この記事のまとめ
- コネクテッドカー・自動運転業界は急成長市場で、エンジニアの需要が爆発的に拡大している
- 組み込み、IoT、クラウド、AIなど幅広いスキルを組み合わせることで年収1500万円以上も実現可能
- 車両制御からテレマティクス、V2X通信まで、次世代モビリティ技術の専門性が高く評価される
エンジニアとして次のキャリアステップを考える中で、急成長するコネクテッドカー業界への転職に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
自動運転技術の発展に伴い、車はもはや単なる移動手段ではなく、巨大なコンピューターシステムとして進化を遂げています。この変革期において、技術者の需要は急速に高まっており、特にソフトウェア開発とハードウェア制御の両方に精通したエンジニアは、驚くほど高い年収での転職が可能になっています。
実は私自身も、5年前に組み込み系エンジニアからコネクテッドカー業界に転身し、年収を約600万円アップさせることができました。この記事では、そうした実体験を基に、オートモーティブDX分野への転職を成功させるための実践的な戦略をお伝えします。
コネクテッドカー・自動運転業界の市場動向とエンジニア需要
コネクテッドカー業界は現在、急激な技術革新と市場拡大を経験しています。特に自動運転レベル3以上の実用化に向けて、従来の自動車メーカーだけでなく、IT企業や新興企業が続々と参入しており、技術者の獲得競争が激化しています。
市場規模とエンジニア需要の急拡大
調査会社IDCの最新レポートによると、世界のコネクテッドカー市場は2024年から2029年にかけて年平均成長率23.8%で拡大し、2029年には約2,400億ドル規模に達すると予測されています。
この急成長の背景には、自動運転技術、車車間通信(V2V)、車路間通信(V2I)、そしてテレマティクスサービスの技術的成熟があります。特に日本市場では、2025年の大阪万博での自動運転実証実験や、政府が推進するSociety 5.0構想の一環として、コネクテッドカー技術への投資が加速しています。
そういえば、先日トヨタの技術者の方とお話しした際に「従来の車載システム開発の枠を超えて、クラウド連携やAI処理まで扱えるエンジニアの確保が急務」と仰っていました。これは業界全体の傾向を表しており、単一技術領域に特化した従来のエンジニアではなく、複数の技術領域をまたがって活躍できる人材への需要が高まっているのです。
技術者不足が深刻化する理由
コネクテッドカー業界でエンジニア需要が爆発的に増加している理由は、技術領域の複雑さと多様性にあります。現代のコネクテッドカーシステムには、組み込みシステム、リアルタイムOS、通信プロトコル、クラウドインフラ、機械学習、サイバーセキュリティなど、極めて幅広い技術要素が組み合わされています。
実際に業界で働いてみて感じるのは、従来の自動車業界とIT業界の技術者がそれぞれ持つ専門性だけでは、もはや対応しきれない複雑なシステム開発が日常的に求められることです。自動車の安全要求と、ITシステムの柔軟性・拡張性を両立させるには、両方の分野を深く理解したエンジニアが不可欠なのです。
年代別のコネクテッドカー業界転職戦略
コネクテッドカー業界への転職では、年代によって求められるスキルセットや転職戦略が大きく異なります。業界の特性上、技術の新しさと安全性の両立が求められるため、各世代の経験とポテンシャルをどう活かすかが重要になります。
20代:新技術への適応力と成長ポテンシャルが重視される
20代のエンジニアは、コネクテッドカー業界において最も歓迎される世代です。理由は明確で、この業界で使われる技術の多くが比較的新しく、従来の自動車業界にもIT業界にも完全に精通した人材が少ないためです。
実際に採用現場で感じるのは、企業側が20代のエンジニアに対しては「現在のスキルレベルよりも学習能力と適応力」を重視する傾向があることです。私が転職支援をした20代のエンジニアの中には、組み込み経験2年程度で年収700万円のオファーを獲得した方もいます。
ところで、20代で特に評価されるのは、IoT、クラウド、機械学習といった比較的新しい技術領域での実務経験です。これらの技術は従来の自動車開発では使われていなかったため、若い世代の方が習得しやすく、企業も積極的に投資する傾向があります。
30代:専門性と技術の橋渡し能力が求められる
30代のエンジニアには、複数の技術領域を結びつける役割が期待されます。組み込みシステムの経験を持ちながらクラウド技術にも精通している、あるいはWebアプリケーション開発の経験を活かしてテレマティクスサービスの設計ができるといった、技術領域をまたがる専門性が高く評価されます。
私の転職経験談として、30代前半でこの業界に転身した際、組み込み開発8年の経験に加えて、個人的に学習していたAWSクラウドサービスの知識が決定的な評価ポイントになりました。従来の車載システムとクラウドサービスを連携させるアーキテクチャ設計ができる人材は極めて希少で、結果的に想定を大幅に上回る年収でのオファーを獲得できました。
40代以降:マネジメント経験とアーキテクチャ設計力で勝負
40代以降のエンジニアがコネクテッドカー業界で活躍するには、技術的な深さに加えて、プロジェクトマネジメントやアーキテクチャ設計の経験が重要になります。この業界では、異なる技術領域の専門家が協力してシステムを構築するため、全体を俯瞰して調整できるシニアエンジニアの需要は非常に高いのです。
実際に40代で転職を成功させた方々を見ると、自動車業界でのプロジェクトリーダー経験、または大規模システム開発での技術責任者経験を持つ方が多い傾向があります。年収面でも、適切なポジションであれば1000万円を超える条件での転職が十分可能です。
