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コーディング速度を劇的に上げるテクニックと習慣

この記事のまとめ

  • コーディング速度はタイピングの速さだけでなく、思考の明確さとツール活用の掛け算で決まる
  • コード補完、スニペット、テンプレートの活用で定型的なコード記述を大幅に削減できる
  • AIコーディングアシスタントの登場により、コーディングの生産性向上に新しい可能性が開けている

「もっと速くコードが書けるようになりたい」。これはキャリアの段階を問わず、多くのエンジニアが抱える願望ではないでしょうか。実は、コーディング速度というのは単純なタイピングの速さだけで決まるものではありません。どんなコードを書くべきかを素早く判断する思考力、繰り返しの入力を省くツールの活用、そして「書かないコード」を増やす設計力。これらが組み合わさって初めて、本当の意味でのコーディング速度が向上するのです。

この記事では、タイピングの基礎から、コード補完やスニペットの活用、設計力の向上、そしてGitHub CopilotなどのAIツールの使いこなし方まで、コーディング速度を総合的に高めるためのテクニックと習慣を紹介します。すぐに実践できるものから、じっくりと身につけていくものまで幅広く取り上げているので、自分の状況に合ったものから取り入れてみてください。

タイピング速度は土台であって全てではない

コーディング速度を語るうえで、タイピングの話題は避けて通れません。キーボードを見ずにタイプするタッチタイピングは、エンジニアにとって基本中の基本です。頭の中にあるコードをスムーズに画面に映し出すためには、ある程度のタイピング速度は必要不可欠です。タッチタイピングがまだ身についていない方は、まずこの基礎を固めることをおすすめします。

ところが、プロのエンジニアの仕事を観察してみると、実際にキーボードを叩いている時間は作業全体のごく一部であることに気づきます。コードを書く前に仕様を確認し、既存のコードを読み、設計を考え、テストケースを整理する。こうした「書く前の準備」にかかる時間のほうが圧倒的に長いのです。つまり、タイピング速度を2倍にしても、全体のコーディング速度が2倍になるわけではありません。

そういえば、興味深いデータがあります。プログラマーの1日の実際のコード記述量は、平均して100行から150行程度だと言われています。8時間の勤務時間に対してこの量ですから、1時間あたりにすると十数行程度です。これは決して怠けているわけではなく、コードを書く作業には膨大な思考プロセスが伴うためです。タイピング速度の向上は大切ですが、それと同等かそれ以上に、思考を高速化するスキルが求められるのです。

コード補完を最大限に活用する

現代のエディタやIDEには、非常に優秀なコード補完機能が搭載されています。この機能を上手に活用するだけで、キーストロークの数を大幅に減らすことができます。VS CodeのIntelliSenseやJetBrains IDEのコード補完は、変数名、メソッド名、クラス名を数文字入力するだけで候補を表示してくれます。補完候補が表示されたらTabキーやEnterキーで確定するだけなので、長い名前を一文字ずつ打つ必要がありません。

コード補完の恩恵を最大限に受けるためには、プロジェクトの型情報を充実させることが重要です。TypeScriptを使っている場合は型定義を丁寧に書くこと、Pythonを使っている場合は型ヒントを付与することで、補完の精度が飛躍的に向上します。「型を書く手間が増えるのでは」と思うかもしれませんが、一度型を定義しておけば、その後のコーディングで何十回も補完の恩恵を受けられるため、トータルでは圧倒的に効率がよいのです。

実は、コード補完を効果的に使うためのちょっとしたテクニックがあります。それは、命名規則を一貫させることです。たとえば、ユーザーデータを取得する関数にはすべて「get」で始まる名前をつける、バリデーション関数にはすべて「validate」で始まる名前をつけるといったルールを決めておくと、「get」と入力した時点で関連する関数がすべて候補に表示されます。命名規則の一貫性は、コードの可読性を高めるだけでなく、コード補完の効率も同時に高めてくれるのです。

