この記事のまとめ
- 競技プログラミング配信は教育とエンターテイメントを融合した新しいキャリア分野
- プログラミング教育市場は年間成長率20%で拡大中、コンテンツクリエイター需要が急増
- 技術解説力と配信スキルを併せ持つエンジニアは年収1600万円以上の高年収を実現可能
「自分のプログラミングスキルをもっと多くの人に伝えたい」「技術力を活かして新しいキャリアを築きたい」と考えているエンジニアの皆さん、競技プログラミングの配信という新しい働き方をご存知でしょうか。
実は今、プログラミング教育とエンターテイメントを融合した「エデュテック」分野が急速に成長しており、技術力と伝える力を併せ持つエンジニアの需要が高まっています。AtCoderやCodeforces、LeetCodeなどの競技プログラミングを解説しながら配信するスキルは、思わぬキャリアチャンスを生み出しているのです。
この記事では、競技プログラミング配信エンジニアとしてキャリアを築き、年収1600万円を実現するための実践的戦略をお伝えします。技術力をコンテンツ力に変えて、新しい職業の可能性を探ってみませんか。
競技プログラミング配信エンジニアとは?新時代のエデュテック職種
競技プログラミング配信エンジニアとは、AtCoderやCodeforces、LeetCodeなどの競技プログラミング問題を解きながら、その思考過程や解法を視聴者にリアルタイムで解説する新しい職種です。技術者としての高度なプログラミングスキルと、教育者としてのコミュニケーション能力を組み合わせた、まさに現代のエデュテック市場が求める人材と言えるでしょう。
この分野が注目される背景には、プログラミング教育の需要急増があります。経済産業省の調査によると、IT人材不足は2030年までに最大79万人に達すると予測されており、企業は効率的な技術者育成方法を模索しています。そんな中、実際のコーディング過程を視覚的に学べる配信形式は、従来の教科書やテキストベースの学習を大きく上回る教育効果を発揮しているのです。
実際に配信を行うエンジニアは、単なる技術者ではありません。アルゴリズムの選択理由、実装時の注意点、バグ修正の思考プロセスなど、通常は言語化されない暗黙知を可視化し、視聴者の理解を促進する高度な解説スキルが求められます。この希少な組み合わせスキルこそが、高年収を実現する理由なのです。
需要急増するプログラミング教育市場の実態
プログラミング教育市場は驚異的な成長を見せています。矢野経済研究所の調査によると、国内のeラーニング市場は2024年には3,000億円を突破し、その中でもプログラミング教育分野は年間成長率20%という高い伸びを記録しています。この背景には、小中学校でのプログラミング教育必修化、企業のDX推進、そして個人のリスキリング需要の高まりがあります。
なかでも注目すべきは、従来の録画型コンテンツから「ライブ配信型学習」への移行です。リアルタイムでの質疑応答や、実際のコーディング過程を見ることができる配信形式は、学習効果が従来の3倍に達するという調査結果もあります。競技プログラミングのように、問題解決過程を可視化できるコンテンツは特に価値が高く評価されているのです。
企業側からの需要も高まっています。大手IT企業では社内教育にライブコーディング配信を取り入れており、外部講師として年収1000万円以上で契約されるケースも珍しくありません。ところが、技術力と解説力を兼ね備えた人材は圧倒的に不足しており、この分野のスペシャリストは引く手あまたの状況となっています。
エデュテック企業が求める配信エンジニアの特徴
現在、プログラミング教育を手がける企業が競って求めているのは、単なるエンジニアではありません。技術的な深い理解と、それを分かりやすく伝える表現力を併せ持った「テクニカルエデュケーター」としての役割を担える人材です。
特に重視されるのは、アルゴリズムや数学的思考を直感的に説明できる能力です。例えば、動的プログラミングの概念を「階段を効率よく登るための戦略」として説明したり、グラフ理論を「友達関係の最適化問題」として表現したりするような、抽象的概念を身近な例に置き換える技術が求められています。
また、リアルタイム配信特有のスキルも必要です。視聴者からの質問に即座に反応し、コーディング中でも自然な解説を継続できる「ながら解説」能力は、この職種の核心となる技術です。さらに、バグが発生した際の冷静な対処と、それを学習機会に変える教育的視点も高く評価されます。
競技プログラミング配信エンジニアとして求められる5つのコアスキル
競技プログラミング配信エンジニアとして成功するためには、技術的なプログラミングスキルだけでなく、複数の専門領域を横断した能力が必要となります。ここでは、この新しいキャリアで高年収を実現するために必要な5つのコアスキルを詳しく解説していきます。
1. アルゴリズム設計・実装スキル
配信エンジニアの基盤となるのは、やはり競技プログラミングでの確実な実力です。AtCoderで青色(1600点)以上、もしくはCodeforcesで紫色(1900点)以上のレーティングが業界では一般的な基準とされています。しかし、単に高いレーティングを持っているだけでは不十分で、「なぜその解法を選んだのか」「他の解法との違いは何か」といった判断理由を明確に説明できる能力が求められます。
特に重要なのは、複数の解法を比較検討できる幅広い知識です。例えば、グラフの最短経路問題に対してダイクストラ法、ベルマンフォード法、ワーシャルフロイド法の使い分けを、時間計算量とメモリ使用量の観点から説明できることが期待されます。また、計算量の改善過程を段階的に示すことで、視聴者の理解を深める技術も評価されています。
実装面では、バグの少ない堅実なコードを素早く書く技術が必要です。配信中にデバッグに時間を取られすぎると、視聴者の集中力が途切れてしまうためです。そのため、ライブラリの整備や、よく使うアルゴリズムのテンプレート化なども重要な準備作業となります。
2. リアルタイム教育・解説スキル
