外資系企業やグローバルチームのエンジニアポジションに応募すると、コーディング面接が英語で行われることがあります。技術力には自信があるのに、英語で自分の思考プロセスをうまく伝えられず悔しい思いをした経験はないでしょうか。コーディング面接では「何を考えているか」を声に出すことが評価の大きなウェイトを占めるため、英語での表現力が直接スコアに影響するのです。
幸いなことに、コーディング面接で使う英語表現にはある程度のパターンがあります。問題を理解する段階、アプローチを説明する段階、コーディング中、デバッグ時など、場面ごとに定番のフレーズを身につけておけば、面接当日に英語で困ることは大幅に減らせます。この記事では、各場面で使える実践的なフレーズを紹介しながら、自然な英語コミュニケーションのコツも解説します。
問題を理解する段階で使えるフレーズ
コーディング面接の最初のステップは、出題された問題を正確に理解することです。ここでのコミュニケーションは面接全体の流れを左右する重要な部分であり、曖昧な点を放置したまま進めると、後から大幅な手戻りが発生する可能性があります。面接官に質問すること自体は減点にならず、むしろ丁寧に要件を確認する姿勢は高く評価されます。
問題文を読んだ後に内容を確認するとき、「Let me make sure I understand the problem correctly.」というフレーズが非常に使いやすいです。このフレーズに続けて自分の理解を述べ、面接官に確認を求める流れが自然です。たとえば「Let me make sure I understand the problem correctly. We're given an array of integers, and we need to find two numbers that add up to a target value. Is that right?」のように使います。
入力と出力の形式を確認するときは、「Could you clarify the expected input and output format?」が定番です。特に入力データの型やサイズの制約について尋ねるときは、「What are the constraints on the input size?」や「Can we assume the input is always valid?」といった表現が役立ちます。これらの質問は、実務で仕様書を読む際にプロダクトマネージャーに確認するプロセスと同じであり、面接官は候補者の慎重さを評価してくれます。
エッジケースを確認する表現
エッジケースについて事前に確認する姿勢は、面接官に非常に好印象を与えます。「What should we return if the input is empty?」や「How should we handle duplicate values?」といった質問は、候補者が問題の境界条件を意識していることを示す強力なシグナルです。
ヌル値や空の入力に関しては、「Should I handle the case where the input is null or empty?」が使いやすい表現です。重複データの取り扱いについては「Are there any duplicate elements in the input, and if so, how should they be handled?」と聞くことで、問題の理解が深いことを示せます。
負の数や非常に大きな数値の扱いについても、「Can the values be negative?」「Should I consider integer overflow?」と確認しておくと安心です。こうした質問を面接の早い段階で行うことで、実装中にエッジケースで詰まるリスクを大幅に減らすことができます。
アプローチを説明する段階で使えるフレーズ
問題を理解した後は、解法のアプローチを面接官に説明する段階に入ります。ここが英語コーディング面接の中で最もコミュニケーション力が問われる場面です。自分の思考を論理的に組み立てて、面接官に分かりやすく伝える力が求められます。
アプローチの全体像を説明するとき、「My approach would be to...」や「Here's what I'm thinking.」から始めると自然な流れになります。たとえば「My approach would be to use a hash map to store the values we've seen so far, and for each new element, check if its complement exists in the map.」のように、データ構造と手順を具体的に述べましょう。
複数のアプローチを比較検討する場面では、「I can think of two approaches here.」と切り出してから、それぞれの長所と短所を説明する流れが効果的です。「The brute force approach would be O(n squared), but if we use a hash map, we can bring it down to O(n) with O(n) space.」のように計算量を交えて説明することで、技術的な深みを示すことができます。面接官に「Which approach should I go with?」と確認を取ることも忘れずに。この一言があるだけで、協調性のあるエンジニアだという印象を与えられます。
計算量を議論するときの表現
計算量の議論はコーディング面接の定番であり、英語での表現を知っておくことが大切です。時間計算量は「time complexity」、空間計算量は「space complexity」で、「The time complexity of this approach is O(n log n) because we're sorting the array first.」のように説明します。
トレードオフについて語るときは、「There's a trade-off between time and space here.」が便利なフレーズです。「We can optimize the time complexity from O(n squared) to O(n) by using additional space for a hash map.」のように、何を犠牲にして何を得るのかを明確に述べましょう。
面接官から「Can you do better?」と聞かれることは頻繁にあります。これは必ずしもダメ出しではなく、候補者の最適化能力を測るための質問です。より良い解法がある場合は「Actually, I think we can improve this by...」と提案し、現時点で最適だと考える場合は「I believe this is optimal because...」と理由を添えて説明すれば十分です。
コーディング中に使えるフレーズ
実際にコードを書いている最中は、黙々とタイピングするのではなく、適度に声に出しながら進めることが重要です。英語で「シンキングアウトラウド」を行うためのフレーズをいくつか紹介します。
コードの各パートで何をしているかを説明するとき、「First, I'll initialize...」「Here, I'm iterating through...」「This part handles the case where...」といった表現が使えます。全ての行を逐一説明する必要はありませんが、ロジックの要所ではコメントを添えるように声に出すことで、面接官が思考を追いやすくなります。
