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エンジニア障害者雇用・合理的配慮を活用した転職戦略:ダイバーシティ&インクルージョン推進企業で理想のキャリアを築く実践的ガイド

この記事のまとめ

  • 障害者雇用促進法により、企業には合理的配慮の提供義務があり、エンジニアの転職機会が広がっている
  • ダイバーシティ推進企業では、障害のある技術者のスキルと個性を積極的に評価する傾向が強まっている
  • 合理的配慮制度を理解し、適切に活用することで理想的な働き方を実現できる転職戦略の構築が可能

障害のあるエンジニアが転職を検討する際、「技術力があっても障害を理由に採用されないのではないか」という不安を抱く方は多いのではないでしょうか。

実はここ数年で、IT業界における障害者雇用の環境は大きく変化しています。合理的配慮制度の浸透により、多くの企業が障害のある技術者の能力と可能性に注目するようになったのです。

この記事では、障害のあるエンジニアが合理的配慮制度を戦略的に活用し、ダイバーシティ&インクルージョン推進企業で理想のキャリアを築くための実践的な方法をお伝えします。転職成功の鍵は、自分の価値を正しく理解し、それを効果的にアピールすることにあります。

障害者雇用促進法と合理的配慮:エンジニアの転職環境はどう変わったか

2024年4月より改正障害者雇用促進法が施行され、企業における合理的配慮の提供義務が強化されました。これにより、障害のあるエンジニアにとって転職環境は大きく改善されています。

従来は「障害があると技術職への採用は難しい」という固定観念が存在していましたが、今では多くのIT企業が障害者の技術力と創造性に注目するようになっています。特にリモートワークの普及により、物理的な制約を超えた働き方が可能になったことで、これまで以上に多様な働き方が実現できるようになったのです。

企業の意識変化:障害者雇用率の向上と新たな価値観

厚生労働省の統計によると、民間企業の障害者雇用率は年々向上しており、2023年度には過去最高の2.33%を達成しています。特にIT業界では、技術革新とダイバーシティの推進が同時に進んでいることから、障害のある技術者への期待が高まっています。

実際に多くのIT企業では、障害のある社員が新たな視点やアイデアをもたらすことで、プロダクト開発やサービス改善に貢献している事例が報告されています。視覚障害のあるエンジニアがアクセシビリティに配慮したシステム設計を提案したり、聴覚障害のある開発者が集中力を活かして高品質なコードを書いたりと、多様な強みが活かされているのです。

こうした変化の背景には、企業が「障害者雇用は社会貢献」という従来の考え方から「多様な人材が組織の競争力を高める」という戦略的な視点に転換していることがあります。

合理的配慮の具体例:IT業界での実践事例

合理的配慮とは、障害のある人が能力を発揮できるよう、個別の状況に応じて提供される配慮のことです。IT業界では、以下のような配慮が実際に行われています。

視覚障害のあるエンジニアへの配慮例:

画面読み上げソフトの導入、点字ディスプレイの提供、コードレビュー時の音声説明サポート、ドキュメントの音声化対応などが行われています。多くの企業では、こうした配慮により視覚障害のあるエンジニアが高い生産性を発揮していることが報告されています。

聴覚障害のあるエンジニアへの配慮例:

会議での手話通訳や文字起こしサービス、チャットベースのコミュニケーション環境整備、視覚的な情報共有ツールの活用などが実施されています。特にリモートワーク環境では、テキストベースのコミュニケーションが主流になったことで、聴覚障害のある方にとってより働きやすい環境が実現されています。

発達障害・精神障害のあるエンジニアへの配慮例

発達障害や精神障害のあるエンジニアに対しては、働く環境や業務の進め方に関する配慮が重要です。多くの企業で効果的な配慮として以下が実践されています。

環境面での配慮:

集中しやすい個別ワークスペースの提供、騒音を避けられる静かな環境の確保、照明の調整、在宅勤務の選択肢提供などが行われています。ADHD特性のあるエンジニアにとって、集中できる環境づくりは生産性向上に直結します。