スニペット活用で定型コードの入力を省く

同じようなコードパターンを何度も手打ちしていないでしょうか。for文やif文、try-catch文のような構文、テストの雛形、コンポーネントのテンプレートなど、毎日のように書く定型コードは意外と多いものです。こうした繰り返しの入力を省くために、スニペット機能を活用することを強くおすすめします。

VS Codeでは、組み込みのスニペットに加えて、自分専用のスニペットを簡単に定義できます。「File」メニューから「User Snippets」を選び、使用する言語を指定してJSONファイルを編集するだけです。たとえば、Reactのコンポーネントを作成するたびに同じインポート文やコンポーネント構造を書いているなら、「rfc」というトリガーで関数コンポーネントの雛形が展開されるスニペットを登録しておけば、数秒でコンポーネントの骨格が出来上がります。

ところで、スニペットにはプレースホルダーやタブストップという便利な機能があります。展開されたスニペットの中で、変更が必要な部分にカーソルが自動的に移動し、Tabキーで次の入力箇所にジャンプできるのです。コンポーネント名、プロパティの型、デフォルト値といった可変部分をプレースホルダーとして設定しておけば、テンプレートの展開後にスムーズに必要な値を埋めていくことができます。スニペットを単なるテキスト展開ではなく、入力のガイドとして活用することで、定型コードの作成速度が格段に上がります。

チームでスニペットを共有する

個人で作成したスニペットが便利だと感じたら、チームでの共有を検討してみましょう。VS Codeでは、プロジェクトの .vscode ディレクトリにスニペットファイルを配置することで、リポジトリを通じてチーム全体にスニペットを共有できます。テストコードの雛形やAPI呼び出しのパターンなど、プロジェクト固有の定型コードをスニペット化しておくと、新しいメンバーのオンボーディングにも役立ちます。

JetBrains IDEでは、Live Templatesという機能が同様の役割を果たします。設定画面からテンプレートを登録し、変数を定義し、適用するコンテキスト(Java、Kotlin、TypeScriptなど)を指定するだけです。Live Templatesの設定はエクスポートしてチームメンバーに配布することもできます。

スニペットの効果を最大化するコツは、月に1回程度の頻度で自分のスニペットライブラリを見直すことです。使わなくなったスニペットは削除し、新しく繰り返し書いているパターンがあれば追加する。こうした定期的なメンテナンスを続けることで、スニペットライブラリが常に自分の開発スタイルにフィットした状態を保てます。

設計力の向上がコーディング速度を根本から変える

ここまでツールの活用について述べてきましたが、実はコーディング速度に最も大きな影響を与えるのは設計力です。コードを書き始める前に全体の構造が明確になっていれば、迷いなく手を動かせます。逆に、設計が曖昧なままコードを書き始めると、途中で「やっぱりこの構造では駄目だ」と気づいて書き直すことになり、結果として大幅な時間ロスが発生します。

設計力を高めるうえで効果的なのが、コードを書く前に5分間だけ手を止めて構造を考える習慣をつけることです。どんなクラスやモジュールが必要か、データの流れはどうなるか、エラーハンドリングはどこで行うかなどを、紙やホワイトボードにざっくりと書き出してみます。たった5分の設計時間が、30分以上の書き直し時間を節約してくれることは珍しくありません。

そういえば、デザインパターンの知識も設計力の土台となります。Strategyパターン、Observerパターン、Factory Methodパターンといった定番のパターンを知っていれば、「この問題にはあのパターンが使えるな」と瞬時に判断できます。パターンをゼロから考え出す必要がないため、設計にかかる時間が短縮されるのです。GoFのデザインパターンすべてを暗記する必要はありませんが、よく使われる10種類程度は理解しておくと、日常のコーディングがスムーズになります。

