この記事のまとめ
- エンジニア転職では機密情報管理スキルが企業から高く評価される重要な差別化要因
- セキュリティクリアランス取得によりプロジェクト参画率が向上し年収300万円アップも可能
- 情報資産保護の実践経験とインシデント対応力が転職市場での希少性価値を生む
エンジニアとして転職を検討している際、技術力だけでなく情報セキュリティ管理能力も企業から注目される重要なスキルだということをご存知でしょうか。
実は、昨今のサイバー攻撃の増加と企業の情報漏洩リスクへの危機感から、機密情報を適切に扱えるエンジニアの市場価値は飛躍的に向上しています。特に金融、医療、防衛関連企業では、セキュリティクリアランスを持つエンジニアに対して高額な報酬を支払う傾向にあります。
この記事では、エンジニア転職における情報セキュリティ管理術の実践的な習得方法と、それを活用した年収アップ戦略について詳しく解説します。読み終わる頃には、競合他社のエンジニアとは一線を画す差別化されたキャリア戦略が明確になるはずです。
なぜエンジニア転職で情報セキュリティ管理スキルが重要視されるのか
現代のIT業界では、技術的なプログラミングスキルと同等に、情報セキュリティ管理能力が企業から強く求められています。その背景には、深刻化するサイバー脅威と企業の情報資産保護への危機感があります。
企業の情報漏洩リスクと採用基準の変化
2024年の調査では、IT企業の89%が情報セキュリティインシデントによる経営リスクを最重要課題として位置づけています。特に大手企業では、技術者を採用する際に情報セキュリティに関する知識と実践経験を必須条件とするケースが急増しています。
この状況は、エンジニアにとって新たなキャリア機会を意味します。従来のプログラミングスキルに加えて、機密情報の適切な取り扱い、セキュリティインシデント対応、コンプライアンス遵守といった能力を身につけることで、企業から高く評価される人材になれるのです。
実際に、セキュリティ意識の高いエンジニアは、同等の技術レベルの競合者と比較して平均20-30%高い年収を獲得しているという調査結果もあります。つまり、情報セキュリティ管理術は、技術者としての市場価値を大幅に向上させる重要な差別化要因となっているのです。
セキュリティクリアランスの市場価値と年収への影響
セキュリティクリアランスは、政府や防衛関連企業、金融機関のプロジェクトに参画するために必要な資格認定制度です。この認定を取得したエンジニアは、機密性の高いプロジェクトにアサインされる機会が格段に増え、結果として高い年収を実現できます。
具体的には、セキュリティクリアランスを持つエンジニアの平均年収は、一般的なエンジニアと比較して約300万円高くなるというデータがあります。特に防衛関連システム、金融インフラ、医療情報システムなどの分野では、この認定が事実上の必須要件となっているため、非常に高い競争優位性を発揮できるのです。
さらに注目すべきは、セキュリティクリアランスの取得過程で身につく情報管理能力が、一般企業での評価も格段に向上させることです。機密情報の分類、アクセス制御、インシデント対応といったスキルは、どの企業でも重宝される普遍的な価値を持っています。
情報セキュリティ管理スキルが企業評価に与える具体的効果
企業がエンジニアの情報セキュリティ管理能力を評価する際、特に重視されるのは以下の3つの観点です。まず、技術的なセキュリティ知識の深さです。暗号化技術、認証システム、ネットワークセキュリティといった専門知識を実際のプロジェクトでどう活用できるかが問われます。
次に、組織運営におけるセキュリティガバナンスへの理解度です。コンプライアンス要件の把握、リスク評価の実施、セキュリティポリシーの策定・運用といった、組織全体の情報保護体制構築に貢献できる能力が高く評価されます。
最後に、インシデント発生時の対応力です。情報漏洩やサイバー攻撃が発生した際に、迅速かつ適切な初動対応ができ、被害を最小限に抑える能力を持つエンジニアは、企業にとって非常に貴重な人材として位置づけられます。こうした多面的な能力を持つエンジニアは、転職市場において圧倒的な優位性を享受できるのです。
エンジニア転職で習得すべき情報セキュリティ管理の実践的スキル領域
情報セキュリティ管理術を転職戦略に活用するためには、体系的にスキルを習得する必要があります。ここでは、企業から高く評価される具体的なスキル領域を4つのカテゴリに分けて詳しく解説します。
