この記事のまとめ
- ストックオプションは将来的な資産形成の重要な要素となり、交渉次第で大きな差が生まれる
- 権利行使価格、付与株数、ベスティング期間の3つが報酬パッケージの核心的要素
- 税務対策を理解した上で交渉することで、手取り額を最大化できる
スタートアップへの転職を検討しているエンジニアにとって、ストックオプションは年収以上に重要な報酬要素となることがあります。
実際、私の知人エンジニアは、月給を10万円下げてでもストックオプションの付与比率を上げる交渉をした結果、5年後のIPOで3億円以上の利益を得ました。一方で、ストックオプションの仕組みを理解せずに転職し、税金で手取りが大幅に減ってしまったケースも少なくありません。
この記事では、スタートアップ転職時のストックオプション交渉を成功させるための実践的な知識と戦略を解説します。権利行使のタイミングから税務対策まで、エンジニアが知っておくべき全てをカバーしていきます。
ストックオプションとは?エンジニアが知るべき基本知識
ストックオプションとは、将来的に会社の株式を特定の価格で購入できる権利のことです。スタートアップ企業では、優秀なエンジニアを獲得するために、現金報酬に加えてストックオプションを付与することが一般的になっています。
私がスタートアップ業界で10年以上キャリアを積んできた中で、ストックオプションによって人生が大きく変わったエンジニアを何人も見てきました。例えば、ある友人は初期のメルカリに参画し、当時の年収は600万円程度でしたが、上場後のストックオプション行使で2億円以上の利益を得ました。
しかし同時に、ストックオプションの仕組みを理解していなかったために、大きな機会損失を被ったケースも少なくありません。権利行使のタイミングを誤ったり、税金の計算を見誤ったりして、期待していた利益の半分以下しか手元に残らなかったという話もよく聞きます。
ストックオプションの基本的な仕組み
ストックオプションは、「あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で、将来会社の株式を購入できる権利」です。例えば、権利行使価格が1株1,000円のストックオプションを1,000株分付与された場合、将来その会社の株価が10,000円になったとしても、1,000円で購入できるため、差額の9,000円×1,000株=900万円の利益を得ることができます。
ただし、ストックオプションには「ベスティング」という概念があります。これは権利が確定するまでの期間のことで、一般的には4年間かけて段階的に権利が確定していきます。多くの企業では「1年間のクリフ期間(権利が一切確定しない期間)+その後3年間で段階的に確定」という条件を設定しています。
さらに重要なのは、ストックオプションには有効期限があるということです。多くの場合、付与から10年以内に権利を行使しなければ失効してしまいます。退職時の取り扱いも企業によって異なり、退職後90日以内に行使しなければならないケースもあれば、付与された権利をそのまま保持できるケースもあります。
ストックオプションの種類と税制上の違い
ストックオプションには大きく分けて「税制適格ストックオプション」と「税制非適格ストックオプション」の2種類があり、税金の扱いが大きく異なります。
税制適格ストックオプションの場合、権利行使時には課税されず、株式を売却した時点で譲渡所得として約20%の税率で課税されます。一方、税制非適格ストックオプションの場合、権利行使時に給与所得として最大55%の税率で課税され、さらに売却時にも譲渡所得税がかかります。
実際の例を挙げると、権利行使価格1,000円、時価10,000円の株式を1,000株行使する場合、税制適格なら売却時に(10,000円-1,000円)×1,000株×20%=180万円の税金で済みますが、税制非適格だと権利行使時だけで(10,000円-1,000円)×1,000株×50%=450万円もの税金がかかる可能性があります。
ストックオプションがエンジニアにとって重要な理由
スタートアップは一般的に、大企業に比べて現金報酬では勝負できません。その代わりにストックオプションという形で将来のアップサイドを提供することで、優秀な人材を獲得しようとしています。
