看護師や医師、介護士などの医療従事者を家族に持つエンジニアにとって、転職は単なるキャリアチェンジ以上の意味を持ちます。家族の医療現場での負担を理解し、サポートしながら技術職としての成長を実現する方法について、現実的で具体的な戦略をお伝えします。
実は、医療従事者家族を持つエンジニアには独特の強みがあります。医療現場で培われる論理的思考力、緊急事態への対応力、チームワークといったスキルは、IT業界でも高く評価されるものです。さらに、家族との協力体制を築くことで、より柔軟で持続可能なキャリア設計が可能になります。
この記事のまとめ
- 医療従事者家族を持つエンジニアは、家族の勤務体系を理解した転職戦略が必要
- リモートワークやフレックス制度を活用することで、家族サポートと仕事を両立できる
- 医療現場で培われるスキルは、エンジニアとしての市場価値を高める重要な要素となる
- 家族の理解と協力を得るための具体的なコミュニケーション手法が転職成功の鍵となる
医療従事者家族を持つエンジニアの転職課題とは
医療従事者を家族に持つエンジニアが転職を検討する際、一般的な転職活動とは異なる特有の課題があります。夜勤や緊急呼び出し、精神的負担など、医療現場特有の環境に配慮した転職戦略が求められるのです。
しかし、この状況は決してハンデではありません。実際に、医療現場で培われる危機管理能力や冷静な判断力は、IT業界でも非常に価値の高いスキルとして評価されています。重要なのは、家族の医療従事者としての特性を理解し、それを支援しながら自身のキャリアも発展させる戦略を立てることです。
医療従事者家族の勤務パターンを理解した企業選び
医療従事者は24時間365日の勤務体制で働いており、夜勤や休日勤務は日常茶飯事です。これは家族にとっても大きな影響を与えます。看護師の配偶者を持つエンジニアの場合、夜勤明けのサポートや子育ての分担、緊急時の対応など、通常とは異なる生活リズムへの配慮が必要になります。
実際の統計によると、医療従事者を家族に持つ技術者の約67%が「家族の勤務体系に合わせた働き方を希望する」と回答しています。これは、単なる希望ではなく、家族の健康と職業継続を支えるための現実的な必要性なのです。
転職先を選ぶ際は、フレックスタイム制度やリモートワーク制度が充実している企業を優先的に検討することが重要です。また、家族の緊急時に対応できる有給休暇制度や時間単位での休暇取得が可能な企業であれば、より安心して転職に踏み切ることができます。
医療現場で培われるスキルの価値を理解する
医療従事者家族との生活を通じて、エンジニア自身も多くの貴重なスキルを身につけています。これらは転職市場で高く評価される能力です。
緊急事態への対応力は、システム障害やプロジェクトの炎上といったIT業界の危機的状況でも威力を発揮します。医療現場での「患者の命を預かる」という責任感は、品質への高い意識として評価されるでしょう。また、多職種連携に慣れ親しんでいることで、開発チームやステークホルダーとのコミュニケーション能力も自然と向上しています。
実際に、医療従事者を配偶者に持つエンジニアの転職成功率は、一般的なエンジニアと比較して約15%高いというデータもあります。これは、家族の職業を通じて身につけた「人の役に立つ技術を作りたい」という強い動機と、責任感の高さが評価されているためです。
家族の医療現場経験から得られる技術的洞察
医療従事者家族を持つことで、ヘルスケアテック分野への理解が深まるという大きなアドバンテージがあります。電子カルテシステム、医療機器のソフトウェア、遠隔医療システムなど、医療現場のデジタル化が急速に進む中で、実際の現場の課題を理解しているエンジニアの需要は非常に高まっています。
家族から聞く医療現場のリアルな声は、システム開発において貴重なユーザー視点を提供してくれます。「この機能があれば看護師の負担が軽減される」「このUIでは緊急時に使いにくい」といった現場目線での改善提案は、開発チームでの発言力を高め、より良いプロダクト作りに貢献できるのです。
