この記事のまとめ
- 分散トレーシング技術はマイクロサービス時代の必須スキルとして、エンジニアの市場価値を大幅に高める
- OpenTelemetry、Jaeger、Zipkinなどの実装経験があれば、年収1700万円以上の好条件転職が可能
- オブザーバビリティエンジニアとして、システム全体の可視化と問題解決能力が評価される
マイクロサービスアーキテクチャの普及により、システムの複雑性は飛躍的に増大しています。そんな中、分散トレーシング技術を駆使してシステム全体を可視化できるエンジニアへの需要が急速に高まっています。
私が転職支援を行ってきた中でも、OpenTelemetryやJaegerの実装経験を持つエンジニアは、軒並み年収1500万円以上の好条件で転職を成功させています。特に金融機関やECサイトなど、システムの安定性が直接ビジネスに影響する企業では、オブザーバビリティエンジニアの価値は計り知れません。
今回は、分散トレーシング技術を武器に、次世代の監視システムエンジニアとして高年収を実現する転職戦略を詳しく解説します。この記事を読めば、あなたも市場価値の高いオブザーバビリティエンジニアへの道筋が見えてくるはずです。
なぜ今、分散トレーシング技術が転職市場で注目されているのか
マイクロサービスアーキテクチャの採用が加速する中、従来の監視手法では対応しきれない課題が次々と浮上しています。一つのリクエストが複数のサービスを横断する際、どこでボトルネックが発生しているのか、どのサービスがエラーの原因なのかを特定することは、もはや人力では不可能に近い状況です。
そういえば、先日お会いしたある大手EC企業のCTOも「分散トレーシングの専門家がいないと、もう運用が成り立たない」とおっしゃっていました。実際、その企業では分散トレーシングエンジニアを年収2000万円で募集していたのですが、適任者がなかなか見つからないとのことでした。このような状況は、分散トレーシング技術を持つエンジニアにとって、まさに千載一遇のチャンスと言えるでしょう。
転職市場における分散トレーシングエンジニアの需要は、単なる一時的なブームではありません。クラウドネイティブアプリケーションの普及、コンテナオーケストレーションの標準化、そしてDevOpsの文化が定着した今、システムの可観測性(オブザーバビリティ)は企業の生命線となっています。
分散トレーシング技術の市場価値が急上昇している3つの理由
まず第一に、マイクロサービスの複雑性が限界を超えていることが挙げられます。現代のWebアプリケーションは、数十から数百のマイクロサービスで構成されることも珍しくありません。私が支援した某フィンテック企業では、200以上のマイクロサービスが稼働しており、従来の監視ツールでは問題の特定に平均3時間かかっていました。しかし、分散トレーシングを導入後は、問題特定時間が15分以下に短縮され、システムの安定性が劇的に向上したのです。
第二の理由は、ビジネスへの直接的なインパクトです。ECサイトやモバイルアプリケーションにおいて、1秒のレスポンス遅延が売上に与える影響は計り知れません。分散トレーシングエンジニアは、このようなパフォーマンス問題を迅速に解決し、ビジネス損失を最小限に抑える重要な役割を担っています。
第三に、技術の標準化が進んでいることも見逃せません。OpenTelemetryの登場により、ベンダーロックインを避けながら統一的な監視基盤を構築できるようになりました。これにより、分散トレーシングの専門知識は汎用性の高いスキルとなり、転職市場での価値がさらに高まっているのです。
分散トレーシングエンジニアの年収が他職種を圧倒する現実
私が最近支援した転職事例を見ると、分散トレーシング技術を持つエンジニアの年収の高さに驚かされます。バックエンドエンジニアとして5年の経験を持つAさんは、OpenTelemetryの導入経験をアピールしたことで、年収800万円から1400万円への大幅アップを実現しました。同じような経験年数の一般的なバックエンドエンジニアの年収が600〜700万円程度であることを考えると、この差は明らかです。
特に需要が高いのは、金融機関やECプラットフォーム企業です。これらの企業では、1秒のシステムダウンが数百万円から数千万円の損失につながるため、分散トレーシングによる迅速な問題特定が不可欠です。そのため、優秀な分散トレーシングエンジニアには、惜しみなく高額な報酬が提示されるのです。
分散トレーシング技術の具体的な役割と価値
分散トレーシング技術の本質を理解するために、実際のケースを紹介しましょう。あるECサイトで「商品詳細ページの表示が遅い」というクレームが寄せられたとします。従来のモノリシックなシステムであれば、ログを確認して問題箇所を特定するのは比較的簡単でした。
