ここは早期リターンで処理を整理しました」と説明することで、自分のコーディングスタイルに対する意識の高さを示せます。面接官がフォローアップの質問をしてくることもありますが、それは興味を持ってくれている証拠です。

一貫性のあるコーディングスタイル

面接中に使用する言語のコーディング規約をどれだけ理解しているかも、評価の対象です。PythonであればPEP 8、JavaScriptであればAirbnbスタイルガイドなど、言語ごとに広く受け入れられているスタイルガイドがあります。これらの規約に従ったコードを自然に書けることは、その言語のエコシステムに精通していることの証明になります。

一貫性という観点では、たとえばJavaScriptで文字列をシングルクォートで書き始めたなら、コード全体を通じてシングルクォートを使い続けるべきです。途中でダブルクォートに切り替わると、面接官は「この人は細部への注意力が足りない」と判断する可能性があります。些細なことに思えるかもしれませんが、プロフェッショナルなコードとは、こうした細部の積み重ねで成り立っているのです。

面接中は緊張もあってスタイルの一貫性が崩れやすくなります。普段からクリーンなコーディングスタイルを身につけておくことで、面接の場でも自然に美しいコードを書けるようになります。日頃の練習時にリンターやフォーマッターに頼らず、手動でスタイルを整える訓練をしておくと、面接本番で大いに役立つでしょう。

エラーハンドリングの書き方で見せる実務力

エラーハンドリングは、面接でのコードの可読性を語る上で欠かせない要素です。エラーが起きたときの処理をどう書くかで、候補者の実務経験の深さが如実に表れるからです。面接官は、ハッピーパスだけでなくエッジケースやエラーケースをどのように扱うかを注意深く見ています。

エラーハンドリングの可読性で重要なのは、正常系の処理とエラー処理が明確に分離されていることです。try-catch ブロックの中に大量のコードを詰め込むのではなく、エラーが発生しうる最小限のコードだけをtryブロックに入れる書き方が好まれます。これにより、どの処理がエラーを発生させる可能性があるのかが一目でわかるようになります。

実は、エラーハンドリングは面接官との技術的な対話を引き出すための良いきっかけにもなります。「この部分ではnullが渡される可能性があるので、事前にチェックしています」と説明することで、防御的プログラミングの意識を示せます。面接官が「他にどんなエッジケースがありますか」と質問してきたら、それはあなたの思考プロセスに興味を持っている証拠なので、積極的にアイデアを共有しましょう。

面接でクリーンコードを実践するための準備法

面接本番でクリーンコードを書くためには、日頃からの意識的な練習が不可欠です。競技プログラミングの練習とは異なり、コードの可読性を向上させる練習は「速く解くこと」よりも「美しく書くこと」に焦点を当てます。LeetCodeやAtCoderで問題を解く際も、正解した後に「このコードをもっと読みやすくできないか」と自問する習慣をつけるとよいでしょう。

具体的な練習方法としては、自分が書いたコードを翌日に読み返すという手法が効果的です。書いた直後は自分のコードの意図がわかっていますが、時間を置くと「なぜこの変数名にしたのだろう」「この関数は何をしているのか」と疑問が生まれることがあります。その疑問こそが、可読性を改善すべきポイントです。面接官の視点でコードを見る練習にもなります。

ところで、クリーンコードの学習に役立つ書籍やリソースも紹介しておきます。Robert C. Martin著「Clean Code」は定番中の定番ですし、Martin Fowler著「Refactoring」も関数分割や命名の改善について豊富な知見を提供してくれます。これらの書籍の内容を理解した上で面接に臨めば、面接官と同じ言語でコード品質について議論できるようになるでしょう。

まとめ

コーディング試験で面接官が重視するコードの可読性は、正しい答えを出すことと同等以上に重要な評価基準です。命名規則では変数名や関数名で処理の意図を伝えること、関数分割では単一責任の原則を適用して適切な粒度を保つこと、コメントでは「なぜ」を説明する必要最小限のものに留めること、フォーマットではインデントやスタイルの一貫性を保つことが求められます。

これらのスキルは一朝一夕で身につくものではなく、日頃からの意識的な練習が欠かせません。自分が書いたコードを時間を置いて読み返す、他の人のコードレビューを積極的に行う、クリーンコードに関する書籍を読み込むといった地道な努力が、面接本番での評価を大きく左右します。コードの可読性を高めることは、面接対策であると同時に、エンジニアとしての根本的なスキル向上でもあるのです。

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