この記事のまとめ
転職活動が長期化してもモチベーションを維持するためには、心理学的なアプローチが非常に効果的です。目標設定理論に基づいた段階的な目標設定、認知行動療法を活用した思考の修正、そして自己効力感を高める具体的な行動が重要になります。
転職活動は想定以上に時間がかかることが多く、多くのエンジニアが途中でモチベーションの低下を経験します。実は、このような状況は決して珍しいことではありません。転職市場の競争激化により、希望する条件の企業との出会いまでに数ヶ月から1年以上かかるケースも増えています。
そういえば、心理学の研究では、長期目標を達成するためのモチベーション維持には特定の心理的メカニズムが働くことが分かっています。この記事では、エンジニアの転職活動に特化した心理学的アプローチを詳しく解説し、実際に活用できる具体的な手法を紹介していきます。これらの方法を実践することで、長期化する転職活動でも諦めることなく、最終的に理想の転職を実現できるでしょう。
エンジニア転職でモチベーションが下がる心理的メカニズム
転職活動におけるモチベーションの低下は、単なる気持ちの問題ではありません。実は心理学的に説明できる明確なメカニズムが存在します。エンジニアという職種の特性上、論理的思考を重視するため、感情的な側面を軽視しがちですが、これが逆にモチベーション管理を困難にしている側面があります。
転職活動が想定より長期化すると、人間の脳は「学習性無力感」という状態に陥りやすくなります。これは心理学者マーティン・セリグマンが提唱した概念で、繰り返し失敗や拒絶を経験することで、努力しても結果は変わらないという認知が形成される現象です。エンジニアの転職活動では、書類選考の不通過や面接での不採用が続くことで、この状態に陥るリスクが高まります。
ところで、モチベーション研究の分野では、内発的動機と外発的動機のバランスが重要であることが知られています。転職活動初期は年収アップやキャリアアップという外発的動機が強く働きますが、活動が長期化すると、この動機だけでは持続が困難になります。そのため、技術的成長や自己実現といった内発的動機を再認識し、活性化させることが心理学的に重要なアプローチとなるのです。
未経験者に門戸を開くIT企業は増えている
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年11月)」によれば、IT業界を含む情報通信業では人材不足に悩む企業が多く、その割合は55%に達しています。
この状況は、未経験者を積極的に採用する企業が増加している背景となっています。IT業界経験者だけでは補いきれない需要があるため、ポテンシャルややる気を重視する採用が広まりつつあります。そのため、未経験者であっても、ポテンシャルややる気をうまくアピールできれば、IT業界への転職は十分可能です。
とはいえ、人手の足りない企業ほど即戦力を求めているため、同じ未経験者でも業界知識を持っているほうが採用される可能性は高くなります。転職活動を始める前に、独学で学んだりスクールに通ったりして基本的な知識やスキルは身につけておくとよいでしょう。
20代は未経験・第二新卒でも採用されやすい
20代は、未経験でもIT業界へ転職しやすい傾向にあります。実績よりも、人柄とやる気が重視されるケースが多いためです。新卒だけでなく、3年程度社会人経験のある第二新卒も人材育成の手間が少し省けるとして採用されやすい点が特徴です。ただし20代後半になると、20代前半に比べて未経験採用枠が少し減ってしまったり、前職でのスキルなども選考基準に組み込まれたりする場合があります。
30代になると実績やスキルを活かした転職が増える
30代では、20代と比較して未経験採用枠が減る傾向にあり、前職での実績やスキルを活かした転職が一般的になっていきます。まったくの初心者からIT業界への転職を考えている場合は、Webコーダーなど未経験からも挑戦しやすい職種を選択するとよいでしょう。また転職前にスクールに通うなどして、知識やスキルをある程度身につけてアピールできるよう準備しておく方法も有用です。
フロー状態の活用とストレス管理
心理学者ミハイ・チクセントミハイが発見した「フロー状態」は、転職活動のモチベーション管理において非常に有効な概念です。フロー状態とは、挑戦とスキルのバランスが適切で、時間を忘れるほど集中してタスクに取り組める状態のことです。エンジニアの転職活動では、技術的な面接対策やポートフォリオ作成など、フロー状態を体験しやすいタスクが多く存在します。
このフロー状態を意識的に作り出すための具体的な方法として、「技術学習タイム」を設定することが有効です。転職活動中には、新しい技術の学習や既存スキルのブラッシュアップに時間を割くことで、不安やストレスから一時的に解放され、かつ自己成長を実感できる時間を確保できます。たとえば、毎日の朝の1時間を新しいフレームワークの学習に充て、その後で求人応募作業を行うというルーティンを確立することで、ポジティブな状態で活動を開始できます。