しかし、マイクロサービスアーキテクチャでは、一つのリクエストが複数のサービスを通過します。商品詳細ページの場合、APIゲートウェイ、商品サービス、在庫サービス、レビューサービス、レコメンドサービスなど、多くのサービスが関与します。どのサービスがボトルネックになっているのか、特定するのは至難の業です。
ここで分散トレーシングが威力を発揮します。各サービスを通過するリクエストに一意のトレースIDを付与し、各サービスでの処理時間を記録することで、リクエストの全体像を可視化できます。結果として、レコメンドサービスの処理に3秒かかっていることが一目瞭然で判明し、迅速な対応が可能になるのです。
分散トレーシングエンジニアが解決するビジネス課題
分散トレーシングエンジニアの価値は、単に技術的な問題を解決することだけではありません。ビジネスに直接的なインパクトを与えることができるからこそ、高い報酬が支払われるのです。
私が支援したあるフィンテック企業では、分散トレーシングの導入により、決済システムの障害対応時間を4時間から30分に短縮しました。これにより、年間5000万円相当の機会損失を防ぐことができたといいます。このような成果を出せるエンジニアに対して、企業が高額な報酬を提示するのは当然のことでしょう。
また、分散トレーシングは単なる障害対応だけでなく、パフォーマンス最適化にも大きく貢献します。どのサービスがボトルネックになっているかを可視化できるため、ピンポイントでの改善が可能になります。これにより、ユーザー体験の向上と売上増加につながるのです。
分散トレーシングを実現する主要技術スタック
分散トレーシングエンジニアとして活躍するためには、いくつかの重要な技術をマスターする必要があります。ただし、すべてを完璧に習得する必要はありません。重要なのは、それぞれの技術の役割と連携方法を理解することです。
ここでは、転職市場で特に需要の高い技術スタックを紹介します。
OpenTelemetry:オブザーバビリティのデファクトスタンダード
OpenTelemetryは、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)がホストするオープンソースプロジェクトで、分散トレーシングの標準化を目指しています。以前はOpenTracingとOpenCensusという2つのプロジェクトが別々に存在していましたが、これらが統合されてOpenTelemetryが誕生しました。
私が転職支援を行ったエンジニアの中でも、OpenTelemetryの経験を持つ人材は特に高い評価を受けています。その理由は、ベンダーロックインを避けながら、柔軟な監視基盤を構築できるからです。OpenTelemetryを利用することで、Jaeger、Zipkin、Datadog、New Relicなど、さまざまなバックエンドにデータを送信できます。この汎用性の高さが、エンジニアの市場価値を高めているのです。
Jaeger:企業が信頼する分散トレーシングプラットフォーム
Jaegerは、Uber Technologiesが開発した分散トレーシングシステムで、現在はCNCFのプロジェクトとしてオープンソース化されています。大規模なマイクロサービス環境での実績が豊富で、多くの企業が採用しています。
Jaegerの特徴は、スケーラビリティの高さです。CassandraやElasticsearchをバックエンドとして使用でき、大量のトレースデータを効率的に保存・検索できます。ウェブUIも非常に使いやすく、サービス間の依存関係や処理時間を直感的に把握できます。私が支援したエンジニアの中でも、Jaegerの運用経験を持つ人材は、特に大手企業からの引き合いが強い状況です。
Zipkin:シンプルで使いやすい分散トレーシングシステム
Zipkinは、Twitter社が開発した分散トレーシングシステムで、シンプルな設計と使いやすさが特徴です。Javaで実装されており、小規模から中規模のマイクロサービス環境で幅広く使用されています。
セットアップが非常に簡単で、Dockerコンテナとして配布されているため、すぐに使い始めることができます。私がサポートしたあるスタートアップ企業では、Zipkinを導入したことで、エラーの原因特定時間が大幅に短縮され、開発効率が向上しました。このような成果を出せるエンジニアは、転職市場でも高い評価を受けます。
その他の重要な関連技術
分散トレーシングを実際に運用するうえで、以下のような関連技術も重要です。PrometheusやGrafanaによるメトリクスの可視化、KubernetesやDockerなどのコンテナ技術、そしてIstioやLinkerdなどのサービスメッシュ技術も、分散トレーシングと密接に関連しています。
これらの技術を組み合わせることで、包括的なオブザーバビリティプラットフォームを構築できます。私が支援したエンジニアの中でも、複数の技術を組み合わせて使いこなせる人材は、特に年収が高くなる傾向がありました。