テストファーストで迷いを減らす

テスト駆動開発(TDD)は、コーディング速度を上げるための強力なアプローチです。「テストを先に書くと時間がかかるのでは」と感じる方も多いですが、実はその逆です。テストを先に書くことで「何を作るべきか」が明確になり、実装時の迷いが大幅に減るのです。

テストファーストのアプローチでは、まず期待する入出力を定義し、テストコードとして記述します。テストが「失敗する」ことを確認したら、そのテストを通すための最小限のコードを書きます。この「テスト失敗 -> 実装 -> テスト成功」のサイクルを細かく回すことで、一歩一歩確実に前進できます。大きな機能を一気に実装しようとして途中で混乱するよりも、小さなサイクルを素早く回すほうが、結果的にコーディング速度は上がります。

TDDのもうひとつの利点は、リファクタリングを安全に行えることです。テストがあるからこそ、コードの構造を大胆に変更しても「動作が壊れていない」ことをすぐに確認できます。リファクタリングに対する心理的なハードルが下がることで、常にクリーンなコードを維持でき、長期的なコーディング速度の維持にもつながります。

AIコーディングアシスタントの活用

GitHub CopilotやCursorなどのAIコーディングアシスタントは、コーディング速度を飛躍的に向上させる可能性を秘めたツールです。コメントや関数名から意図を推測してコードを提案してくれるため、定型的なコードの記述が大幅に加速します。たとえば、「// ユーザー一覧を取得するAPI呼び出し」とコメントを書くだけで、fetch関数やエラーハンドリングを含む完全なコードが提案されることがあります。

ところが、AIアシスタントを効果的に使うには、いくつかのコツがあります。最も重要なのは、明確な意図を伝えることです。関数名やコメントを具体的に書くほど、AIからの提案の精度が向上します。「processData」のような曖昧な名前よりも、「convertCsvToJsonArray」のように具体的な名前をつけることで、AIが正確なコードを提案してくれる確率が格段に上がります。

実は、AIアシスタントの提案をそのまま受け入れるのではなく、必ず内容を確認して必要に応じて修正するという姿勢が大切です。AIが提案するコードは、多くの場合「動くコード」ではありますが、プロジェクトの規約やベストプラクティスに完全に沿っているとは限りません。提案されたコードをレビューし、自分のコードとしてコミットする前に品質を担保する習慣を身につけることが、AIアシスタントを上手に活用するための鍵です。

AIアシスタントとの効果的な協働パターン

AIアシスタントの活用が特に効果を発揮する場面があります。繰り返しのパターンを持つコード、たとえばCRUD操作の実装、データ変換関数、バリデーションロジックなどは、AIが得意とする領域です。ひとつ目の関数を自分で丁寧に書いておけば、そのパターンに倣って2つ目以降の関数をAIが高い精度で提案してくれます。

一方で、ビジネスロジックの核心部分や、セキュリティに関わる処理は、AIに頼りすぎず自分で考えて書くことが重要です。AIはコードのパターンを学習していますが、あなたのプロジェクト固有のビジネス要件や、セキュリティ上の微妙な判断までは理解できません。AIアシスタントは「優秀な補助者」であって「判断者」ではないという認識を持つことが大切です。

テストコードの作成にもAIアシスタントは力を発揮します。テスト対象の関数を選択した状態で「このメソッドのユニットテストを書いて」と指示すると、正常系と異常系のテストケースを提案してくれることがあります。テストコードの雛形をAIに作ってもらい、自分でエッジケースを追加するというワークフローは、テスト作成の効率化に非常に有効です。

コードの再利用性を高めて「書かないコード」を増やす

コーディング速度を上げる究極のテクニックは「コードを書かないこと」です。矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、既存のコードやライブラリをうまく活用することで、新規に書くコードの量を減らせます。同じような処理を何度も書いている場合は、共通関数やユーティリティモジュールとして切り出すことを検討しましょう。