そして、長期的なストレス管理のためには、「マインドフルネス」の実践が極めて有効です。これは、現在の瞬間に意識を集中し、思考や感情を判断せずに観察する心理的な状態です。転職活動中には、将来への不安や過去の後悔に思考が占拠されやすくなりますが、マインドフルネスの実践により、現在に意識を戻し、冷静な判断力を維持することが可能になります。
長期的な結果を生み出す心理学的アプローチ
転職活動を成功に導くためには、短期的なモチベーション管理だけでは不十分です。心理学の研究によると、長期的な目標達成には、モチベーションだけではなく、習慣やシステムの力を活用することが重要です。エンジニアの転職活動では、この原則を応用して、気分に左右されない安定したパフォーマンスを発揮することができます。
実際に、多くの成功したエンジニアが実践しているのが「転職活動のルーティン化」です。毎日決まった時間に決まった作業を行うことで、感情の浮き沈みに関係なく着実に進歩できるようになります。たとえば、「毎日朝9時から10時までは求人情報のチェックと応募書類の作成、11時から12時までは技術的なスキルアップ」というように、明確なスケジュールを設定します。
さらに重要なのは、サポートシステムの構築です。同じように転職活動をしているエンジニア仮面や、業界のメンターと定期的に情報交換することで、孤立感を軽減し、客観的なフィードバックを得ることができます。オンラインコミュニティや勉強会への参加も、このサポートシステムの一部として機能します。これらのアプローチを組み合わせることで、長期的な転職活動であっても、精神的な安定性を保ちながら理想の転職を実現できるのです。
エンジニア転職に特化した実践テクニック
ここまで紹介した心理学的アプローチを、エンジニアの転職活動に具体的に応用するための実践テクニックを詳しく解説します。これらの方法は、エンジニアという職種の特性を踏まえて設計されており、実際に多くの転職成功者が実践している方法です。特に転職活動が3ヶ月以上長期化した場合には、これらのテクニックが非常に有効になります。
ポートフォリオ駆動型モチベーション管理
エンジニアの転職活動では、技術的スキルの証明が重要な要素となります。この特性を活用して、「ポートフォリオ駆動型モチベーション管理」というアプローチが非常に有効です。これは、転職活動中に技術的な成果物を継続的に作成し、それをポートフォリオに追加していくことで、モチベーションを維持する手法です。具体的には、毎週一つの小さなプロジェクトを完成させ、GitHubにアップロードすることで、自分の成長を可視化します。
このアプローチの大きなメリットは、転職活動自体がスキルアップの機会になることです。不採用が続いても、「今週は新しいReact Hookを使ったコンポーネントを作成できた」「今月はDockerを使ったマイクロサービス構成を学んだ」というように、具体的な成果を実感できるため、モチベーションの低下を防ぐことができます。また、このプロセスで作成したポートフォリオは、面接での具体的な話題にもなり、転職活動の品質を向上させる副次的効果も期待できます。
技術コミュニティ主導型ネットワーキング
転職活動の孤立感や情報不足を解決するためには、能動的なネットワーキングが極めて有効です。特にエンジニアの場合、技術コミュニティへの参加や勉強会の主導により、単なる情報収集を超えた価値を創造できます。このアプローチでは、「情報をもらう」だけではなが「情報を提供する」ことに焦点を当てます。たとえば、新しい技術の勉強会を企画したり、転職体験談をシェアしたりすることで、コミュニティ内での自分の価値を高めていきます。
このアプローチの心理学的メリットは、「自己効力感の向上」と「社会的つながりの強化」にあります。人に教える、情報を提供する、イベントを主導するといった経験は、自分の能力への信頼を高め、同時に業界内での面識を広げることにつながります。結果として、転職活動中であっても自信を持って行動できるようになり、面接でもより自然で魅力的なコミュニケーションが可能になります。さらに、こうした活動を通じて得られたネットワークは、最終的に転職成功につながる情報や機会をもたらすことが多いのです。
面接フィードバックループの活用
転職活動が長期化する中で最も重要なのは、各面接から得られるフィードバックを系統的に活用することです。多くの人は不採用に落胆して終わりますが、実は面接は転職活動における最高の学習機会です。「面接フィードバックループ」というアプローチでは、各面接後に細かな分析を行い、具体的な改善点を特定し、次の面接で実践するサイクルを確立します。
具体的な実践方法として、面接後24時間以内に「面接振り返りシート」を作成します。このシートには、質問内容、自分の回答、面接官の反応、改善すべきポイントを記録し、毎回の面接で同じミスを繰り返さないようにします。さらに重要なのは、転職エージェントやメンターとこのフィードバックを共有し、客観的な視点から改善策を検討することです。このプロセスにより、面接スキルが着実に向上し、同時に転職活動を通じた成長を実感できるため、モチベーションの維持にも繋がります。