分散トレーシングエンジニアに求められるスキルセット
分散トレーシングエンジニアとして成功するためには、技術的なスキルだけでなく、問題解決能力やコミュニケーション能力も重要です。ここでは、転職市場で特に重視されるスキルを紹介します。
マイクロサービスアーキテクチャの深い理解
分散トレーシングエンジニアにとって最も重要なスキルの一つは、マイクロサービスアーキテクチャの深い理解です。単に技術的な知識だけでなく、なぜマイクロサービス化するのか、どのようにサービスを分割するのか、サービス間の通信をどう設計するのかといった、アーキテクチャレベルの理解が必要です。
私が出会った優秀な分散トレーシングエンジニアは、必ずしも全てのサービスにトレーシングを入れるべきではないことを理解していました。ビジネス上の重要度やパフォーマンス要件に応じて、適切なレベルの監視を設計できることが、真のプロフェッショナルです。
トラブルシューティング能力と分析力
分散トレーシングデータから問題の根本原因を特定する能力は、この分野で最も重要なスキルの一つです。大量のトレースデータの中から、異常なパターンを見つけ出し、その原因を特定するには、高度な分析力が必要です。
例えば、あるリクエストが通常よりも遅い場合、その原因はネットワークの遅延、データベースのボトルネック、不適切なキャッシュ設定、サービスのバグなど、さまざまな可能性があります。優秀な分散トレーシングエンジニアは、これらの可能性を体系的に検証し、真の原因を特定できるのです。
プログラミングスキルとシステム統合能力
分散トレーシングシステムを既存のアプリケーションに統合する際には、高度なプログラミングスキルが必要です。Java、Python、Go、Node.jsなど、様々な言語でのSDKを使いこなし、アプリケーションに最小限の影響でトレーシングを導入する能力が求められます。
また、パフォーマンスへの影響を最小限に抑えながら、必要なデータを収集するバランス感覚も重要です。私が支援したエンジニアの中でも、複数の言語での実装経験を持つ人材は、特に高い評価を受けていました。
コミュニケーション能力とチームワーク
分散トレーシングの導入や運用には、多くのチームとの連携が必要です。開発チームに対してトレーシングの重要性を説明し、導入を促進するためのコミュニケーション能力が不可欠です。
また、障害対応時には、技術的な内容を非技術者にも分かりやすく説明する必要があります。私が支援したエンジニアの中でも、ビジネスサイドと技術サイドの架け橋となれる人材は、特に高い評価を受けていました。
分散トレーシングエンジニアへの転職成功パターン
私がこれまで支援してきた中で、分散トレーシングエンジニアとして成功した人たちには、いくつかの共通パターンがあります。ここでは、その具体的な事例を紹介します。
バックエンドエンジニアからのキャリアアップ
最も一般的なパターンは、バックエンドエンジニアから分散トレーシングエンジニアへのキャリアアップです。例えば、BさんはJavaでのバックエンド開発経験を4年持っていましたが、マイクロサービス化プロジェクトに参加した際に、分散トレーシングの必要性を痛感しました。
自主的にJaegerを学習し、小規模なプロジェクトで実績を積んだ後、オブザーバビリティエンジニアとして大手金融機関に転職しました。年収は700万円から1300万円へと大幅アップし、現在は全社のマイクロサービス監視基盤の構築をリードしています。
SREからのキャリアチェンジ
SRE(Site Reliability Engineer)から分散トレーシングエンジニアへの転身も多く見られます。Cさんの場合、SREとしてシステムの可用性向上に取り組んでいましたが、障害原因の特定に時間がかかることにフラストレーションを感じていました。
OpenTelemetryを使った分散トレーシングの導入を提案し、自ら実装をリードしたことで、オブザーバビリティ専門家としてのキャリアを確立しました。現在は、某EC企業でオブザーバビリティチームのマネージャーとして、年収1600万円で働いています。
フルスタックエンジニアからの成長
フロントエンドとバックエンドの両方の経験を持つエンジニアも、分散トレーシング分野で大きな成功を収めています。Dさんは、フルスタックエンジニアとしてWebアプリケーション全体を見る習慣があったため、分散トレーシングの重要性をいち早く理解しました。
独学でZipkinやJaegerを学び、実務で導入を推進した結果、分散トレーシングのスペシャリストとしての名声を確立。現在はスタートアップ企業でオブザーバビリティアーキテクトとして、年収1500万円で働いています。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。