業務面での配慮:

タスクの細分化と明確な指示、定期的な進捗確認、フレキシブルな勤務時間、休憩時間の調整などが実施されています。また、ストレス管理のためのカウンセリング制度や産業医との面談機会も多くの企業で提供されています。

これらの配慮により、発達障害や精神障害のある技術者が持つ集中力や独創性、細部への注意力といった特性を活かした活躍が可能になっているのです。

身体障害のあるエンジニアへの配慮例

身体障害のあるエンジニアに対しては、物理的なアクセシビリティと機器の調整が重要な配慮要素となります。

アクセシビリティ面での配慮:

車椅子対応のデスク高さ調整、バリアフリーなオフィス環境、専用駐車場の確保、エレベーターでのアクセス確保などが実施されています。また、通院のための時間調整や体調に応じた休憩時間の設定なども一般的な配慮として行われています。

機器・ツール面での配慮:

手の機能に応じた特殊キーボードやマウスの提供、音声入力ソフトの導入、大型モニターの設置、昇降デスクの導入などが実施されています。これらの配慮により、身体障害のある技術者が技術力を最大限に発揮できる環境が整備されているのです。

実際に多くの企業で、こうした配慮を受けながら活躍している身体障害のあるエンジニアが、プロジェクトリーダーやテクニカルスペシャリストとして重要な役割を担っています。

ダイバーシティ&インクルージョン推進企業の特徴と選定方法

障害のあるエンジニアが理想的な転職を実現するためには、単に障害者雇用を行っている企業を探すだけでは不十分です。真の意味でダイバーシティとインクルージョンを推進し、障害のある社員の成長と活躍を支援している企業を選定することが重要です。

これまで多くの障害者が「採用されるだけでもありがたい」という消極的な姿勢で転職活動を行ってきました。しかし現在は、「自分の能力を最大限に発揮できる環境で働きたい」という積極的な姿勢で企業を選び、自らの価値を主張する時代になっているのです。

D&I推進企業の見極めポイント

真にダイバーシティとインクルージョンを実践している企業を特定するためには、以下のポイントを確認することが重要です。これらの指標は、単なる「障害者雇用の数合わせ」ではなく、本気で多様な人材の活躍を目指している企業であるかどうかを判断するための重要な指標となります。

経営層のコミットメント

本気でD&Iを推進している企業は、経営トップがD&Iに対して明確なメッセージを発信していることが多いです。ホームページや採用サイトでCEOや代表取締役のメッセージを確認し、ダイバーシティやインクルージョンについて具体的に言及しているかどうかをチェックしましょう。

さらに、年次報告書やサステナビリティレポートにD&Iに関する具体的な取り組みや成果が記載されているかを確認することも重要です。単なるスローガンではなく、数値目標や具体的な取り組みが示されている企業は、真剣にD&Iに取り組んでいると判断できます。

障害者雇用率と定着率

単に障害者雇用率が高いだけではなく、障害のある社員の定着率や昇進率も重要な指標です。真にインクルーシブな企業では、障害のある社員が長期間にわたって活躍し、キャリアアップを実現している事例が存在します。

企業の採用ページやインタビュー記事で、障害のある社員が管理職やスペシャリストとして活躍している事例が紹介されているかどうかをチェックしてみましょう。このような情報が公開されている企業は、障害者の成長を真剣にサポートしている可能性が高いです。

専門2部署や支援組織の存在

本格的にD&Iに取り組んでいる企業は、障害者雇用や合理的配慮を推進する専門2部署を設置していることが多いです。人事部内にD&I推進室やインクルージョン推進チームがあるかどうかを確認してみましょう。

また、社内に障害者同士のコミュニティやメンターシップ制度が整備されているかどうかも重要なポイントです。こうした取り組みは、障害のある社員が孤立することなく、安心して働き続けられる環境づくりに寄与しています。