コネクテッドカー業界の主要技術領域と求められるエンジニア職種
コネクテッドカー業界は複数の技術領域が融合した分野です。車両制御システム、通信インフラ、クラウドサービス、AI・機械学習という4つの主要領域で求められるエンジニア職種について詳しく解説します。それぞれの領域で必要なスキルセットを理解することで、自身のキャリア戦略を明確に描けるようになるでしょう。
車両制御システム領域
車両制御システム領域は、コネクテッドカーの中核となる技術分野です。エンジン制御、ブレーキ制御、ステアリング制御といった基本的な車両機能から、先進運転支援システム(ADAS)、自動運転システムまで、車の「動き」に関わるあらゆるシステムを開発します。
車載組み込みシステムエンジニア
車載組み込みシステムエンジニアは、車両のECU(Electronic Control Unit)に搭載されるリアルタイム制御ソフトウェアを開発する専門職です。自動車特有の厳しい安全要求(ISO 26262機能安全規格)と性能要求を満たすシステム設計が求められます。
年収レンジは600万円〜1200万円で、特にAUTOSAR(車載ソフトウェア標準化規格)の経験者や、リアルタイムOS(RTOS)での開発経験が豊富な方は、1000万円を超える条件での転職が可能です。C/C++によるベアメタル開発から、LinuxベースのAGL(Automotive Grade Linux)まで幅広い開発環境に対応できることが評価されます。
自動運転アルゴリズムエンジニア
自動運転アルゴリズムエンジニアは、センサーデータの処理、環境認識、経路計画、車両制御といった自動運転の中核技術を開発します。機械学習やコンピュータビジョンの知識に加えて、物理学や制御工学の理解も必要な高度な専門職です。
現在最も需要が高い職種の一つで、年収は800万円〜1800万円と非常に高額です。特にGoogle Waymoでの勤務経験やテスラでの開発経験を持つエンジニアは、日本企業でも2000万円を超える年収での転職事例があります。Python、C++での開発経験に加えて、TensorFlow、PyTorch等の機械学習フレームワークの実務経験が重視されます。
セーフティエンジニア
セーフティエンジニアは、車載システムの機能安全(Functional Safety)を担保する専門職です。ISO 26262規格に基づいたハザード分析、リスクアセスメント、安全コンセプトの策定を行い、自動車の安全性を技術的に保証します。
この職種は従来の自動車業界にもIT業界にも存在しなかった新しい専門分野で、経験者が極めて少ないため年収800万円〜1500万円と高額です。実際に私の知り合いで、産業機械の安全制御経験を活かしてこの分野に転身し、年収が400万円アップした方もいます。
通信インフラ・接続性領域
通信インフラ・接続性領域は、コネクテッドカーが外部世界と通信するための基盤技術を扱います。5G、V2X(Vehicle-to-Everything)通信、車載ネットワーク、サイバーセキュリティなど、車両を「つなぐ」技術が中心となります。
V2X通信システムエンジニア
V2X通信システムエンジニアは、車両と道路インフラ、他の車両、歩行者のデバイス間の通信システムを開発する専門職です。5G、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、C-V2X(Cellular Vehicle-to-Everything)といった通信技術を活用して、安全で効率的な交通システムを実現します。
この分野は特に人材不足が深刻で、年収700万円〜1400万円と高水準です。無線通信プロトコルの開発経験、特に5GやLTEの実装経験があるエンジニアは極めて高く評価されます。また、通信業界から転身される方も多く、NTTドコモやKDDIでの5G関連プロジェクト経験は大きなアドバンテージになります。
車載サイバーセキュリティエンジニア
車載サイバーセキュリティエンジニアは、コネクテッドカーの脆弱性分析、侵入検知システムの構築、セキュリティアーキテクチャの設計を担当します。WP.29(国連自動車基準調和世界フォーラム)のサイバーセキュリティ規則やISO/SAE 21434規格への対応も重要な業務です。
現在最も需要が急拡大している職種の一つで、年収800万円〜1600万円と非常に高額です。特に産業制御システムのセキュリティ経験やペネトレーションテストの経験があるエンジニアは、1200万円を超える年収での転職が期待できます。
車載ネットワークアーキテクト
車載ネットワークアーキテクトは、車内のECU間通信(CAN、LIN、FlexRay、Ethernet)から、車外との通信インターフェースまで、車両全体の通信アーキテクチャを設計します。従来の車載ネットワークと、IP通信ベースの新しいアーキテクチャを融合させる高度な専門性が求められます。
年収は700万円〜1300万円で、特にEthernet AVB/TSNの実装経験や、SOME/IP(車載向けサービス指向ミドルウェア)の開発経験があるエンジニアは高く評価されます。実際に私が転職支援した方の中には、産業用Ethernetの経験を活かしてこの分野に転身し、年収800万円のオファーを獲得した例があります。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
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システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。