この記事のまとめ
- 障害のある同僚との協働は、チーム全体の創造性と問題解決力を向上させる重要な機会
- 効果的なコミュニケーション、適切な配慮、支援技術の活用がインクルーシブな職場環境の基盤
- 多様性を活かしたチーム開発により、より質の高いプロダクトと革新的なソリューションが生まれる
IT業界では多様な背景を持つエンジニアが働いており、障害のある同僚と協働する機会も増えています。しかし、どのように適切なサポートをしながら効果的な協働を実現すべきか悩む方も多いのではないでしょうか。
実は、障害のある同僚との協働は、チーム全体の能力を向上させる貴重な機会なのです。異なる視点や思考パターンを持つメンバーが集まることで、より創造的で革新的なソリューションが生まれやすくなります。
本記事では、障害のある同僚との効果的な協働方法と、インクルーシブな職場環境で高い成果を実現するための実践的なコラボレーション戦略を詳しく解説します。適切な知識とスキルを身につけることで、あなたも多様性を活かしたチーム開発のリーダーとして活躍できるようになるでしょう。
インクルーシブな職場環境の重要性とその価値
現代のIT業界では、多様性とインクルージョンが企業の競争力に直結する重要な要素となっています。障害のある同僚との協働を通じて、私たちは従来の枠組みを超えた新しい視点と創造性を手に入れることができるのです。
多様性がもたらすイノベーションの力
マイクロソフトの調査によると、多様性の高いチームは同質性の高いチームと比較して87%高い問題解決能力を発揮することが明らかになっています。障害のある同僚が持つ独特の視点や思考プロセスは、しばしば私たちが見落としがちな課題や解決策を発見する助けとなります。
例えば、視覚障害のあるエンジニアは音声ユーザーインターフェースの設計において、一般的な開発者では気づかない細かなユーザビリティ課題を発見し、より包括的で使いやすいプロダクトの開発に貢献します。また、聴覚障害のあるエンジニアは視覚的な情報設計に長けており、データ可視化やUI/UX設計において優れたアイデアを提供することが多いのです。
実際に私が経験したプロジェクトでも、自閉症スペクトラム障害のあるエンジニアが持つ詳細への注意力と パターン認識能力によって、他のメンバーでは発見できなかった複雑なバグを特定し、システム全体の品質向上に大きく貢献した事例がありました。このように、多様性は決して配慮すべき課題ではなく、チーム全体の能力を高める貴重な資源なのです。
企業にとってのインクルーシブ採用のメリット
多くの企業がインクルーシブな職場環境の構築に積極的に取り組んでいる背景には、明確なビジネス上のメリットがあります。デロイトの研究によれば、インクルーシブな企業は競合他社と比較して収益性が2倍高く、市場投入の速度も1.7倍速いことが示されています。
これは偶然ではありません。障害のある従業員が持つ問題解決へのアプローチは、しばしば既存の方法論とは根本的に異なっており、革新的なソリューションの源泉となるからです。また、アクセシビリティを考慮した製品開発は、障害のない利用者にとっても使いやすさの向上につながり、より幅広い市場への訴求力を高めます。
さらに重要なのは、インクルーシブな職場環境が全従業員のエンゲージメントと創造性を高めることです。多様性を受け入れる文化の中で働くエンジニアは、より自由に発想し、リスクを恐れずに新しいアイデアに挑戦する傾向があります。これらの要素が相互に作用し合うことで、組織全体のイノベーション能力が飛躍的に向上するのです。
効果的なコミュニケーション戦略の構築
障害のある同僚との効果的な協働を実現するためには、従来のコミュニケーション手法を見直し、より包括的で配慮のあるアプローチを採用する必要があります。ここでは、様々な障害特性に応じた具体的なコミュニケーション戦略を詳しく解説します。
視覚障害のある同僚との協働における配慮
視覚障害のあるエンジニアと効果的に協働するためには、視覚情報に依存しないコミュニケーション手法の確立が重要です。例えば、画面共有を行う際は、単に「ここをクリックしてください」と言うのではなく、「画面上部のナビゲーションバーの右端にある設定ボタンをクリックしてください」のように、具体的な位置情報を音声で伝える必要があります。
また、コードレビューの際には、行番号と具体的な変更内容を詳細に説明することで、スクリーンリーダーを使用している同僚も効率的にレビューに参加できます。私の経験では、このような配慮により、視覚障害のあるシニアエンジニアがチーム内で最も詳細で建設的なコードレビューを提供してくれるようになりました。さらに、ドキュメントを作成する際は、適切な見出し構造とalt属性を使用し、スクリーンリーダーでの読み上げに対応した形式を心がけることが大切です。
聴覚障害のある同僚とのコミュニケーション手法