アクセシビリティの取り組み状況

真にインクルーシブな企業は、自社のプロダクトやサービスでアクセシビリティに配慮した開発を行っていることが多いです。企業のウェブサイトやアプリケーションが音声読み上げソフトに対応しているか、キーボードのみで操作可能か、色覦障害に配慮したデザインになっているかなどを確認してみましょう。

こうした取り組みは、その企業が障害者のニーズを深く理解し、ビジネスの中核にインクルージョンの価値観を組み込んでいることを示しています。そのような企業では、障害のあるエンジニアが単なる労働者ではなく、価値創造のパートナーとして扱われる可能性が高いです。

障害者雇用での面接対策:合理的配慮を前提としたアピール戦略

障害のあるエンジニアが転職に成功するためには、単に技術力をアピールするだけでは不十分です。障害特性を理解し、それを強みに変えるストーリーを構築し、合理的配慮を受けながら最大限のパフォーマンスを発揮できることを具体的に伝えることが重要です。

面接では、「障害があっても頑張ります」という消極的なメッセージではなく、「自分の特性を活かして、こんな価値を提供できます」という積極的なアピールを心がけましょう。

障害特性を強みに変えるストーリー構築術

障害をハンディキャップとして捉えるのではなく、個性や特性としてポジティブに伝えることが重要です。例えば、ADHDの特性である集中力の高さや細部への注意力を、「バグの発見能力が高い」「コードの品質管理に優れている」といった技術的な強みとしてアピールできます。

また、自閉スペクトラム障害(ASD)の特性であるルーチンへのこだわりや一貫性への重視を、「システム設計の一貫性を保つことが得意」「ドキュメントの統一性を保つことが得意」という形でアピールできます。このように、障害特性を技術的な強みとして再定義することで、面接官に強い印象を与えることができます。

合理的配慮の具体的な提案方法

面接では、自分に必要な合理的配慮を具体的かつ建設的に提案することが大切です。「配慮が必要です」という漠然とした伝え方ではなく、「このような環境やツールがあれば、さらに高いパフォーマンスを発揮できます」というポジティブな提案として伝えることが重要です。

具体的な提案例としては、「集中しやすい環境での作業により、コーディングの品質とスピードを同時に向上させることができます」「リモートワーク環境での作業により、通勤ストレスの軽減と集中力の向上を実現できます」といった具体的なメリットを示すことが有効です。

事前準備と情報収集の重要性

障害者雇用の面接で成功するためには、応募企業の障害者雇用に対する取り組みや過去の実績を事前に徹底的に調査することが重要です。企業のホームページやIR情報、ニュースリリース、サステナビリティレポートなどから情報を収集し、その企業が障害者雇用に対してどのようなスタンスを持っているかを把握しましょう。

また、LinkedInや企業の採用ページで、実際に障害のある社員が活躍している事例やインタビュー記事が掲載されているかどうかを確認することも有効です。こうした情報をもとに、面接では「貴社の○○さんのインタビューを拝読し、非常に共感しました」といった具体的なエピソードを交えながら話を進めることで、面接官に強い印象を与えることができます。

面接でのコミュニケーションのポイント

障害者雇用の面接では、自分の障害や特性について明確かつ積極的に話すことが重要です。面接官が障害について十分な理解を持っていない可能性もあるため、「障害があってもできること」ではなく「障害があるからこそできること」を具体的に伝えることが大切です。

例えば、「聴覚障害があるため、音声でのコミュニケーションには制約がありますが、テキストベースのコミュニケーションでは非常に精度の高い情報伝達が可能です。チャットやメールでのコミュニケーションでは、詳細な設計書や仕様書を作成する際にその能力を十分に発揮できます」といった具体的な説明を行うことが有効です。

障害者雇用におけるキャリア戦略:長期的な成長と活躍のために

障害者雇用での転職は、単に仕事を得ることがゴールではありません。真の目標は、自分の能力を最大限に発揮し、継続的なキャリア成長を実現することです。そのためには、入社後の長期的な戦略を考え、持続可能な働き方を構築していくことが重要です。

