この記事のまとめ
- 企業の技術選定基準や開発体制を見極めることで、長期的なキャリア成長が可能な転職先を選択できる
- 技術負債の状況、開発プロセス、技術的チャレンジ度を事前に評価することが重要
- 面接や企業研究の段階で適切な質問をすることで、企業の技術力と成長環境を正確に把握できる
エンジニアとして転職を検討する際、給与や勤務条件だけでなく「この会社で技術力を伸ばせるだろうか」という不安を抱く方は多いのではないでしょうか。
実は多くのエンジニアが転職後に「思っていたより技術的にチャレンジングな環境ではなかった」「レガシーなシステムの保守ばかりで成長できない」といった後悔を経験しています。そういえば、私がこれまでお話しした転職成功者の多くも「技術選定基準や開発体制をもっと詳しく調べておけばよかった」と振り返っていました。
転職先の技術環境は、あなたの今後のキャリアを大きく左右する重要な要素です。この記事では、企業の技術選定基準と開発体制を効果的に見極める具体的な方法を詳しく解説します。
なぜ技術選定・開発体制の見極めが重要なのか
エンジニアの転職において、企業の技術環境を正確に評価することは極めて重要です。技術力の成長は日々の業務の積み重ねによって実現されるため、転職先の技術的な環境や取り組み姿勢が、あなたの将来的なキャリアパスを決定すると言っても過言ではありません。
現在のIT業界では、技術の進歩が非常に速く、常に新しい技術やフレームワークが登場しています。このような環境下で、技術的に停滞した企業に転職してしまうと、市場価値の低下や将来的な転職時の不利につながる可能性があります。実際に、転職後に「もっと技術的にチャレンジングな環境だと思っていた」と後悔するエンジニアは少なくありません。
技術選定基準が企業の将来性を左右する
企業の技術選定基準は、その企業の技術的な方向性と将来性を示す重要な指標です。新しい技術への取り組み姿勢、既存システムのモダン化への意欲、そして技術的な課題に対する解決能力などが、技術選定の過程で明確に現れます。
優秀な企業ほど、短期的なコストや工数だけでなく、長期的な保守性、拡張性、開発者の学習機会なども考慮して技術選定を行っています。逆に、技術選定が場当たり的だったり、コストのみを重視した企業では、エンジニアの成長機会が限定される傾向にあります。
開発体制がエンジニアの成長環境を決める
開発体制は、エンジニアの日常的な働き方や学習機会に直接影響します。コードレビュー文化が根付いているか、テスト駆動開発やCI/CDパイプラインが整備されているか、技術的な議論が活発に行われているかなど、これらの要素がエンジニアのスキル向上速度を大きく左右します。
また、技術的な意思決定プロセスが透明で合理的かどうかも重要なポイントです。上司の独断で技術選定が決まるような環境では、エンジニアとしての判断力や提案力を磨く機会が少なくなってしまいます。
企業の技術選定基準を見極める具体的な方法
転職活動の段階で企業の技術選定基準を正確に把握することは、決して簡単なことではありません。しかし、適切な質問と情報収集を行うことで、その企業の技術的な取り組み姿勢や将来性をかなり正確に評価することができます。
企業の技術選定基準を理解するためには、表面的な技術スタック情報だけでなく、なぜその技術を選択したのか、どのような意思決定プロセスを経て採用されたのかを深く掘り下げることが重要です。また、技術選定において重視される要素(パフォーマンス、開発効率、学習コスト、コミュニティサポートなど)についても確認しておく必要があります。
技術選定の意思決定プロセスを確認する
企業の技術的な成熟度を測る最も効果的な方法の一つは、技術選定の意思決定プロセスを詳しく聞くことです。優れた技術組織では、新しい技術を導入する際に十分な検証と議論を行い、複数の選択肢を比較検討した上で合理的な判断を下しています。
技術選定に関して面接で確認すべき質問として、「最近導入した新しい技術があれば教えてください。どのような理由で選択されましたか?」「技術選定の際に重視される要素は何ですか?」といったものが挙げられます。これらの質問に対する回答から、その企業が技術選定をどの程度真剣に考えているか、また技術的な議論がどの程度活発に行われているかを判断できます。
さらに深く掘り下げるならば、「技術選定で失敗した経験はありますか?その際にどのような対応を取られましたか?」という質問も有効です。失敗から学ぶ姿勢があるかどうかは、組織の技術的な成長能力を示す重要な指標となります。
技術負債への取り組み姿勢を評価する
技術負債への取り組み姿勢は、企業の技術的な健全性を測る重要な指標です。どのような企業でも技術負債は必ず存在しますが、それをどのように管理し、改善に取り組んでいるかが企業の技術力を大きく左右します。
