この記事のまとめ
- エンジニアの転職活動では複数企業の面接を同時進行することが一般的で、効率的な日程管理が成功の鍵
- カレンダーアプリやスプレッドシートを活用した一元管理で、ダブルブッキングや準備不足を防げる
- 面接辞退のタイミングと方法を適切に判断することで、業界内での信頼関係を維持できる
エンジニアとして転職活動を始めると、思っていた以上に複数の企業から面接の案内が届くことがあります。嬉しい悲鳴ではありますが、現職の業務と並行しながら複数の面接日程を管理するのは、実はかなり大変な作業です。
私も前回の転職活動では、最大で8社の選考を同時に進めていた時期がありました。その時は面接日程の調整ミスで、せっかくのチャンスを逃してしまったことも。そんな失敗を繰り返さないために編み出した、効率的な転職活動の日程管理術を今回はご紹介します。
この記事では、複数企業の面接を同時進行する際の具体的なスケジュール管理方法から、面接辞退の適切なタイミングまで、実践的なノウハウをお伝えします。転職活動を効率的に進めて、理想の企業への転職を成功させましょう。
なぜエンジニアの転職活動では日程管理が重要なのか
エンジニアの転職活動は、他の職種と比べて特殊な面があります。技術面接や実技試験など、複数回の面接が設定されることが多く、選考期間も長期化する傾向にあります。さらに、人材不足が続くIT業界では、優秀なエンジニアには複数の企業から同時にオファーが来ることも珍しくありません。
このような状況で適切な日程管理ができていないと、せっかくの面接機会を逃したり、準備不足で実力を発揮できなかったりする可能性があります。実際、私の知人でも面接日程の管理ミスで第一志望の企業の選考を辞退せざるを得なくなったケースがありました。
転職活動を成功させるためには、戦略的な日程管理が欠かせません。特に現職を続けながらの転職活動では、限られた時間を最大限に活用する必要があります。
複数企業の選考が同時進行する現実
エンジニアの転職市場は売り手市場が続いており、一人のエンジニアに対して複数の企業が積極的にアプローチしてくる状況です。転職エージェントを利用している場合、週に5〜10社程度の求人を紹介されることも珍しくありません。
そうなると、書類選考を通過した企業だけでも3〜5社、多い時には10社近くの面接を同時期に受けることになります。各企業の選考プロセスは通常2〜4回の面接で構成されており、これらを現職の業務と並行して進めるには、緻密なスケジュール管理が必要不可欠です。
私の経験では、最も忙しい時期には週に8回の面接をこなしていました。朝の出社前、昼休み、定時後と、一日に複数の面接を入れることもありました。このような状況を乗り切るためには、単に空いている時間に面接を入れるだけでなく、戦略的な日程調整が求められます。
現職との両立で生じる時間的制約
多くのエンジニアは現職を続けながら転職活動を行います。これは経済的な安定を保ちながら、より良い条件の企業を探すための賢明な選択ですが、同時に大きな時間的制約も生じます。
通常の業務時間中に面接を受けることは難しく、有給休暇の取得にも限界があります。さらに、プロジェクトの締め切りやリリース前の繁忙期には、面接の日程調整が極めて困難になることもあります。
このような制約の中で効率的に転職活動を進めるには、面接可能な時間帯を事前に把握し、企業側に柔軟な対応を求めることも重要です。最近では、オンライン面接の普及により、移動時間を節約できるようになったのは大きなメリットといえるでしょう。
選考プロセスの複雑さと準備の必要性
エンジニアの選考プロセスは、一般的な職種と比べて複雑です。書類選考から始まり、人事面接、技術面接、場合によってはコーディングテストや課題提出、最終面接と、複数のステップを踏むことが一般的です。
それぞれの面接では異なる準備が必要となります。人事面接では志望動機やキャリアビジョンを明確に伝える必要があり、技術面接では専門知識やこれまでの開発経験について深く掘り下げられます。コーディングテストがある場合は、アルゴリズムの復習や実装練習も欠かせません。
これらの準備を複数企業分同時に進めるとなると、各企業の選考状況や次のステップの内容を正確に把握し、適切な準備時間を確保する必要があります。日程管理が疎かになると、準備不足のまま面接に臨むことになり、本来の実力を発揮できない可能性が高まります。
面接日程の調整における企業側の期待
企業側も優秀なエンジニアの採用には積極的で、できるだけ早く選考を進めたいと考えています。そのため、面接日程の提案に対して迅速な返答を期待されることが多く、返答が遅れると他の候補者に先を越される可能性もあります。