特にエンジニアとしてのキャリアでは、技術の進歩に合わせた継続的な学習とスキルアップが求められます。障害のあるエンジニアが長期的に活躍し続けるための戦略を考えていきましょう。

スキル開発と継続的学習の戦略

障害のあるエンジニアが競争力を維持し、キャリアを発展させていくためには、自分の特性を活かした効率的な学習方法を確立することが重要です。例えば、視覚障害のあるエンジニアは音声ベースの学習コンテンツやスクリーンリーダー対応の教材を活用することで、効率的に新しい技術を習得できます。

また、社内外のメンターシッププログラムや障害者コミュニティを活用することで、同じような状況で成功したエンジニアからのアドバイスやサポートを得ることもできます。こうしたネットワークは、技術的なスキル向上だけでなく、キャリア開発や転職戦略の立案においても貴重な情報源となります。

キャリアパスの設計と将来展望

障害者雇用でのキャリアパスは、企業の理解とサポートによって多様な可能性を秘めています。多くの障害者が、ジュニアエンジニアからシニアエンジニア、テクニカルリーダー、マネージャーといった段階的な成長を避げています。

特に注目すべきは、障害者が自らの経験を活かしてアクセシビリティやユニバーサルデザインの専門家として活躍するケースが増えていることです。このような新しい専門領域は、障害者にとって大きなキャリアチャンスとなっています。自分の障害特性や経験を活かした独自のキャリアパスを構築することで、他のエンジニアとは異なる価値を提供できるのです。

網絡構築と情報発信の戦略

障害者雇用での成功とキャリア発展には、網絡構築と情報発信が重要な役割を果たします。障害者コミュニティやエンジニアコミュニティへの積極的な参加を通じて、情報交換や相互支援のネットワークを構築していくことが重要です。

また、自らの経験や学びをブログやSNS、技術カンファレンスなどで発信することで、障害者エンジニアとしての存在感を高め、新たな機会やキャリアの可能性を拡げることができます。こうした情報発信は、自分自身のキャリアアップにつながるだけでなく、他の障害者のロールモデルとなることで社会全体のインクルージョン推進にも貢献できるのです。

障害者雇用を活用した転職成功のための実践アクションプラン

ここまでの内容を踏まえ、障害のあるエンジニアが合理的配慮を活用して理想の転職を実現するための具体的なアクションプランを提示します。このプランは、転職活動の準備段階から入社後の活躍までを体系的にカバーしています。

障害者雇用での転職は、一般的な転職活動とは異なる独自の戦略とアプローチが必要です。しかし、正しい知識と準備を整えることで、障害のあるエンジニアでも十分に競争力のある転職活動を展開できるのです。

ステップ1:自己分析と強みの明確化

転職活動の最初のステップは、自分の障害特性を正確に理解し、それを技術的な強みとして言語化することです。例えば、集中力の高さ、細部への注意力、一貫性へのこだわり、パターン認識能力など、障害特性をエンジニアリングのスキルとして再定義しましょう。

さらに、自分に必要な合理的配慮を具体的にリストアップし、その配慮があることでどのようなパフォーマンス向上が期待できるかを整理しておきましょう。この準備は、面接での自信を持ったアピールに直結します。

ステップ2:ターゲット企業の精選と情報収集

障害者雇用に積極的な企業を特定し、徹底的な情報収集を行いましょう。具体的には、企業の障害者雇用率、過去の採用実績、実際に働いている障害者の声、アクセシビリティへの取り組み状況などを調査します。

また、その企業が取り組んでいる技術領域やプロジェクトの特徴、チームの組織構造などを理解し、自分のスキルや経験がどのように活かせるかを具体的にイメージしておきましょう。この情報は、志望動機や自己PRの構成に必須の材料となります。

ステップ3:応募書類の作成とアピール戦略の構築

障害者雇用での応募書類は、一般的な履歴書・職務経歴書に加えて、合理的配慮に関する情報を整理した文書を作成することが重要です。この文書では、自分の障害特性、必要な配慮内容、その配慮があることで期待できるパフォーマンスを明確かつ具体的に記載します。