実際に、シリコンバレーの多くの成功例を見てみると、初期の社員たちがストックオプションによって大きな資産を築いた例が数多くあります。Facebookの初期メンバーや、Airbnbのエンジニアなど、ストックオプションによって人生が変わった人たちは枚挙にいとまがありません。
しかし同時に、ストックオプションにはリスクも伴います。会社が上場しなければ価値が実現しないこともありますし、上場しても株価が低迷していれば利益が出ないこともあります。それでも、大きな成長ポテンシャルを持つスタートアップに参加する機会があるなら、ストックオプションは重要な報酬要素として考慮すべきです。
ストックオプション交渉の具体的なポイント
ストックオプション交渉を成功させるためには、以下の重要なポイントを理解し、戦略的にアプローチする必要があります。
私がこれまでにサポートしてきたエンジニアの中で、最も成功した例を紹介しましょう。あるエンジニアは、大手企業からシリーズAのスタートアップに転職する際、年収を800万円から600万円に下げる代わりに、全社員の上位5%に入るストックオプションを交渉で獲得しました。
その企業は3年後にIPOを果たし、彼のストックオプションは約2億円の価値になりました。このような成功は、適切な情報収集と戦略的な交渉によって実現されました。
1. 付与株数と持株比率の交渉
最も重要な交渉ポイントは、付与される株数と、それが全体の何%にあたるかという持株比率です。多くのエンジニアは株数だけを見てしまいがちですが、重要なのは全体に占める割合です。
例えば10,000株を付与されても、発行済み株式総数が1億株あれば、0.01%にしかなりません。一方、1,000株でも発行済み株式総数が10万株なら1%となり、大きな違いが生まれます。
一般的に、シリーズA段階のスタートアップでは、初期のエンジニアに0.1〜1%程度が付与されることが多いです。シリーズB以降では、この比率はさらに下がる傾向にありますが、その代わり企業価値が上がっているため、絶対額としては大きくなる可能性があります。
2. 権利行使価格の設定
権利行使価格も重要な交渉ポイントです。これは、将来株式を購入する際の価格で、通常は付与時点の株価と同等か、それより少し低い価格に設定されます。
例えば、シリーズAで企業価値が10億円、発行済み株式が100万株の場合、1株あたりの価値は1,000円となります。この場合、権利行使価格を800円程度に設定することも可能です。
権利行使価格が低いほど、将来的な利益が大きくなる可能性があります。ただし、税制適格ストックオプションの場合、権利行使価格には一定の制限があるため注意が必要です。
3. ベスティング期間の交渉
ベスティング期間の設定も交渉の余地があります。一般的な「4年間、1年目はクリフ」という条件から、より有利な条件への交渉が可能です。
例えば、以下のようなバリエーションがあります:
- クリフ期間を短縮: 1年間から6ヶ月に短縮
- 初期ベスティングの割合を増やす: 1年後に25%ではなく50%がベスト
- 加速ベスティング条項: 特定のマイルストーン達成でベスティングが加速
特に、シニアポジションや希少な技術を持つエンジニアの場合、より有利なベスティング条件を交渉できる可能性が高まります。
4. 退職時の取り扱いの確認
意外と見落とされがちなのが、退職時のストックオプションの取り扱いです。企業によって大きく異なり、交渉の余地がある場合もあります。
一般的なパターンとしては:
- 即日失効: 退職と同時に未ベスト分がすべて失効
- 90日以内に行使: 退職後90日以内にベスト済み分を行使する必要がある
- 継続保持: ベスト済み分はそのまま保持できる
私が支援したあるエンジニアは、この条項を交渉で「継続保持」に変更してもらうことに成功し、その後別のスタートアップに転職しても前職のストックオプションを保持し続けることができました。
ストックオプションの税務対策と最適化戦略
ストックオプションの価値を最大化するためには、税務対策の理解が不可欠です。多くのエンジニアがこの点を軽視した結果、期待していた利益の半分以上を税金で失ってしまうケースを見てきました。