聴覚障害のあるエンジニアとの協働では、視覚的な情報伝達手段を最大限に活用することが重要です。オンライン会議では、チャット機能を積極的に使用し、重要なポイントは文字で補強することで、情報の共有漏れを防ぐことができます。また、事前に会議のアジェンダと資料を共有し、議論の流れを予測できるようにすることも効果的です。
手話通訳者が同席する場合は、通訳者ではなく本人に直接話しかけることを心がけましょう。ペアプログラミングの際は、画面共有と併せてコードの変更箇所をコメントで明記したり、意図をドキュメントに記録したりすることで、音声に頼らないコラボレーションが可能になります。
特に注目すべきは、聴覚障害のあるエンジニアが持つ視覚的思考力の高さです。彼らは情報を視覚的に整理し、構造化する能力に長けているため、システム設計やデータフロー図の作成において優れた成果を発揮することが多いのです。このような特性を理解し、適切な役割分担を行うことで、チーム全体の生産性向上につながります。
発達障害のある同僚との効果的な協働方法
自閉症スペクトラム障害やADHDなどの発達障害のあるエンジニアとの協働では、構造化されたコミュニケーションと明確な期待値の設定が重要になります。タスクの説明は具体的で詳細に行い、曖昧な表現は避けるようにしましょう。例えば、「適当に調整してください」ではなく、「パフォーマンス向上のため、このアルゴリズムの実行時間を現在の100msから50ms以下に短縮してください」のように、明確な指標を提示することが大切です。
発達障害のあるエンジニアの多くは、ルーチンワークや詳細な分析作業において卓越した能力を発揮します。集中力が高く、一つのタスクに深く取り組む特性を活かし、複雑なデバッグ作業やコードの最適化などの役割を担当してもらうことで、チーム全体の品質向上に大きく貢献してもらえます。
また、感覚過敏などの特性を持つメンバーには、作業環境の調整も重要です。ノイズキャンセリングヘッドフォンの使用や、照明の調整、静かな作業スペースの提供など、個人の特性に合わせた環境整備を行うことで、彼らの能力を最大限に引き出すことができるのです。
支援技術とツールの効果的な活用法
現代の技術発展により、障害のある同僚との協働をサポートする様々な支援技術やツールが利用可能になっています。これらのツールを適切に活用することで、チーム全体の生産性とコラボレーション効率を大幅に向上させることができます。
ここでは、実際の開発現場で活用されている具体的な支援技術とその導入方法について詳しく解説します。
スクリーンリーダーとコード読み上げ技術の活用
視覚障害のあるエンジニアとの協働において、スクリーンリーダー技術の理解は不可欠です。NVDA、JAWS、VoiceOverなどの主要なスクリーンリーダーソフトウェアは、コードエディタと連携して効率的な開発作業を可能にします。Visual Studio CodeやIntelliJ IDEAなどの統合開発環境は、これらのスクリーンリーダーに最適化された機能を提供しており、適切な設定を行うことで視覚障害のあるエンジニアも高い生産性を維持できます。
特に重要なのは、コードコメントの書き方です。通常のコメントに加えて、コードの構造や処理の流れを音声で理解しやすいように説明を追加することで、スクリーンリーダーを使用するエンジニアもスムーズにコードレビューや修正作業に参加できるようになります。また、変数名や関数名を音声で理解しやすい形で命名することも、チーム全体の可読性向上につながります。
ペアプログラミングの際は、画面の変更箇所を詳細に説明し、キーボードショートカットを積極的に活用することで、マウス操作に依存しない効率的な開発プロセスを構築できます。これらの配慮は、視覚障害のあるエンジニアだけでなく、キーボード中心の開発を好む他のメンバーにとっても作業効率の向上をもたらします。
音声認識とリアルタイム字幕技術の導入
聴覚障害のあるエンジニアとの協働では、音声認識技術とリアルタイム字幕システムが大きな力を発揮します。Microsoft Teams、Zoom、Google Meetなどの主要なビデオ会議ツールは、自動字幕機能を内蔵しており、会議の内容をリアルタイムでテキスト化できます。ただし、技術用語や固有名詞の認識精度を向上させるため、事前に専門用語辞書を設定したり、重要なキーワードをチャットで補完したりする工夫が必要です。
より高精度な字幕が必要な場合は、UDトークやOtterといった専用の音声認識アプリの導入も効果的です。これらのツールは、話者の声質に学習し、より正確な文字起こしを提供できます。特にコードレビューやアーキテクチャ議論など、技術的な詳細が重要な会議では、こうした専門ツールの活用が成果の質を大きく左右します。
手話通訳者が参加する場合は、技術用語の事前共有と、画面共有時の配置に配慮が必要です。コードを画面共有する際は、通訳者とコード画面が同時に見えるよう画面分割を行い、手話通訳と技術内容の両方を同僚が理解できる環境を整備しましょう。
さらに、非同期コミュニケーションツールの活用も重要です。Slack、Microsoft Teams、Discordなどのチャットツールを効果的に使用し、音声では伝わりにくい技術的な詳細や、会議後の補足説明を文字で共有することで、聴覚障害のある同僚も完全に議論に参加できる環境を構築できます。
