この記事のまとめ
- イベント駆動型マイクロサービスアーキテクチャの需要が急増し、経験者は年収1600万円以上を実現可能
- Kafka、RabbitMQ、AWS EventBridgeなどのメッセージング基盤経験が転職市場で高く評価される
- 非同期処理、分散トランザクション、サガパターンの実装経験が差別化の鍵となる
システムアーキテクトとして、モノリシックなアプリケーションからマイクロサービスへの移行に携わってきた方も多いのではないでしょうか。しかし、単純なマイクロサービス化だけでは、システムの複雑性が増すだけで期待した成果が得られないケースも少なくありません。
実は、イベント駆動型アーキテクチャ(EDA)とマイクロサービスを組み合わせることで、真にスケーラブルで柔軟なシステムを構築できます。この技術領域に精通したアーキテクトは、転職市場で圧倒的な優位性を持ち、年収1600万円以上の条件で迎えられることも珍しくありません。
今回は、イベント駆動型マイクロサービスアーキテクチャの専門家として、転職市場で高評価を得るための戦略と、実際の転職成功事例を詳しく解説します。この記事を読めば、次世代のシステム設計を担うアーキテクトとしてのキャリアパスが明確になるでしょう。
イベント駆動型マイクロサービスとは?なぜ今注目されているのか?
イベント駆動型アーキテクチャ(Event-Driven Architecture: EDA)は、システム内の各コンポーネントがイベントの発生に応じて非同期的に動作する設計パターンです。この手法をマイクロサービスアーキテクチャと組み合わせることで、真にスケーラブルで柔軟なシステムを構築できます。
なぜイベント駆動型マイクロサービスが求められているのか
現代のビジネス環境では、リアルタイム性と拡張性が同時に求められています。ECサイトの在庫管理システムを例に考えてみましょう。商品が購入された瞬間に、在庫管理、決済処理、配送手配、顧客通知など、複数のサービスが連携して動作する必要があります。従来の同期的なAPIコールでこれらを実装すると、一つのサービスの遅延が全体のレスポンスタイムに影響し、最悪の場合はシステム全体がダウンする可能性があります。
イベント駆動型アーキテクチャでは、「商品購入」というイベントを発行し、各サービスが独立してそのイベントを処理します。この非同期処理により、システム全体の耐障害性と拡張性が飛躍的に向上します。実際、AmazonやNetflixなどの大規模サービスは、このアーキテクチャパターンを採用することで、秒間数百万のトランザクションを処理しています。
転職市場での評価が急上昇している理由
2025年現在、イベント駆動型マイクロサービスの専門家に対する需要は、以下の理由から急激に高まっています。
まず、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、多くの企業がレガシーシステムのモダナイゼーションに取り組んでいます。単純なマイクロサービス化では期待した成果が得られなかった企業が、次のステップとしてイベント駆動型への移行を検討しているのです。
次に、リアルタイムデータ処理の需要増加があります。IoTデバイスの普及、金融取引の高速化、ソーシャルメディアのリアルタイム分析など、様々な分野でミリ秒単位の処理が求められるようになりました。イベント駆動型アーキテクチャは、これらの要求に応える最適なソリューションとして認識されています。
年収1600万円を実現できる理由
イベント駆動型マイクロサービスの専門家が高年収を実現できる背景には、技術的な希少性があります。この分野で求められるスキルセットは非常に幅広く、分散システム理論、メッセージングパターン、非同期処理、分散トランザクション管理など、高度な知識と実装経験が必要です。
さらに、ビジネス価値の創出に直結する点も重要です。適切に設計されたイベント駆動型システムは、開発速度の向上、運用コストの削減、ビジネスアジリティの向上など、企業に明確な競争優位性をもたらします。そのため、この技術に精通したアーキテクトは、単なる技術者ではなく、ビジネス成長の推進者として評価されるのです。
イベント駆動型マイクロサービスで求められる技術スキル
イベント駆動型マイクロサービスアーキテクトとして転職市場で高評価を得るためには、技術的な深さと幅の両方が求められます。単にツールの使い方を知っているだけでなく、なぜその技術を選択し、どのようにビジネス価値に結びつけるかを説明できる能力が重要です。
ここでは、転職活動で評価される具体的な技術スキルと、それらをどのようにアピールすべきかを解説します。
メッセージングシステムとイベントストリーミング基盤
イベント駆動型アーキテクチャの中核となるのが、メッセージングシステムです。転職市場で特に評価が高いのは、以下の技術に関する実装経験です。
Apache Kafka
Apache Kafkaは、LinkedInが開発した分散ストリーミングプラットフォームで、現在最も広く採用されているイベントストリーミング基盤です。単なるメッセージキューとしてではなく、イベントストアとしての役割も果たし、数TB規模のイベントデータを高速に処理できます。