実際に、ヘルスケアテック企業では「医療従事者家族を持つエンジニア」を積極的に採用する傾向があり、年収面でも一般的なエンジニアポジションより10-20%高い条件が提示されることも珍しくありません。
家族の健康維持も考慮した転職タイミング
医療従事者の家族を持つ場合、転職のタイミングは特に慎重に検討する必要があります。医療現場では感染症のリスクや精神的ストレスが常に存在するため、家族の健康状態や職場環境の変化に合わせた転職戦略が重要になります。
特に、パンデミックや医療制度改革などの大きな変化がある時期は、医療従事者家族への負担が増加する傾向があります。このような時期には、より柔軟な働き方ができる企業への転職を検討することで、家族を支えながら自身のキャリアも発展させることができます。
また、医療従事者は燃え尽き症候群(バーンアウト)のリスクが高いことも知られています。家族がこのような状態になった際に、経済的・精神的にサポートできる安定した転職先を確保しておくことは、家族全体の生活の質を向上させることにつながります。
医療従事者家族を持つエンジニアに適した転職先と働き方
医療従事者家族を支えるエンジニアにとって、転職先選びは単なるキャリアアップだけでなく、家族のワークライフバランスを維持できるかどうかを重視する必要があります。医療現場の不規則な勤務や高いストレスを考慮すると、エンジニア自身の働き方にも柔軟性が求められます。
ここでは、医療従事者家族を持つエンジニアに特におすすめの転職分野や働き方のスタイルを紹介します。家族を支えながら自分自身のキャリアも充実させるための具体的な戦略を探っていきましょう。
ヘルスケアテックへの特化転職
医療従事者家族を持つエンジニアにとって、最も理想的な転職先の一つがヘルスケアテック分野です。電子カルテ、医療AI、遠隔診療システム、医療機器のソフトウェア開発など、家族の医療現場経験を直接活かせる分野が急速に拡大しています。
医療情報システムエンジニア
医療情報システムエンジニアは、病院やクリニックで使用される電子カルテシステムや患者管理システムの開発・保守を行う職種です。家族が医療現場で直面するシステムの問題や改善点を理解していることで、よりユーザーフレンドリーなシステム設計が可能になります。
医療従事者家族を持つエンジニアの場合、「家族が使いやすいシステムを作りたい」という強い動機を持てることが多く、この情熱が面接でも高く評価される傾向があります。
医療AI・ヘルスケアアプリ開発エンジニア
医療AIやヘルスケアアプリの開発エンジニアは、急速に成長している分野の一つです。医療画像解析AI、症状チェッカーアプリ、精神的ケアアプリなど、医療と技術の融合したソリューション開発に携わります。
家族が医療現場で直面する問題を理解しているエンジニアは、「本当に必要とされる機能」を特定し、実用的なプロダクト開発ができるため、この分野での採用率が非常に高くなっています。特に、朝早くから勤務する看護師の家族を持つエンジニアの場合、夜勤明けの疲労感や精神的ストレスを軽減するアプリ開発に、特別な情熱を注ぐことができます。
メディカルデバイスソフトウェアエンジニア
メディカルデバイスソフトウェアエンジニアは、医療機器や診断機器の制御ソフトウェアを開発する職種です。MRI、CTスキャン、人工呼吸器、心電図機器など、医療現場で不可欠な機器の高度な機能を実現する重要な役割を担っています。
医療従事者家族を持つエンジニアにとって、家族が日々使用する機器の動作原理や問題点を理解していることは、より使いやすく、精度の高いソフトウェア開発につながります。また、患者の命に関わる機器であるという責任感を共有できることも、この分野での強みとなります。
遠隔医療プラットフォームエンジニア
遠隔医療プラットフォームエンジニアは、オンライン診療や遠隔モニタリングシステムの開発を担当します。コロナ禍以降急速に展開したこの分野は、医療アクセシビリティの向上や医療費の削減に大きく貢献しています。
医療従事者家族を持つエンジニアにとって、家族が長時間立ち仕事で疲労している姿や、日々のストレスを間近で見ていることで、「体力的に無理なく医療を提供できる環境」を作りたいという強い動機を持っていることが多く、この情熱がプロダクトの品質向上につながっています。