メンタルヘルスファーストの転職戦略
長期的な転職活動で最も重要なのは、精神的な健康を維持することです。「メンタルヘルスファーストの転職戦略」では、転職活動の成果よりも精神的な安定性を優先し、長期的な成功を目指すアプローチです。具体的には、毎日のストレスレベルを10段階で評価し、7以上の日が続いた場合は意識的に休息を取るルールを設定します。また、週に一度は転職活動と完全に離れた時間を作り、趣味やリラックスに専念します。
このアプローチの核心にあるのは、「持続可能性」という概念です。短期間で無理をして燃え尽きるよりも、数ヶ月から1年間の長期戦を想定し、精神的なリソースを管理しながら着実に歩を進めることが重要です。さらに、定期的なカウンセリングやコーチングの受講、同じ立場の人との情報交換など、外部サポートを積極的に活用することで、一人で抱え込まずに済む環境を整えます。このようなアプローチにより、転職活動自体が人生の負担ではなく、成長の機会として機能するようになります。
情報処理サービス業界
IT技術は、さまざまなビジネス・産業・サービスで利用されています。企業が求める情報システムを構築し、利用をサポートするのが情報処理・提供サービス業界です。システムインテグレーター(SIer)とも呼ばれます。主な職種には、以下のようなものがあります。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT技術を用いてクライアントの経営課題の改善やシステム導入の支援を行う仕事です。コスト削減や効率化などを実現するパートナーと理解するとよいでしょう。ITコンサルタントとして活躍するには、IT分野に限らず、経営全般や携わる業界に関する幅広い知識などが求められます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、営業をサポートして製品・サービスの販売を促進する仕事です。自社の製品を活用できるよう、情報提供や実演を行うこともあります。知識・スキル面から営業をフォローし、クライアントの満足度を上げるのが役割です。クライアントの疑問に答えるため、技術面の深い知識に加え、分かりやすく伝える能力も求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ITシステムの利用における技術的な問題に対応する問い合わせ窓口です。「操作の仕方が分からない」「動かなくなった」などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどを使って解決に導きます。問い合わせの一次対応をするヘルプデスクよりも高度な知識が求められる職種です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、システム開発などのプロジェクト全体の進行を管理する職種です。具体的には、計画立案や予算管理、リソースや工程の管理、さらにはステークホルダーとのコミュニケーションも業務内容に含まれます。いわば、プロジェクトを成功へ導く重要な役割を担うといえます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
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システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ:持続可能なモチベーション維持のために
転職活動におけるモチベーション維持は、単なる精神論や気持ちの持ちようではなく、科学的な根拠に基づいた心理学的アプローチを活用することで大幅に改善できます。本記事でご紹介した各種の手法は、すべて心理学研究で効果が実証されているものばかりです。
重要なのは、これらの手法を一度に全て実践しようとするのではなく、自分の状況や性格に最も適したものから段階的に取り入れることです。例えば、完璧主義的な傾向が強い人は認知行動療法的アプローチから、目標設定が苦手な人はSMARTフレームワークから始めるといった具合です。
転職活動中の心理的な困難は、決して個人の能力や意志の問題ではありません。人間の心理メカニズムを理解し、それに対応した適切な対処法を実践することで、誰でも乗り越えることができるものです。この記事でご紹介した心理学的アプローチを活用して、より効果的で持続可能な転職活動を実現していただければと思います。
最後に、転職活動は人生における重要な transition period であり、この経験を通じて得られる自己理解や psychological skills は、その後のキャリア全体において貴重な資産となることを忘れないでください。困難な時期を乗り越えることで、あなたはより強く、より resilient なプロフェッショナルへと成長することができるはずです。