技術負債について確認する際は、「現在抱えている技術的な課題はありますか?」「技術負債の解消にどの程度のリソースを割いていますか?」といった質問が効果的です。このような質問に対して具体的で率直な回答が得られる企業は、技術的な課題に対して正面から向き合う文化があると判断できます。
技術選定の評価基準を深く理解する
優秀な企業では、技術選定の際に単にトレンドや知名度だけでなく、複数の角度から総合的に判断しています。その評価基準を理解することで、その企業の技術的な成熟度を正確に把握できます。
技術選定の評価基準で重要な要素として、技術的な適合性(プロジェクトの要件との適合性)、学習コスト(チームのスキルアップにかかる時間と労力)、コミュニティの健全性、そして将来的な拡張性があります。これらの要素をバランスよく考慮している企業は、長期的な技術的成長を望める環境として高く評価できます。
開発体制とチーム文化の評価方法
開発体制は、エンジニアの日々の作業環境や成長機会に直接影響するため、技術選定と同じくらい重要な評価項目です。優秀な開発体制が整っている企業では、エンジニアが技術的に成長しやすい環境が自然と形成されています。
開発体制を評価する際には、表面的な手法やツールの導入状況だけでなく、それらが実際にどの程度活用され、チームの生産性や品質向上に貢献しているかを深く掘り下げることが大切です。また、開発プロセスにおける意思決定の透明性や、チームメンバーの意見がどの程度尊重されているかも重要なポイントです。
コードレビュー文化と品質管理体制
コードレビュー文化は、エンジニアの技術的成長を促進する最も効果的な手段の一つです。コードレビューが単なる形式的なチェックではなく、建設的な意見交換の場として機能しているかどうかを確認することが重要です。
コードレビューの品質を評価する際には、「コードレビューではどのようなことをチェックしていますか?」「レビューコメントの具体例を教えていただけますか?」といった質問が有効です。優秀なチームでは、コードの品質だけでなく、設計思想、パフォーマンス、保守性など多角的な観点からレビューが行われています。
技術学習とスキルアップ文化
技術的な成長を重視する企業では、学習文化が組織全体に浸透しています。このような環境では、エンジニアが新しい技術や手法を学ぶことが奈励され、そのための時間やリソースが適切に提供されています。
技術学習の環境を評価する際には、「社内で技術勉強会やハッカソンなどは開催されていますか?」「エンジニアの学習時間はどの程度確保されていますか?」といった質問が有効です。また、学習した内容を実際の業務にどの程度活かすことができるかも重要なポイントです。
CI/CDパイプラインと自動化の取り組み
現代的な開発環境では、CI/CD(継続的インテグレーション・継続的デリバリー)の導入はもはや必須といえるレベルになっています。しかし、単にCI/CDツールが導入されているだけでは十分ではありません。重要なのは、それらがどの程度効果的に活用され、チームの生産性向上に貢献しているかです。
CI/CDの活用状況を評価するためには、「デプロイ頃度はどのくらいですか?」「デプロイ時のダウンタイムはどの程度ですか?」「自動テストのカバレッジはどの程度ですか?」といった具体的な数値を聞くことが効果的です。
面接で確認すべき具体的な質問例
企業の技術環境を正確に評価するためには、面接の段階で戦略的な質問をすることが不可欠です。しかし、どのような質問をしたらよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。ここでは、実際に面接で使える具体的な質問例を紹介します。
これらの質問は、単に情報を収集するだけでなく、あなたが技術的な視点を持っていることを面接官にアピールする効果もあります。したがって、適切な質問をすることは、情報収集とアピールの一石二鳥を狙える重要な戦略でもあります。
技術選定に関する質問
「最近導入された新しい技術やフレームワークがあれば教えてください。どのような理由で選択されましたか?」「技術選定の際に最も重視される要素は何ですか?」「新しい技術の導入を提案する場合、どのようなプロセスで検討されますか?」
これらの質問に対して具体的で論理的な回答が得られるかどうかで、その企業の技術選定に対する真剣度を判断できます。優秀な企業では、コスト、パフォーマンス、学習コスト、コミュニティサポートなど多角的な觖点から検討が行われているはずです。
開発プロセスと品質管理に関する質問
「開発プロセスはどのような流れで進められていますか?」「コードレビューは必須ですか?どのような観点でチェックされていますか?」「テストの自動化はどの程度進んでいますか?」