技術力と同じく重要なのが、リアルタイムでの教育能力です。これは従来の講師とは異なり、自分が問題を解きながら同時に解説を行う特殊なスキルです。視聴者が理解しやすいペースで思考過程を言語化し、なぜその判断に至ったのかを論理的に説明する能力が求められます。
特に価値が高いのは、「つまずきポイントの予測」です。初学者がどこで混乱しやすいかを事前に把握し、そのポイントで丁寧な補足説明を入れることで、視聴者の満足度を大幅に向上させることができます。例えば、動的プログラミングの遷移式を説明する際に、「ここで多くの人が『なぜこの式になるのか』で躓きます」という予告を入れ、具体例を用いた詳細な説明を行うといった技術です。
また、視聴者からのリアルタイム質問への対応も重要な要素です。コーディング作業を中断することなく、チャットでの質問に答えたり、解法の代替案を提示したりする「マルチタスク解説」能力は、この職種独特のスキルと言えるでしょう。
3. 配信技術・コンテンツ制作スキル
プログラミング配信では、技術的な内容を視覚的に分かりやすく伝える必要があります。OBSなどの配信ソフトを使いこなし、コードエディタの画面共有、リアルタイムでの図解作成、視聴者のコメントとの連携などを組み合わせた配信環境の構築は必須スキルです。
効果的な配信のためには、画面レイアウトの設計も重要です。コードエディタ、ブラウザ(問題文表示)、ホワイトボードアプリ(図解用)、チャット欄を適切に配置し、視聴者が情報を追いやすい構成を作る必要があります。また、音声品質の確保や、バックグラウンドノイズの除去なども、プロフェッショナルな配信には欠かせない要素です。
コンテンツ企画力も重要な差別化要因です。単発の問題解説だけでなく、「アルゴリズム解説シリーズ」「レーティング別攻略法」「企業別過去問分析」など、継続的に視聴してもらえるコンテンツ構成を考える能力が、長期的な成功を左右します。
4. コミュニティマネジメント・ブランディングスキル
配信活動を通じて構築したコミュニティを維持・発展させるスキルは、長期的なキャリア成功に直結します。視聴者との継続的な関係構築、Discord等でのコミュニティ運営、定期的なイベント企画などを通じて、単なる技術解説者から「プログラミング学習のメンター」として認知されることが重要です。
個人ブランディングも重要な要素です。自分独自の解説スタイルや得意分野を明確にし、他の配信者との差別化を図る必要があります。例えば、「数学的美しさを重視する解説」「実装速度にこだわる解説」「初心者目線を大切にする解説」など、自分のキャラクターを確立することで、固定ファンの獲得につながります。
SNSでの情報発信も欠かせません。Twitter、YouTube、note、Qiitaなど複数のプラットフォームを活用し、配信以外でも技術情報を発信し続けることで、業界内での認知度を高めることができます。特に、解いた問題の別解や、アルゴリズムの応用例などを記事化することで、SEOを意識した情報発信も可能になります。
5. ビジネススキル・営業力
技術力と教育力があっても、それを適切に収益化できなければ、持続可能なキャリアは築けません。企業研修の営業、オンライン講座の企画・販売、技術書籍の執筆など、多様な収益源を開拓するビジネススキルが必要です。
特に重要なのは、自分のスキルの価値を適切に伝える提案力です。「競技プログラミング配信ができます」ではなく、「新人エンジニアのアルゴリズム思考力を3ヶ月で20%向上させる研修プログラムを提供できます」といった具体的な価値提案ができることが、高単価案件の獲得につながります。
契約交渉や価格設定のスキルも必要です。フリーランスとして活動する場合、適切な報酬レベルを設定し、それを論理的に説明できる能力が求められます。市場調査を行い、同業者の価格帯を把握した上で、自分の強みを活かした差別化戦略を立てることが重要です。
年収1600万円を実現する3つのキャリアパス戦略
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT技術を用いてクライアントの経営課題の改善やシステム導入の支援を行う仕事です。コスト削減や効率化などを実現するパートナーと理解するとよいでしょう。ITコンサルタントとして活躍するには、IT分野に限らず、経営全般や携わる業界に関する幅広い知識などが求められます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、営業をサポートして製品・サービスの販売を促進する仕事です。自社の製品を活用できるよう、情報提供や実演を行うこともあります。知識・スキル面から営業をフォローし、クライアントの満足度を上げるのが役割です。クライアントの疑問に答えるため、技術面の深い知識に加え、分かりやすく伝える能力も求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ITシステムの利用における技術的な問題に対応する問い合わせ窓口です。「操作の仕方が分からない」「動かなくなった」などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどを使って解決に導きます。問い合わせの一次対応をするヘルプデスクよりも高度な知識が求められる職種です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、システム開発などのプロジェクト全体の進行を管理する職種です。具体的には、計画立案や予算管理、リソースや工程の管理、さらにはステークホルダーとのコミュニケーションも業務内容に含まれます。いわば、プロジェクトを成功へ導く重要な役割を担うといえます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
関連記事 IT・エンジニアの職種図鑑|プログラマー
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。