また、ポートフォリオや技術ブログ、GitHubのプロジェクトなどを活用して、自分の技術力と創造性を具体的に示すことも必要です。障害特性を活かした開発事例や、アクセシビリティを意識したプロジェクトなどがあれば、それらを積極的にアピールしていきましょう。

ステップ4:面接対策と実戦練習

障害者雇用の面接では、事前の十分な準備と練習が成功の鍵となります。障害に関する質問、合理的配慮の具体的な内容、過去の成功体験など、予想される質問に対する回答を事前に準備し、実際に声に出して練習しておきましょう。

特に、自分の障害特性を強みとしてアピールするストーリーを練習し、合理的配慮の提案を建設的に行えるようにしておくことが重要です。また、オンライン面接の場合に備えて、必要なサポートツールや環境設定の準備も必須です。

ステップ5:入社後の活躍とキャリア構築

転職に成功した後は、新しい環境での活躍と長期的なキャリア構築に焦点を移しましょう。入社初期は、合理的配慮の実際の運用状況を確認し、必要に応じて細かな調整を依頼することが大切です。また、チームメンバーとのコミュニケーションを積極的に行い、信頼関係を構築していくことも重要です。

長期的な観点では、自分の特性を活かした独自の専門性を構築し、組織にとってなくてはならない存在になることを目指しましょう。アクセシビリティの専門家、ユニバーサルデザインのエキスパート、インクルーシブ技術のリーダーなど、障害者だからこそ発揮できるキャリアパスを開拓していきましょう。

まとめ:障害者雇用で理想のエンジニアキャリアを実現するために

障害者雇用促進法の改正と合理的配慮義務の強化により、障害のあるエンジニアを取り巻く転職環境は大きく改善されています。しかし、このチャンスを最大限に活用するためには、正しい知識と戦略的なアプローチが不可欠です。

重要なのは、障害をハンディキャップとして捉えるのではなく、個性や特性、そして技術的な強みとして再定義することです。自分の価値を正しく理解し、それを効果的にアピールし、合理的配慮を活用して最大限のパフォーマンスを発揮することで、障害のあるエンジニアでも十分に競争力のあるキャリアを構築できるのです。

未来のテクノロジー社会では、多様な觖点と発想を持つ人材が、より一層重要な存在になっていくでしょう。障害のあるエンジニアの持つ独自の特性や経験は、そんな社会においてきっと大きな価値を発揮するはずです。自信を持って挑戦し、理想のキャリアを実現していきましょう。

未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント

転職成功のポイント

未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

未経験者を募集している求人を探す

未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。

さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。

教育制度の有無を確認して企業を選ぶ

未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。

逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。

IT業界に役立つ資格を取得する

IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。

  • ITパスポート
  • 基本情報技術者試験
  • マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
  • 応用情報技術者試験

また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。

  • 論理的思考力
  • プログラミングスキル
  • コミュニケーション能力
  • プレゼンスキル
  • 資料作成能力
  • 英語力

IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。

文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする

IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。

たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。

また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。

【例文あり】志望動機を明確にしておく

未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。

  • 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
  • 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
  • 自分自身のエピソードを盛り込む

3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。

プログラマー

【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。

現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。

システムエンジニア

【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。

現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。

上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。

【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要

未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。

プログラマー

【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。

目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。

システムエンジニア

【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。

転職エージェントを活用した準備がおすすめ

未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。

また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。

未経験からIT業界へ転職するメリット

転職のメリット

まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。

在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も

IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。

また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。

キャリアプランを立てやすい

IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。

未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点

転職の注意点

働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。

未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい

転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。

転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。

人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある

IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。

思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。

未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決

IT業界への疑問

未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。

副業やアルバイトから始められる?

未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。

フリーランスとして活躍するには?

ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。

高卒でもIT業界を目指せる?

IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。

未経験でもインターンを受けることは可能?

IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。

まとめ

未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。

未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。

マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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