これらのスキルは相互に関連し合いながら、エンジニアとしての総合的な情報セキュリティ管理能力を形成します。転職を成功させるためには、バランス良くこれらの能力を身につけることが重要です。
技術的セキュリティスキル領域
技術的セキュリティスキルは、システム開発の現場で直接活用できる実践的な能力群です。これらのスキルを習得することで、セキュアな設計・実装ができるエンジニアとして企業から高く評価されます。
暗号化技術とデータ保護
暗号化技術の理解と実装能力は、情報セキュリティの根幹をなすスキルです。対称暗号、非対称暗号、ハッシュ関数といった基本概念から、TLS/SSL、PKI(公開鍵基盤)の実装まで幅広い知識が求められます。特に個人情報や機密データを扱うシステムでは、適切な暗号化実装ができるエンジニアは不可欠な存在となります。
認証・認可システムの設計実装
多要素認証、シングルサインオン(SSO)、OAuth 2.0、SAML といった認証技術の実装経験は、転職市場で非常に高く評価されます。ユーザーのアクセス制御を適切に設計・実装できる能力は、あらゆる企業システムで必要とされる普遍的なスキルです。
セキュアコーディング実践
SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング(XSS)、CSRF攻撃などの脆弱性を理解し、それらを防ぐコーディング技法を身につけることで、開発現場での信頼性が飛躍的に向上します。OWASP Top 10 の理解と対策実装は、現代のWebアプリケーション開発において必須のスキルとなっています。
ネットワークセキュリティ基盤
ファイアウォール設定、IDS/IPS運用、VPN構築といったネットワークレベルでのセキュリティ対策能力は、インフラエンジニアだけでなく、アプリケーション開発者にも求められる重要なスキルです。ネットワーク攻撃を理解し、適切な防御策を講じることができるエンジニアは、企業のセキュリティ体制強化に大きく貢献できます。
ガバナンス・コンプライアンス管理領域
企業の情報セキュリティガバナンスに関わる知識と実践能力は、組織全体のセキュリティレベル向上に貢献できるエンジニアとして非常に高く評価されます。技術者であっても、組織運営の視点を持つことで管理職への昇進機会も大幅に増加します。
情報セキュリティポリシー策定・運用
企業の情報セキュリティポリシーの策定、見直し、運用に携わった経験は、転職時に大きなアピールポイントとなります。ISO 27001やNIST Cybersecurity Frameworkといった国際標準に基づいたポリシー設計能力は、グローバル企業での評価が特に高くなります。ポリシーを現場の実情に合わせて実装できる実践力が重要です。
リスクアセスメント・監査対応
情報資産のリスク評価、脆弱性診断の計画・実施、監査対応といったスキルは、企業のコンプライアンス体制維持に不可欠です。定量的なリスク分析手法を用いて、経営陣に対して適切なセキュリティ投資の提案ができる能力は、技術者から経営層への架け橋として高く評価されます。
データプライバシー・法規制対応
GDPR、個人情報保護法、PCI DSS といった法規制への対応経験は、グローバル展開する企業や規制業界での転職において必須のスキルです。法的要件を技術実装に落とし込む能力は、コンプライアンス部門と開発部門の両方から重宝される希少性の高いスキルとなります。
セキュリティ教育・意識向上施策
組織全体のセキュリティ意識向上のための教育プログラム設計・実施経験は、人材育成の観点からも高く評価されます。技術的知識を非技術者にも理解できる形で伝える能力は、リーダーシップポジションへの適性を示す重要な指標となります。
インシデント対応・危機管理領域
情報セキュリティインシデントが発生した際の対応能力は、エンジニアの市場価値を決定する最も重要な要素の一つです。平時の予防策だけでなく、有事の際の迅速かつ適切な対応ができるエンジニアは、企業にとって非常に価値の高い人材として認識されます。
インシデントレスポンス計画策定・実行
セキュリティインシデント発生時の初動対応手順の策定と実際の対応経験は、転職市場で非常に高く評価されるスキルです。CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の運営や、フォレンジック調査の基礎知識、被害拡大防止のための緊急措置能力などが含まれます。特に、実際のインシデント対応経験がある場合は、その詳細な対応プロセスと成果を具体的にアピールできれば、大幅な年収アップが期待できます。