一方で、あまりに性急な日程調整は、候補者側の準備不足を招き、お互いにとって良い結果につながりません。企業側の期待に応えつつ、自分にとって最適な日程を確保するバランス感覚が求められます。
特に人気企業の場合、面接枠が限られていることもあり、一度断ると次の機会がなかなか得られないこともあります。このような企業については、優先順位を高く設定し、多少無理をしてでも日程を確保する判断も必要になるでしょう。
転職活動の日程管理でよくある失敗パターン
多くのエンジニアが転職活動で陥りがちな日程管理の失敗パターンがあります。これらの失敗は、せっかくの転職機会を逃したり、企業に悪い印象を与えたりする原因となります。
私自身も、過去の転職活動でこれらの失敗を経験し、その度に改善策を考えてきました。ここでは、実際によくある失敗パターンとその対策を紹介します。
ダブルブッキングによるパニック
最もよくある失敗は、同じ日時に複数の面接を入れてしまうダブルブッキングです。これは単純な管理ミスのように思えますが、複数の企業と並行して日程調整をしていると、意外に起こりやすいミスです。
あるエンジニアの例では、A社とB社の面接を同じ日の14時に設定してしまい、当日になって気づいたそうです。慌ててB社に日程変更をお願いしたところ、「弊社への志望度が低いのでは?」と疑念を持たれ、結果的にマイナス評価につながってしまったそうです。
このようなミスを防ぐためには、すべての面接日程を一元管理するシステムが必要です。カレンダーアプリやスプレッドシートを活用して、企業名、面接日時、場所、面接官の情報などを統一したフォーマットで記録しましょう。
移動時間を考慮しないスケジューリング
オンライン面接が普及したとはいえ、まだまだ対面面接を実施する企業も多く存在します。特に最終面接や重要なポジションの面接では、「直接会って話したい」という企業の要望も理解できます。
しかし、現職のオフィスから面接会場までの移動時間を考慮せずにスケジュールを組むと、大きなトラブルにつながります。例えば、昼休みの1時間で面接を受けるつもりが、往復の移動に1時間半かかることが判明し、結果的に午後の業務に遅刻してしまったというケースもあります。
移動時間は余裕を持って計算し、特に都心部での面接の場合は、電車の遅延や混雑も考慮に入れる必要があります。また、面接後に現職のオフィスに戻る必要がある場合は、その時間も含めてスケジュールを立てましょう。
準備不足のまま面接に臨む
複数の面接が立て込んでくると、各企業の研究や面接対策が疎かになりがちです。特に、どの企業がどのような技術スタックを使用しているか、どのようなプロダクトを開発しているかを混同してしまうこともあります。
あるエンジニアは、C社の面接でD社の技術スタックについて話してしまい、面接官に「うちの会社についてよく理解していないのでは?」と指摘された経験を話してくれました。このようなミスは、志望度の低さを疑われる原因となります。
対策としては、各企業ごとに面接ノートを作成し、企業の特徴、技術スタック、プロダクト、志望動機などを整理しておくことが重要です。また、面接前日には必ずその企業の情報を再確認する時間を設けましょう。
コミュニケーション不足による誤解
転職活動中は、複数の企業の採用担当者やエージェントと同時にやり取りをすることになります。この際、コミュニケーション不足から、重要な情報を見落としたり、誤解が生じたりすることがあります。
例えば、あるエンジニアは、エージェントからの連絡を「面接の日程調整」だと思い込んでいたところ、実は「面接前の課題提出」の依頼だったというケースがありました。結果的に課題を提出しないまま面接に臨むことになり、大きなマイナス評価を受けてしまったそうです。
このようなミスを防ぐためには、すべての連絡を注意深く確認し、不明点があれば必ず確認することが大切です。また、メールや電話でのやり取りの内容は、必ずメモを取り、後で確認できるようにしておきましょう。
効率的な転職活動の日程管理術
これまでの失敗パターンを踏まえて、私が実践している効率的な日程管理術をご紹介します。これらの方法を活用することで、転職活動をスムーズに進めることができました。
カレンダーアプリを活用した一元管理
まず最も重要なのは、すべての面接スケジュールを一元管理することです。私は Google カレンダーを使って、転職活動専用のカレンダーを作成しています。各面接の予定には以下の情報を含めるようにしています。
- 企業名と面接の種類(一次面接、技術面接、最終面接など)
