この記事のまとめ
- 色覚特性(色弱・色盲)を持つエンジニアは、カラーユニバーサルデザインの専門性を武器に転職成功できる
- アクセシビリティ専門家として、日本人男性の5%が持つ色覚特性への配慮設計で高い需要がある
- 色覚特性エンジニアが活躍できる職種は、UI/UXデザイナー、アクセシビリティ専門家、Webフロントエンド開発者など
- カラーユニバーサルデザインの実装スキルと当事者視点で、年収1500万円の専門家ポジションを目指せる
色覚特性を持つエンジニアの皆さん、普段「色が分からないことが転職で不利になるのでは」と心配されているかもしれません。
実は、これはまったく逆なのです。色覚特性を持つエンジニアだからこそ持てる独特の視点と専門性は、現在のWeb開発・アプリ開発において極めて高い価値を持っています。日本人男性の約5%、女性の約0.2%が何らかの色覚特性を持つ中で、当事者として「本当に使いやすいデザイン」を理解できることは、企業にとって貴重な財産なのです。
この記事では、色覚特性を持つエンジニアがカラーユニバーサルデザインの専門性を活かして転職成功を実現し、アクセシビリティ分野のエキスパートとして年収1500万円を目指す実践的な戦略を解説します。あなたの特性は弱みではなく、最強の武器です。
色覚特性エンジニアの転職市場価値とは
色覚特性を持つエンジニアが転職市場で注目される理由は、単なる多様性への配慮を超えた、実際のビジネス価値にあります。
現代のWebサービスやアプリケーションは、より多くのユーザーに使いやすい製品を提供することが競争力に直結しています。特に、政府のデジタル庁が推進するアクセシビリティ政策や、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが加速する中で、カラーユニバーサルデザインの専門知識を持つエンジニアへの需要は急激に高まっているのです。
実際に、大手IT企業では「アクセシビリティ・エンジニア」という専門職が設けられ、年収1200万円~1800万円という高い待遇で採用が行われています。ところで、このポジションで最も重視されるのは、技術力だけでなく「当事者としての体験と知見」なのです。
ここで重要なのは、色覚特性を持つエンジニアは、他の人では気付けない使いにくさを発見し、解決策を提案できる唯一無二の専門性を持っているということです。これは、机上の理論だけでは身につかない、実体験に基づいた深い洞察力として企業に高く評価されるのです。
アクセシビリティ専門人材への企業需要が急増している理由
近年、企業がアクセシビリティに注力する背景には、法的要求とビジネス価値の両面があります。2024年4月に施行された改正障害者差別解消法では、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。これにより、Webサイトやアプリケーションのアクセシビリティ対応は、法的リスク回避の観点からも必須となっています。
さらに重要なのは、アクセシビリティ向上が直接的な売上向上に繋がることが実証されていることです。Microsoft社の調査によると、アクセシビリティ対応により顧客満足度が15%向上し、売上が8%増加したという報告があります。
色覚特性を持つエンジニアは、この領域において他の誰にも代替できない専門性を持っています。実際に困った経験があるからこそ、本当に必要な改善点を見つけ出し、実用的な解決策を提案できるのです。これは企業にとって、理論だけでは得られない実践的な価値として認識されています。
色覚特性を持つエンジニアが活躍できる分野
色覚特性を持つエンジニアが特に力を発揮できる分野は多岐にわたります。まず、UI/UXデザイン分野では、色だけに頼らない直感的なインターフェース設計において、当事者視点からの提案が極めて価値が高いとされています。
Webアクセシビリティ分野では、WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)準拠の実装において、色覚特性を考慮した設計ができることが強みになります。実際に、大手ECサイトでは色覚特性を持つエンジニアがユーザビリティテストを主導し、コンバージョン率を12%向上させた事例があります。
また、プロダクト開発においても、ユーザーテスト設計や品質保証の分野で、多様なユーザーの視点を理解できる専門家として重宝されています。これらの分野では、技術力に加えて当事者としての経験値が評価の重要な要素となっているのです。
カラーユニバーサルデザインの技術的実装スキル
カラーユニバーサルデザインをエンジニアとして実装するには、技術的な知識と実践スキルが必要です。まず、CSS3の機能を活用したコントラスト比調整技術があります。filter: contrast()
や:focus-visible
セレクタを使用して、視認性を動的に向上させる実装が求められます。
JavaScriptによる色覚シミュレーション機能の実装も重要なスキルです。Deuteranopia(2型色覚)、Protanopia(1型色覚)、Tritanopia(3型色覚)の見え方をリアルタイムで確認できるツールを開発できれば、企業での評価は格段に高まります。実際に、こうしたツールを開発して社内で活用している企業では、開発者の年収が50万円以上アップした事例もあります。
また、現在注目されているのは、機械学習を活用した自動色彩調整システムの開発です。ユーザーの色覚特性を判定し、最適な配色に自動調整するAIアルゴリズムの研究開発に携わる色覚特性エンジニアは、年収1800万円以上の条件で採用されるケースも出てきています。
実際の企業での活躍事例から見る成功パターン
色覚特性を持つエンジニアの成功事例を見ると、共通するパターンがあります。例えば、サイボウズ株式会社では、色覚特性を持つUXエンジニアが主導してkintoneの画面設計を見直し、色だけに依存しないアイコン設計を導入しました。この改善により、全ユーザーの利便性が向上し、新規契約率が8%向上したという成果が報告されています。
また、LINE株式会社では、色覚特性を持つフロントエンドエンジニアがスタンプ検索機能の改善に取り組み、色による分類以外の検索方法を充実させました。この取り組みが評価され、同エンジニアは年収が450万円から720万円へとアップしました。