変数名やデータ構造の選択理由を述べるときは、「I'm using a dictionary here because we need O(1) lookup time.」のように、なぜその選択をしたのかを含めて説明すると説得力が増します。「Let me name this variable 'seen' to make the intent clear.」のように、命名の意図を言語化する癖をつけておくと良いでしょう。
方針を変更する場面では、「Actually, let me reconsider this approach.」や「I realize there might be an issue with this. Let me think about it for a moment.」と伝えて、面接官に状況を共有します。黙って書き直すよりも、方針変更の理由を説明しながら進めるほうが、柔軟性と判断力をアピールできます。
ヘルプを求めるときの表現
面接中に行き詰まったとき、適切にヘルプを求めることは減点にはなりません。重要なのは、自分がどこまで考えたかを示したうえでヒントを求めることです。
「I'm stuck on this part. Could you give me a hint about the direction?」は、ストレートにヒントを求める表現です。ただし、何も考えずにいきなりヒントを求めるのではなく、「I've been thinking about using a sliding window, but I'm not sure how to handle the edge case where...」のように、自分の考えた範囲を示してから質問すると、面接官はより的確なヒントを提供してくれます。
面接官のヒントを受け取った後は、「That makes sense. So if I understand correctly, I should...」と理解を確認してから進めましょう。ヒントをもらったことをネガティブに捉える必要はなく、それを素早く吸収して解法に反映できる力も評価の対象です。
デバッグ時に使えるフレーズ
コードが期待どおりに動作しないとき、デバッグの過程を声に出しながら進めることは面接官に好印象を与えます。体系的にバグを特定する能力は、実務でも非常に重要なスキルだからです。
テストケースを実行するとき、「Let me trace through this with the example input.」というフレーズで、手動でコードをトレースする姿勢を見せましょう。「At this point, the variable 'sum' should be 5, but it's showing 3. So the issue must be in this loop.」のように、期待値と実際の値を比較しながら問題箇所を特定するプロセスを言語化することで、論理的なデバッグ能力を示すことができます。
バグを発見して修正するとき、「I see the issue. The problem is that I'm not accounting for...」や「The off-by-one error is here. I should change the condition to...」と、原因と修正内容を明確に述べましょう。バグの原因を理解したうえで修正していることを示すことが重要であり、当てずっぽうで修正するのは避けるべきです。
修正後は「Let me verify the fix with a few test cases.」と言って再度テストする姿勢を見せることで、品質意識の高さをアピールできます。「It works for the basic case. Let me also check the edge case with an empty array.」のように、複数のケースで検証する姿勢は面接官に安心感を与えます。
面接の締めくくりで使えるフレーズ
コードが完成した後の最後の数分間も、評価に影響する重要な時間です。面接の締めくくり方次第で、全体の印象が大きく変わることがあります。
コードの完成を伝えるとき、「I think this solution handles all the cases we discussed. Let me do a final review.」と一言添えてから、自分のコードを振り返る時間を取りましょう。「If I had more time, I would refactor this part to...」や「One improvement would be to add proper error handling for...」のように、改善点を自ら指摘できると、コードの品質に対する高い意識を示せます。
面接官に対して逆質問をするときは、「I'd love to learn more about the engineering culture at your team.」や「What does a typical day look like for an engineer in this role?」といった表現が使えます。技術的な質問として「What's the tech stack your team is currently working with?」も良い印象を与えるでしょう。
最後に「Thank you for your time. I really enjoyed the problem.」と感謝の言葉を忘れないでください。短い一言ですが、面接全体の印象をポジティブに締めくくる効果があります。
英語コーディング面接を乗り切るためのコツ
フレーズを覚えるだけでなく、実際の面接で自然に使いこなすためのコツをいくつか紹介しておきます。これらは技術力とは別の次元のスキルですが、面接のパフォーマンスを大きく左右する要素です。
完璧な英語を話そうとしすぎないことが大切です。面接官はネイティブレベルの英語力を求めているわけではなく、技術的なコミュニケーションが取れるかどうかを見ています。文法ミスを恐れて黙ってしまうよりも、多少不完全でも自分の考えを伝えるほうがはるかに良い評価を得られます。「Sorry, let me rephrase that.」と言い直す余裕があれば、コミュニケーションとしては十分です。
技術用語の発音を事前に確認しておくことも地味ですが効果的です。たとえば「queue」「recursion」「memoization」「traversal」「heap」「cache」といった単語の発音が不安な場合は、事前にオンライン辞書で確認しておきましょう。技術用語が正確に伝わるだけで、コミュニケーションの質は大幅に向上します。
模擬面接で練習することが最も効果的な対策です。英語が得意な友人やオンラインの面接練習サービスを活用して、英語で思考を言語化しながらコーディングする経験を積んでおくと、本番での緊張感が大きく和らぎます。Pramp、interviewing.io、LeetCodeのモック面接機能など、活用できるサービスは数多くあります。
まとめ
英語でのコーディング面接は、技術力と英語力の両方が求められる場面ですが、使われるフレーズにはパターンがあります。問題理解、アプローチ説明、コーディング中、デバッグ時、締めくくりという各段階で使えるフレーズを事前に準備しておけば、面接当日の不安は大幅に軽減されるはずです。
覚えておいてほしいのは、面接官が評価しているのは英語の流暢さではなく、技術的な思考を伝えるコミュニケーション能力だということです。完璧な英語でなくても、自分の考えを論理的に組み立てて伝える力があれば、十分に高い評価を得ることができます。この記事で紹介したフレーズを練習のベースにして、自分なりの表現を少しずつ増やしていってください。