- 面接場所(オンサイトの場合は住所とアクセス方法)
- 面接官の情報(判明している場合)
- 準備すべき内容のメモ
- 移動時間の見積もり
さらに、カレンダーアプリのリマインダー機能を活用して、面接の1週間前、1日前、2時間前に通知が来るように設定しています。これにより、準備の進捗を確認したり、当日のスケジュールを再確認したりすることができます。
スプレッドシートでの進捗管理
カレンダーと並行して、Google スプレッドシートや Excel で選考の進捗を管理することもお勧めします。私は以下のような項目を含む表を作成しています。
- 企業名
- 応募日
- 現在のステータス(書類選考中、一次面接待機、二次面接完了など)
- 次のアクション
- 企業研究メモ
- 志望度(優先順位)
- 提示年収
- 備考
このような表を作成することで、現在進行中の選考の全体像を俯瞰でき、優先順位をつけて対応することが可能になります。特に、複数の企業から同時に内定が出た場合の意思決定にも役立ちます。
バッファ時間の確保
面接間の移動や予想外の事態に備えて、必ずバッファ時間を確保するようにしています。具体的には、以下のルールを設けています。
- 同じ日に複数の面接を入れる場合は、最低3時間の間隔を空ける
- オンサイト面接の場合は、前後30分ずつのバッファを含めた移動時間を確保
- オンライン面接の場合でも、接続テストのために15分前にはスタンバイ
このバッファ時間があることで、面接が長引いた場合や、交通機関の遅延があった場合でも、次の予定に影響を与えずに済みます。私の経験では、このバッファ時間のおかげで、面接が予定より30分長引いた際も、落ち着いて次の面接に臨むことができました。
柔軟な日程調整のコツ
企業から面接日程の打診が来た際、すぐに返答することは重要ですが、同時に柔軟な対応を心がけることも大切です。私が実践している方法は以下の通りです。
まず、複数の候補日を提示することです。例えば、「来週の月曜日の午後はいかがでしょうか?」という打診に対して、「月曜日の14時以降、火曜日の終日、水曜日の午前中であれば調整可能です」のように、幅を持たせた回答をします。
また、どうしても都合がつかない場合は、その理由を正直に伝えることも重要です。「現在のプロジェクトのリリースが来週に控えており、その週は調整が難しいのですが、再来週以降であれば柔軟に対応できます」のように、事情を説明することで、企業側の理解も得やすくなります。
面接辞退のタイミングと方法
転職活動で最もデリケートなのが、面接の辞退です。辞退のタイミングや方法を誤ると、企業に悪い印象を与えるだけでなく、IT業界が狭いため、将来的にマイナスに働く可能性もあります。
適切な辞退タイミング
面接辞退のタイミングには、以下のような基準があります。
書類選考段階での辞退 この段階では、特に連絡は必要ありません。企業側も多数の応募者がいることを理解しています。
一次面接後の辞退 一次面接を受けた後の辞退は、早めの連絡が必要です。理想的には、2〜3日以内に連絡することをお勧めします。
最終面接後または内定後の辞退 この段階での辞退は最も慎重に行う必要があります。企業側はすでに採用計画を立てている可能性が高いため、決定次第すぐに連絡することが重要です。
私の経験では、ある企業から内定をいただいた後、1週間辞退の連絡を先延ばしにしてしまったことがありました。その結果、採用担当者から電話で叱きつけられ、非常に気まずい思いをしました。
適切な辞退方法
面接辞退の連絡方法についても、マナーがあります。基本的にはメールでの連絡が一般的ですが、状況によっては電話での連絡が適切な場合もあります。
メールでの辞退連絡の例
件名:選考辞退のご連絡
株式会社○○
人事部 △△様
お世話になっております。
先日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
貴社の業務内容や文化について詳しく伺い、大変魅力を感じましたが、
誠に勝手ながら、他社への入社を決定いたしましたため、
今回は選考を辞退させていただきたく存じます。
貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
[氏名]
このように、感謝の気持ちを伝えつつ、簡潔に辞退の意思を伝えることが大切です。詳細な理由を説明する必要はありませんが、「他社への入社を決定した」という点は明確にすることで、企業側も納得しやすくなります。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。