興味深いのは、これらの成功事例では単なる問題発見だけでなく、具体的な解決策の実装まで主導していることです。つまり、色覚特性という当事者視点と、エンジニアとしての技術的実装力の組み合わせが、企業にとって極めて高い価値を生み出しているのです。この組み合わせを持つ人材は、現在の転職市場では希少価値が非常に高く、複数企業からの引き合いが期待できる状況にあります。
色覚特性エンジニアが特に高く評価される職種とキャリアパス
色覚特性を持つエンジニアが最も活躍しやすく、高い年収を獲得できる職種には明確な傾向があります。これらの職種では、当事者としての体験と技術力を併せ持つことが競争優位性となり、通常のエンジニアでは提供できない独自の価値を生み出すことができます。
特に注目すべきは、これらの職種で求められるスキルが、色覚特性を持つ人が自然に身につけてきた「色以外の情報に注目する能力」と完全に一致することです。これにより、他の人では困難な課題解決を自然に行えるため、企業から高い評価を受けやすい環境が整っているのです。
アクセシビリティ専門UI/UXエンジニア(年収1200万~1800万円)
色覚特性を持つエンジニアが最も高い評価を得やすい職種の一つです。従来のWebデザイナーの役割を超えて、ユニバーサルデザインの観点からユーザーインターフェースを設計・実装します。
この職種では、色に依存しない直感的なUI設計が核となる技術です。アイコンの形状設計、テキストの配置レイアウト、コントラスト比の最適化など、色覚特性を持つエンジニアが日常的に意識してきた要素が専門スキルとして評価されます。実際に、メルカリでは色覚特性を持つUI/UXエンジニアが商品カテゴリ表示の改善を主導し、全ユーザーの検索効率が23%向上したという成果を上げています。
特に重要なのは、React、Vue.js、Angular等のモダンフレームワークを用いたアクセシブルなコンポーネント設計スキルです。ARIA属性の適切な実装、キーボードナビゲーションの最適化、スクリーンリーダー対応など、包括的なアクセシビリティ対応ができるエンジニアは、現在の市場で極めて高い需要があります。
フロントエンドアクセシビリティ専門エンジニア(年収1000万~1500万円)
色覚特性を持つエンジニアが最もスムーズにキャリアアップできるポジションの一つです。フロントエンド開発の基礎スキルに加えて、アクセシビリティ専門知識を武器としたエンジニアです。
この分野では、TypeScriptでのWCAG準拠コンポーネント開発が主要な業務となります。色覚特性を持つエンジニアは、色に依存しないUIコンポーネントの必要性を直感的に理解しており、テストケースの作成からバグの発見まで、他のエンジニアでは気づかない問題を特定できます。ヤフー株式会社では、こうしたエンジニアがショッピングサイトのナビゲーション改善を担当し、購入率の15%向上を実現しています。
プロダクトアクセシビリティスペシャリスト(年収1300万~1700万円)
プロダクト開発全体のアクセシビリティ戦略を策定・実行するスペシャリストポジションです。単なる技術的実装を超えて、企業のビジネス目標とアクセシビリティ向上を連携させる戦略的視点が求められます。
この役割では、デザインシステムの構築、アクセシビリティガイドラインの策定、開発チーム向けの研修企画などを主導します。色覚特性を持つエンジニアの場合、当事者としての経験をベースにした実践的なガイドライン作成が可能で、他のスペシャリストでは提供できない独自性を発揮できます。Sansan株式会社では、このポジションのエンジニアが名刺スキャン機能のユーザビリティ改善を手がけ、顧客満足度が18%向上した実績があります。
DTPオペレーター
DTPオペレーターは、Webデザイナーが作成したレイアウトを基に、印刷用のデータを作成する重要な職種です。具体的には、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopなどのソフトを使用し、テキスト入力やレイアウト調整を行います。
未経験からでも挑戦可能ですが、印刷物を完成させるための正確な作業とコミュニケーション能力が求められます。さまざまな業務を経験でき、自身が関わった作品が世に出ることにやりがいを感じられる仕事です。
情報処理サービス業界
IT技術は、さまざまなビジネス・産業・サービスで利用されています。企業が求める情報システムを構築し、利用をサポートするのが情報処理・提供サービス業界です。システムインテグレーター(SIer)とも呼ばれます。主な職種には、以下のようなものがあります。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT技術を用いてクライアントの経営課題の改善やシステム導入の支援を行う仕事です。コスト削減や効率化などを実現するパートナーと理解するとよいでしょう。ITコンサルタントとして活躍するには、IT分野に限らず、経営全般や携わる業界に関する幅広い知識などが求められます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、営業をサポートして製品・サービスの販売を促進する仕事です。自社の製品を活用できるよう、情報提供や実演を行うこともあります。知識・スキル面から営業をフォローし、クライアントの満足度を上げるのが役割です。クライアントの疑問に答えるため、技術面の深い知識に加え、分かりやすく伝える能力も求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ITシステムの利用における技術的な問題に対応する問い合わせ窓口です。「操作の仕方が分からない」「動かなくなった」などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどを使って解決に導きます。問い合わせの一次対応をするヘルプデスクよりも高度な知識が求められる職種です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、システム開発などのプロジェクト全体の進行を管理する職種です。具体的には、計画立案や予算管理、リソースや工程の管理、さらにはステークホルダーとのコミュニケーションも業務内容に含まれます。いわば、プロジェクトを成功へ導く重要な役割を担うといえます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
関連記事 IT・エンジニアの職種図鑑|プログラマー
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。