これらの質問では、開発品質を維持・向上させるための具体的な取り組みを確認できます。優秀な開発チームでは、コードレビュー、ペアプログラミング、テスト駆動開発などのプラクティスが組み合わされて、高品質なコードと持続的な改善が実現されています。
チーム文化とコラボレーションに関する質問
「チーム内での技術的な議論はどの程度活発ですか?」「エンジニアが新しい技術やアイデアを提案した場合、どのように受け入れられますか?」「ナレッジシェアりや技術勉強会などは行われていますか?」
これらの質問からは、チームの学習文化やイノベーションへの取り組み姿勢を知ることができます。技術的な成長を重視する企業では、エンジニア同士の知識共有や相互学習が日常的に行われ、個人の成長がチーム全体のレベルアップにつながるような環境が整っています。
企業研究で技術情報を収集する方法
面接での質問だけでは得られる情報に限界があるため、事前の企業研究も重要な情報収集手段です。特に技術的な取り組みや開発体制については、公開されている情報からも多くのことを知ることができます。
効果的な企業研究を行うためには、企業の技術ブログ、GitHubの組織アカウント、技術カンファレンスでの発表資料、従業員の個人ブログやSNSでの発信などを組み合わせて情報を収集することが効果的です。これらの情報源からは、公式な企業情報では分からない、よりリアルな開発現場の状況を把握できる場合が多いです。
技術ブログや技術発信からの情報収集
企業の技術ブログやエンジニアの技術発信は、その企業の技術的な取り組みや文化を知るための貴重な情報源です。定期的に技術的なコンテンツを公開している企業は、一般的に技術への関心が高く、学習文化が根付いていることが多いです。
技術ブログをチェックする際に注目すべきポイントとして、投稿頻度、技術的な深さ、取り上げられているテーマの幅広さ、実際の開発体験に基づいた内容かどうかなどがあります。また、失敗例や問題解決のプロセスを率直に書いているブログは、組織の透明性や学習文化の質の高さを示す指標となります。
GitHub組織アカウントからの情報収集
GitHubの組織アカウントは、企業の技術的な活動やオープンソースへの貢献度を把握する上で非常に有用な情報源です。公開リポジトリの数、コミットの頻度、使用されているプログラミング言語、コントリビューターの多様性などから、その企業の技術的な活発さやオープンソース文化を評価できます。
また、公開リポジトリのREADMEやコードの品質、コミットメッセージの書き方などから、開発者の技術レベルやコード品質への意識の高さを推測することもできます。最近のアクティビティやコントリビューションのパターンを確認することで、現在の開発アクティビティの活発さも把握できます。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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最終的な判断のための総合評価チェックリスト
ここまで解説した内容を踏まえ、企業の技術選定・開発体制を総合的に評価するためのチェックリストを紹介します。これらの項目を確認することで、あなたのキャリア成長にとって最適な転職先を選択できるはずです。
【技術選定基準の評価】
- 新しい技術導入の意思決定プロセスが明確か
- 技術選定でコスト以外の要素(学習性、保守性など)が考慮されているか
- 技術的な失敗から学ぶ文化があるか
- 技術負債への対応が計画的に行われているか
【開発体制の評価】
- コードレビューが建設的な学習の場として機能しているか
- CI/CDパイプラインが効果的に活用されているか
- チーム内での技術的な学習文化が根付いているか
- エンジニアの意見が尊重され、提案が受け入れられる環境か
まとめ
エンジニアの転職において、企業の技術選定基準や開発体制を正確に評価することは、将来的なキャリア成長を左右する極めて重要な要素です。給与や勤務条件だけでなく、あなたが技術者として成長し続けられる環境かどうかを深く考察することが必要です。
この記事で紹介した方法を実践することで、表面的な情報だけでは分からない、真の技術的な環境や文化を把握できるようになるはずです。そして、あなたのキャリアゴールや学習意欲に最も適した転職先を選択することで、長期的なキャリア成長を実現できるでしょう。
技術的な成長を続けることは、単にスキルアップだけでなく、あなたの市場価値を高め、将来的なキャリア選択肢を幅広く保つことにもつながります。本記事で得た知識を活用して、あなたにとって理想的な転職を実現してください。