ところで、ライブラリの選定スキルもコーディング速度に大きく影響します。日付の操作、HTTPリクエスト、バリデーションなど、よく使う処理については信頼性の高いライブラリを把握しておくことで、車輪の再発明を避けられます。ただし、何でもライブラリに頼ればよいわけではなく、依存関係が増えすぎるとメンテナンスコストが上がるため、バランスを見極める判断力も必要です。

プロジェクト固有のテンプレートやボイラープレートを整備しておくことも効果的です。新しいコンポーネントやモジュールを作成するたびに、ファイルの雛形、ディレクトリ構成、基本的なインポート文などを毎回手打ちするのは時間のムダです。CLIツールやスクリプトを用意して、コマンドひとつで必要なファイル群を生成できるようにしておくと、開発の初速が大きく変わります。Yeoman、Hygen、plop.jsといったスキャフォールディングツールを導入すれば、チーム全体で統一されたファイル構成を維持しながら、効率的に新しいモジュールを追加できます。

日常の習慣がコーディング速度を底上げする

コーディング速度の向上は、特別なテクニックだけでなく、日常の小さな習慣の積み重ねによっても実現します。たとえば、毎日の作業開始時に「今日やるべきタスクを3つに絞る」という習慣は、コンテキストスイッチを減らし、1つのタスクに集中する時間を増やしてくれます。ポモドーロテクニックのように、25分の集中と5分の休憩を繰り返すリズムも、長時間のコーディングにおける集中力の維持に効果的です。

コードリーディングの習慣もコーディング速度の向上に寄与します。優れたオープンソースプロジェクトのコードを読むことで、効率的なコードの書き方やパターンを自然と吸収できます。「こんな書き方があったのか」という発見は、自分のコーディングの引き出しを増やし、新しい問題に直面したときの解決スピードを上げてくれます。

そういえば、作業環境の最適化も見落とせないポイントです。ディスプレイのサイズや配置、エディタのフォントサイズやテーマ、椅子の高さやキーボードの角度など、作業環境の快適さは集中力に直結します。目が疲れにくいダークテーマを選んだり、外部ディスプレイで画面を広くしたりといった小さな改善が、1日を通してのコーディングの快適さと速度を支えてくれるのです。

振り返りと改善のサイクルを回す

週に一度、自分のコーディングプロセスを振り返る時間を設けてみてください。「今週、何に一番時間がかかったか」「繰り返し行った操作はあったか」「もっと効率化できる部分はないか」といった問いを自分に投げかけることで、改善のヒントが見つかります。

振り返りの結果をもとに、具体的な改善アクションを1つ決めて次の週に実践します。新しいスニペットを作る、使っていなかったショートカットを覚える、コード補完の設定を見直すなど、小さなアクションで構いません。この振り返りと改善のサイクルを継続することが、コーディング速度を着実に向上させる唯一の方法です。

改善を続けていくと、半年前の自分が書いていたコードの非効率さに気づくことがあります。それは成長の証です。コーディング速度の向上は一朝一夕に実現するものではありませんが、日々の小さな積み重ねが、やがて大きな差となって現れます。焦らず、しかし着実に、自分なりの生産性向上の方法を見つけていってください。

まとめ

コーディング速度を劇的に上げるためには、タイピング速度という基礎の上に、コード補完、スニペット、設計力、AIツールの活用といった複数の要素を積み重ねていくことが重要です。どれか1つだけを極めるのではなく、総合的にスキルを高めていくことで、真の意味での生産性向上が実現します。

特にAIコーディングアシスタントの登場は、エンジニアの働き方を大きく変えつつあります。AIを上手に活用しながらも、自分自身の設計力や判断力を磨き続けることが、これからのエンジニアに求められるスキルです。コーディング速度の向上は、より多くの仕事をこなすためだけでなく、品質の高いコードを余裕を持って書くためのものでもあります。

この記事で紹介したテクニックや習慣の中から、自分に合ったものを選んで今日から実践してみてください。小さな一歩の積み重ねが、半年後、1年後の大きな変化につながるはずです。

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