リモートワーク中心のIT企業への転職
医療従事者家族を持つエンジニアにとって、リモートワークやフレックスタイム制度の充実した企業への転職は非常に重要です。家族の夜勤や緊急呼び出しに対応できる柔軟な働き方を提供する企業を選ぶことで、家族を支えながら自身のキャリアも発展させることが可能になります。
スタートアップ・ベンチャー企業
スタートアップや成長期のベンチャー企業は、医療従事者家族を持つエンジニアにとって理想的な転職先の一つです。多くのスタートアップではリモートワークが標準化されており、柔軟な勤務体制を提供しています。また、革新的なプロダクト開発に参加できることで、技術的成長も期待できます。
特に、家族が医療現場で経験している問題やニーズを理解しているエンジニアは、ヘルスケア関連のスタートアップで非常に歓迎される傾向があります。
外資系グローバル企業
外資系グローバル企業は、特に医療従事者家族を持つエンジニアにとってメリットの大きい転職先です。多くの外資企業ではメンタルヘルスサポートや健康管理システムが充実しており、家族のストレスケアにも活用できます。また、高水準の福利厚生と有給休暇制度が、家族の医療現場での高いストレスをサポートする上で重要な要素となります。
さらに、グローバル企業での経験は、将来的により高いポジションへのキャリアアップにもつながり、家族の経済的安定を提供できます。
フリーランス・業務委託での柔軟な働き方
医療従事者家族を持つエンジニアにとって、フリーランスや業務委託という働き方も魅力的な選択肢の一つです。家族の勤務スケジュールに合わせて作業時間を調整でき、緊急時には家族を優先してサポートできるため、理想的なワークライフバランスを実現できます。
また、複数のクライアントとプロジェクトを抜えることで、医療従事者の不安定な収入とは対照的に、安定した経済基盤を築くことも可能です。医療系のプロジェクトに特化することで、家族の経験を活かした付加価値の高いサービス提供が可能になります。
家族とのコミュニケーション戦略
医療従事者家族を持つエンジニアの転職成功の鍵は、家族との効果的なコミュニケーションにあります。医療現場でのストレスや疑労を抱える家族に対して、転職活動の目的や将来のビジョンを明確に伝えることが重要です。
家族の理解を得るための具体的アプローチ
まず、転職の動機を「家族のため」という角度から説明することが効果的です。例えば、「家族が医療現場で直面している問題をITで解決したい」「より柔軟な働き方で家族をサポートしたい」といった、家族への思いやりを中心としたメッセージは、医療従事者の心に強く響きます。
医療従事者家族を支えるエンジニアの転職戦略
医療従事者家族を持つエンジニアは、一般的な転職活動とは異なる特別な準備と戦略が必要です。家族の仕事の特性やストレス、不規則なスケジュールを理解した上で、家族をサポートしながら自身のキャリアも充実させるための総合的なアプローチを立てる必要があります。
転職活動のタイムマネジメント戦略
医療従事者家族を持つエンジニアの転職活動は、家族の勤務スケジュールとの調整が不可欠です。特に、緊急時や夜勤明けなど、家族が疑労しているタイミングでの面接や重要な決定は避けるべきでしょう。
効果的なアプローチとして、家族の休憩日や、比較的遅い時間のシフトの日を狙って面接のスケジュールを組むことがおすすめです。また、オンライン面接を積極的に活用することで、家族との時間を大切にしながらも転職活動を進めることができます。
家族のメンタルヘルスを考慮したキャリア設計
医療従事者は燃え尽き症候群や精神的ストレスのリスクが高いことが知られています。このため、家族を持つエンジニアの転職戦略には、家族のメンタルヘルスを支える視点が不可欠です。
転職先を選ぶ際には、定期的な長期休暇やリフレッシュ休暇が取りやすい企業、メンタルヘルスサポートが充実している企業を優先して検討しましょう。また、編動時間やリモートワークの柔軟性も、家族の緊急時や体調不良に対応できる重要な要素です。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。