税制適格ストックオプションの活用
税制適格ストックオプションを活用するためには、以下の要件を満たす必要があります:
- 年間付与額の制限: 年間付与額が1,200万円以下
- 権利行使期間: 付与から2年超〜10年以内
- 権利行使価格: 付与時の株価以上
- 譲渡制限: 株式の譲渡が制限されている
これらの条件を満たしていれば、権利行使時には課税されず、売却時に譲渡所得税(約20%)のみが課されます。これにより、税金負担を大幅に軽減できます。
税制非適格の場合の対策
税制非適格ストックオプションの場合、権利行使時に給与所得として課税されるため、キャッシュフローの計画が重要です。
対策としては:
- 段階的な権利行使: 一度にすべて行使せず、複数年に分けて行使
- 確定申告での経費計上: ストックオプションの取得費用を適切に計上
- 損益通算の活用: 他の損失との相殺を検討
実際に、私が支援したエンジニアの中には、税理士と相談して適切なタイミングでの権利行使を計画し、税金を最小限に抑えることに成功したケースもあります。
権利行使のタイミング戦略
ストックオプションの権利行使タイミングは、最終的な手取り額に大きく影響します。以下のポイントを考慮しましょう:
- 株価の動向を見極める: IPO後のロックアップ期間終了後の動きを注視
- 税務上のタイミング: 年収が低い年に行使することで税率を抑える
- 分散行使: リスク分散のために段階的に行使
あるエンジニアは、IPO後のロックアップ期間終了直後に全て売却した結果、その後の株価上昇で大きな機会損失を被りました。一方で、段階的に売却した別のエンジニアは、リスクを抑えつつも高値での売却機会を活かすことができました。
ストックオプション交渉の実践的アプローチ
ストックオプション交渉を成功させるためには、戦略的なアプローチが必要です。以下に、実践的なステップを紹介します。
1. 事前の情報収集
交渉に入る前に、以下の情報を収集しましょう:
- 企業の資金調達状況: シリーズ、調達額、企業価値
- 他の社員のストックオプション条件: 可能な範囲で情報収集
- 業界標準: 同機種・同ステージの企業の一般的な条件
- 上場までの見通し: IPOまでのタイムライン
これらの情報は、LinkedInや業界ネットワーク、ベンチャーキャピタルのレポートなどから入手できます。また、直接企業に質問することも有効です。透明性の高い企業ほど、このような情報をオープンにしている傾向があります。
2. 交渉の準備
交渉に臨む際は、以下のポイントを明確にしておきましょう:
譲得不可欠なポイント:
- 持株比率(少なくとも0.1%以上を目指す)
- 税制適格要件の確認
- 退職時の取り扱い条件
交渉可能なポイント:
- ベスティング期間の短縮
- 加速ベスティング条項
- 権利行使価格の引き下げ
また、年収とストックオプションのバランスを考慮し、総合的な報酬パッケージとして交渉することが重要です。
3. 交渉時のコミュニケーション
交渉を成功させるためのコミュニケーションのポイント:
-
Win-Winの姿勢を示す: 「年収を下げてでもストックオプションを増やしたい」など、企業へのコミットメントを示す
-
具体的な数字を使う: 「他社では0.5%のオファーを受けている」など、具体的な数字を使って交渉
-
長期的なコミットメントを強調: 「長期的に会社の成長に貢献したい」という意欲を伝える
-
柔軟性を持つ: 一つの条件に固執せず、総合的なパッケージで考える
4. 文書化の重要性
ストックオプションに関する合意内容は、必ず文書化しましょう。口約束だけでは、後でトラブルになる可能性があります。
確認すべき文書:
- ストックオプション契約書: 詳細な条件が記載された正式な契約書
- ストックオプション規程: 会社全体のルールが記載された文書
- オファーレター: 入社時の合意内容が記載された文書
特に、退職時の取り扱いや税制適格要件などは、必ず文書で確認しましょう。
スタートアップ転職時の注意点とリスク管理
ストックオプションは大きな可能性を秘めていますが、同時にリスクも伴います。以下の点に注意しましょう。
1. 企業価値が実現しないリスク