認知支援ツールとタスク管理システムの活用
発達障害のあるエンジニアとの協働では、構造化されたタスク管理と認知支援ツールの活用が特に重要になります。TrelloやAsana、Jiraなどのプロジェクト管理ツールを使用する際は、タスクの優先順位を明確に示し、完了条件を具体的に記述することで、曖昧さを排除した作業指示が可能になります。
特に自閉症スペクトラム障害のあるエンジニアには、作業手順を視覚的に整理したフローチャートやチェックリストの提供が効果的です。NotionやObsidianなどの知識管理ツールを活用し、プロジェクトの全体像から詳細なタスクまでを階層的に整理することで、彼らの優れた分析能力を最大限に活用できます。
ADHDの特性を持つエンジニアには、時間管理支援ツールが有効です。Toggl TrackやRescueTimeなどの時間追跡ツールを使用し、集中できる時間帯や効率的な作業パターンを可視化することで、個人の特性に合わせた最適な作業スケジュールを構築できます。
また、感覚過敏や集中力の課題に対応するため、ノイズキャンセリングヘッドフォンやホワイトノイズアプリ、ブルーライトカットフィルターなどの物理的な支援ツールの導入も検討しましょう。これらのツールは、発達障害のある同僚だけでなく、チーム全体の集中力向上にも寄与します。
ペアプログラミングの際は、LiveShareやCodeWithMeなどのリアルタイム協働エディタを活用し、互いのコーディングプロセスを可視化することで、異なる思考パターンを持つメンバー間での効果的な知識共有が実現できます。
ユニバーサルデザインツールとアクセシビリティ検証
インクルーシブな開発チームでは、ユニバーサルデザインの原則に基づいたツール選択と開発プロセスの構築が重要です。axe-coreやLighthouseなどのアクセシビリティ検証ツールを継続的インテグレーション(CI/CD)パイプラインに組み込むことで、すべてのユーザーが使いやすいプロダクトの開発が可能になります。
Color Oracleやコントラスト比チェッカーなどの視覚確認ツールを活用し、色覚特性や視覚障害に配慮したユーザーインターフェースの設計を行うことも重要です。これらのツールは、チーム内の多様な視点を技術的に補完し、より包括的なプロダクト開発を実現します。
また、WAI-ARIA(Web Accessibility Initiative - Accessible Rich Internet Applications)の実装ガイドラインに基づいたコーディング規約を策定し、セマンティックHTMLの適切な使用、適切なラベリング、キーボードナビゲーションの最適化を標準化することで、技術的な品質とアクセシビリティの両立が可能になります。
さらに、障害のある同僚自身が使用している支援技術に関する知識を共有してもらうことで、チーム全体のアクセシビリティ意識が向上し、実用的で効果的なソリューションの開発につながります。彼らの実体験に基づくフィードバックは、理論的な知識だけでは得られない貴重な洞察を提供してくれるのです。
チーム文化の醸成と継続的な改善プロセス
インクルーシブな職場環境を構築するためには、単発的な取り組みではなく、組織文化として多様性と包摂を根付かせる継続的なプロセスが不可欠です。効果的なチーム文化の醸成には、明確なガイドラインの策定、定期的な振り返り、そして全メンバーの意識改革が必要になります。
インクルーシブなチーム運営のガイドライン策定
成功するインクルーシブチームは、明文化された行動指針と価値観を共有しています。「多様性を尊重し、それぞれの強みを活かす」といった抽象的な理念だけでなく、具体的な行動レベルでの指針を策定することが重要です。
例えば、「会議では必ず発言機会を均等に配分する」「技術的な議論では複数の解決アプローチを検討する」「メンバーの特性に応じたコミュニケーション手段を選択する」など、日常的な業務における具体的な行動基準を設けることで、理念を実践に移すことができます。
また、障害や特性に関する基本的な理解促進のための勉強会や、実際の支援技術を体験するワークショップなどを定期的に開催し、チーム全体の知識レベルと感受性を継続的に向上させることも効果的です。私が参加したチームでは、月に一度「アクセシビリティ体験会」を実施し、スクリーンリーダーでのWebブラウジングや、音声なしでの動画視聴などを通じて、多様なユーザー体験への理解を深めていました。
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
関連記事 【20代高卒】資格なしでも転職できる?おすすめの職種と成功のコツを紹介 フリーランスプログラマの働き方とは?メリット・デメリットについて
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。