脅威インテリジェンスの活用
最新のサイバー攻撃手法や脅威情報を継続的に収集・分析し、組織の防御策に反映させる能力は、プロアクティブなセキュリティ管理ができるエンジニアとして高く評価されます。MITRE ATT&CKフレームワークの活用、IOC(Indicators of Compromise)の分析、脅威ハンティングの実践といったスキルが含まれます。
ビジネス継続計画(BCP)策定
サイバー攻撃によるシステム停止時の事業継続計画策定に関わった経験は、技術者でありながら経営視点を持つ貴重な人材として評価されます。災害復旧手順の策定、バックアップシステムの設計・運用、緊急時のコミュニケーションプランの作成といった包括的な危機管理能力が求められます。
ダークウェブ監視・情報収集
企業の機密情報が闇市場で取引されていないかを監視する技術と、そのための情報収集手法は、先進的なセキュリティ対策を実践できるエンジニアとして差別化要因となります。TorやI2Pといった匿名ネットワークの理解と安全な利用方法、脅威アクターの動向分析といった高度なスキルが含まれます。
オンボーディング・機密情報管理領域
新しい組織に加わった際の情報セキュリティ管理能力と、日常業務における機密情報の適切な取り扱いスキルは、転職成功と入社後の評価に直結する重要な要素です。これらのスキルを身につけることで、組織の情報セキュリティレベル向上に貢献できる信頼性の高いエンジニアとして認識されます。
新規プロジェクト参画時のセキュリティ手順遵守
新しいプロジェクトやチームに参加する際の適切なセキュリティ手順の理解と実践は、プロフェッショナルなエンジニアとしての基本能力を示します。アクセス権限の最小権限原則に基づいた申請、機密レベルに応じた情報の分類と取り扱い、チーム内でのセキュリティルールの共有と遵守といった実践的なスキルが含まれます。これらの能力は、どの組織でも即戦力として活躍できる汎用性の高い価値を持ちます。
機密情報のライフサイクル管理
機密情報の作成から廃棄まで、全ライフサイクルにわたる適切な管理能力は、情報漏洩リスクを最小化する重要なスキルです。情報の分類基準の理解、適切なストレージとアクセス制御の実装、定期的な棚卸しと不要情報の安全な廃棄手順の実践といった包括的な管理能力が求められます。特に、クラウド環境での機密情報管理経験は、現代のIT環境において高く評価されます。
クロスファンクショナルチームでのセキュリティ協働
開発、運用、法務、コンプライアンス部門といった異なる専門領域のメンバーと協働して、組織全体のセキュリティレベルを向上させる能力は、チームリーダーやプロジェクトマネージャーへのキャリアパス開拓に大きく貢献します。技術的知識を非技術者にも理解しやすい形で説明し、部門間の調整を行うコミュニケーション能力と合わせて、総合的な問題解決力を示すことができます。
セキュリティ監査・検査対応
内部監査や外部監査機関からの検査に対する適切な対応能力は、組織のコンプライアンス体制維持において不可欠なスキルです。監査要求事項の理解、証跡の適切な準備と提示、監査指摘事項への改善対応といった一連のプロセスを経験することで、組織運営の視点を持つエンジニアとして高く評価されます。
情報セキュリティ管理スキルと年収の相関関係
情報セキュリティ管理能力を持つエンジニアの年収は、一般的なIT職種と比較して大幅に高い水準にあります。特にセキュリティクリアランスや専門資格を持つエンジニアは、企業から非常に高い評価を受け、それに見合った報酬を得ています。
セキュリティ専門職の年収水準比較
セキュリティ職種名 | 平均年収 | 必要スキル・資格 |
---|---|---|
セキュリティアーキテクト | 950万円 | セキュリティクリアランス、CISSP |
インシデントレスポンス専門家 | 880万円 | フォレンジック、CSIRT運営経験 |
セキュリティコンサルタント | 820万円 | ガバナンス、コンプライアンス |
セキュリティエンジニア | 720万円 | 脆弱性診断、ペネトレーション |
セキュリティオペレーター | 650万円 | SOC運用、監視システム |
年代別セキュリティエンジニア年収
セキュリティ分野では、経験年数と専門性の蓄積により年収の伸び率が一般的なIT職種よりも高くなる傾向があります。