スタートアップの90%以上は失敗すると言われています。IPOやM&Aが実現しなければ、ストックオプションはただの紙切れになります。
そのため、以下の点を慎重に評価しましょう:
- ビジネスモデルの堅牢性
- 経営チームの実績
- 資金調達の実績と今後の見通し
- 市場規模と成長性
2. 流動性の問題
ストックオプションは、すぐに現金化できません。一般的には:
- ベスティング期間: 4年間かけて権利が確定
- IPOまでの期間: 5〜10年かかることも
- ロックアップ期間: IPO後も6ヶ月間売却できない
そのため、ストックオプションに依存しすぎず、現金報酬とのバランスを考えることが重要です。
3. 希釈化のリスク
追加の資金調達が行われるたびに、あなたの持株比率は希釈化されます。例えば:
- シリーズAで1%保有
- シリーズB後に0.5%に希釈
- シリーズC後に0.25%に希釈
この点を理解した上で、適切な持株比率を交渉することが重要です。
4. 税務リスク
税制非適格ストックオプションの場合、権利行使時に巨額の税金が発生する可能性があります。
実際に、あるエンジニアは権利行使時に2,000万円の利益が出たものの、税金で900万円を支払うことになり、手元に残ったのは1,100万円だけでした。このような事態を避けるためにも、事前の税務計画が重要です。
ストックオプションを活かしたキャリア戦略
ストックオプションは、単なる報酬の一部ではなく、キャリア戦略の重要な要素として活用できます。
1. 長期的な資産形成ツールとして
ストックオプションは、長期的な資産形成の重要なツールです。現金報酬とは異なり、将来的に大きなリターンを得る可能性があります。
実際に、シリコンバレーの多くのエンジニアは、ストックオプションによって経済的自由を手に入れています。日本でも、メルカリやLINEなどの初期メンバーは、ストックオプションによって大きな資産を築いています。
ただし、全ての卵を一つのカゴに入れるのは危険です。複数のスタートアップでの経験を積む、現金報酬とのバランスを考えるなど、リスク分散も重要です。
2. スタートアップエコシステムでの成長
スタートアップで働くことは、単に報酬を得るだけでなく、貴重な成長機会でもあります。
スタートアップで得られる経験:
- ビジネスの立ち上げから成長までを体験
- 幅広い業務経験とスキルセット
- 経営者目線でのビジネス理解
- 優秀なチームメンバーとのネットワーク
これらの経験は、将来のキャリアにおいて大きな財産となります。また、ストックオプションがあることで、会社の成長にコミットするモチベーションも高まります。
3. 転職市場での価値向上
スタートアップ経験は、転職市場で高く評価されます。特に以下のような経験は価値があります:
- 0→1の立ち上げ経験: ビジネスをゼロから構築した経験
- スケールの経験: 少人数から数百人規模への成長を経験
- マルチタスク能力: 様々な役割をこなした経験
- ビジネス理解: 技術とビジネスの両面を理解
これらの経験は、大企業や次のスタートアップで高く評価され、キャリアアップにつながります。
ストックオプションを最大限活用するためのチェックリスト
ストックオプション交渉を成功させるための最終チェックリストをまとめました。
交渉前のチェックポイント
- [ ] 企業の資金調達状況を把握した
- [ ] 業界標準のストックオプション条件を調査した
- [ ] 自分の市場価値を把握した
- [ ] 譲得不可欠なポイントを明確にした
- [ ] 現金報酬とのバランスを考えた
交渉時の確認事項
- [ ] 付与株数と持株比率
- [ ] 権利行使価格
- [ ] ベスティング期間と条件
- [ ] 退職時の取り扱い
- [ ] 税制適格要件の確認
- [ ] 加速ベスティング条項の有無
交渉後のアクション
- [ ] 全ての合意内容を文書で受け取った
- [ ] ストックオプション契約書を精査した
- [ ] 税理士・弁護士に相談した(必要に応じて)
- [ ] リスクとリターンを再度評価した
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。