年代 | 一般IT職平均年収 | セキュリティ職平均年収 | 差額 |
---|---|---|---|
20歳~24歳 | 350万円 | 450万円 | +100万円 |
25歳~29歳 | 420万円 | 580万円 | +160万円 |
30歳~34歳 | 520万円 | 750万円 | +230万円 |
35歳~39歳 | 630万円 | 950万円 | +320万円 |
情報セキュリティ管理スキルを持つエンジニアは、一般的なIT職種と比較して初年度から年収が100万円以上高く、キャリアを積むにつれてその差は拡大していきます。特に30代以降では、年収差が300万円を超えるケースも珍しくありません。
情報セキュリティ管理スキル習得の実践的ロードマップ
情報セキュリティ管理術を転職戦略に活用するためには、体系的かつ段階的にスキルを習得していく必要があります。ここでは、現在のスキルレベルに応じて、どのようなステップで能力を向上させていけばよいかを具体的に解説します。
基礎レベル(転職準備期間:3-6ヶ月)
情報セキュリティ管理の基礎知識習得から始めることで、転職活動での差別化要因を作ることができます。まず重要なのは、情報セキュリティの基本的な概念と脅威の理解です。CIA(機密性、完全性、可用性)の三要素、一般的な攻撃手法、基本的な防御策について学習しましょう。
次に、実践的なスキルとして、パスワード管理、二要素認証の設定、基本的な暗号化ツールの使用方法を身につけます。これらは日常業務で即座に活用でき、セキュリティ意識の高さをアピールできる具体的なスキルです。
基礎資格としては、情報セキュリティマネジメント試験(SG)やCompTIA Security+の取得を目指すとよいでしょう。これらの資格は、情報セキュリティの基礎知識を体系的に学べると同時に、転職活動での客観的な証明材料として活用できます。
中級レベル(実務経験1-3年)
実際の開発現場での経験を積みながら、より専門的なセキュリティスキルを習得していく段階です。セキュアコーディングの実践が最も重要な要素となります。OWASP Top 10の各脆弱性について、攻撃手法と対策方法を実際のコードレベルで理解し、安全なアプリケーション開発ができるようになりましょう。
脆弱性診断ツールの使用方法を習得することも重要です。静的解析ツール(SAST)や動的解析ツール(DAST)を使用して、自分が開発したアプリケーションの脆弱性を発見・修正できる能力は、開発チームにおいて非常に価値の高いスキルとなります。
この段階では、CISSP Associate資格や、より専門的な認定資格の取得を検討しましょう。また、社内でのセキュリティインシデント対応経験を積極的に積むことで、実践的な対応力を身につけることができます。
上級レベル(実務経験3年以上)
組織レベルでの情報セキュリティガバナンス構築に関わる段階です。セキュリティポリシーの策定、リスクアセスメントの実施、セキュリティ監査の対応といった、組織全体のセキュリティレベル向上に貢献できる能力を身につけます。
セキュリティクリアランスの取得を目指すことで、より高度で機密性の高いプロジェクトへの参画機会が格段に増加します。また、フォレンジック調査、インシデントレスポンス、脅威インテリジェンスといった高度な専門分野での経験を積むことで、市場価値を大幅に向上させることができます。
CISSP、CISM、CISAといった国際的に認知された高度資格の取得により、セキュリティ専門家としての地位を確立できます。この段階では、セキュリティコンサルタントやセキュリティアーキテクトといった高年収職種への転職が現実的な選択肢となります。
エンジニア転職における情報セキュリティ管理スキルの効果的なアピール戦略
情報セキュリティ管理能力を転職成功に結びつけるためには、これらのスキルを効果的にアピールする戦略が不可欠です。技術的な知識だけでなく、それをビジネス価値に変換できる能力を示すことで、企業から高く評価される人材として認識されます。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
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未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。