転職活動では、Kafkaクラスターの設計・構築経験、パーティショニング戦略、コンシューマーグループの管理、Kafka Streamsを使ったストリーム処理の実装経験などが高く評価されます。特に、プロダクション環境で秒間100万イベント以上を処理した経験があれば、それは強力なアピールポイントになります。
RabbitMQとAMQP
RabbitMQは、AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)を実装した信頼性の高いメッセージブローカーです。金融システムや医療システムなど、メッセージの確実な配信が求められる領域で広く使われています。
Exchange、Queue、Bindingの概念を正しく理解し、複雑なルーティングロジックを実装できることが重要です。また、クラスタリングやミラーリングによる高可用性構成の経験も評価されます。
クラウドネイティブなイベントサービス
AWS EventBridge、Azure Event Grid、Google Cloud Pub/Subなど、クラウドプロバイダーが提供するマネージドサービスの経験も重要です。これらのサービスを使って、サーバーレスアーキテクチャと組み合わせたイベント駆動システムを構築した経験は、特にクラウドファーストな企業で高く評価されます。
実際の転職面接では、「なぜKafkaではなくEventBridgeを選択したのか」「レイテンシー要件とコストのトレードオフをどう判断したか」といった、技術選定の理由を論理的に説明できることが求められます。
分散トランザクション管理とデータ整合性
マイクロサービス環境では、複数のサービスにまたがるトランザクション管理が大きな課題となります。この領域での実装経験は、アーキテクトとしての実力を示す重要な指標です。
Sagaパターンの実装
Sagaパターンは、分散トランザクションを一連の局所トランザクションとして実装する設計パターンです。各ステップが成功した場合は次のステップへ進み、失敗した場合は補償トランザクションで元の状態に戻します。
実際の開発では、オーケストレーション型とコレオグラフィー型の使い分けが重要になります。例えば、ECサイトの注文処理では、在庫確認→決済処理→配送手配という一連の流れをSagaパターンで実装します。途中で在庫切れが発生した場合、既に実行された決済をキャンセルする補償トランザクションが自動的に実行されます。
転職面接では、「どのようなビジネスロジックでSagaパターンを採用したか」「補償トランザクションの設計で工夫した点」「冪等性をどう保証したか」といった具体的な実装経験を語れることが重要です。
イベントソーシングとCQRS
イベントソーシングは、システムの状態変更をイベントの連続として記録する手法です。CQRS(Command Query Responsibility Segregation)と組み合わせることで、読み取りと書き込みを分離し、それぞれに最適化されたデータモデルを使用できます。
金融システムでの取引履歴管理、在庫管理システムでの商品移動追跡、ユーザー行動分析など、監査証跡が重要な領域でこのパターンが採用されます。Event StoreやAxon Frameworkなどのツールを使った実装経験があれば、それは大きなアドバンテージになります。
結果整合性の実現
分散システムでは、強整合性を諦めて結果整合性(Eventual Consistency)を採用することが一般的です。しかし、ビジネス要件によっては、特定の操作で強整合性が必要になることもあります。
この課題に対して、どのような設計判断を下したか、整合性の監視とアラートをどう実装したか、不整合が発生した場合のリカバリー手順をどう設計したかなど、実践的な経験が評価されます。
コンテナオーケストレーションとサービスメッシュ
マイクロサービスの運用において、コンテナ技術とサービスメッシュの知識は必須です。これらの技術を使いこなし、イベント駆動型アーキテクチャと統合できる能力は、転職市場で非常に高く評価されます。
Kubernetes上でのイベント駆動システム
Kubernetesは、マイクロサービスを運用する上でデファクトスタンダードとなっています。単にPodやServiceを作成できるだけでなく、以下のような高度な運用経験が求められます。
KEDA(Kubernetes Event-Driven Autoscaling)を使った、イベント量に応じた自動スケーリングの実装経験は特に重要です。例えば、Kafkaのコンシューマーラグに基づいてPodを自動的にスケールアウトする仕組みを構築した経験があれば、それは実践的なスキルの証明になります。
また、Knative Eventingを使ったサーバーレスイベント処理の実装、ArgoCDやFluxを使ったGitOpsによるデプロイメント自動化なども、モダンな開発チームで求められるスキルです。
Istioによるサービス間通信の制御
Istioなどのサービスメッシュは、マイクロサービス間の通信を制御し、可観測性を提供する重要な基盤です。イベント駆動型システムでは、サービス間の非同期通信が増えるため、トレーシングやメトリクスの収集が特に重要になります。
実際の開発では、Istioのトラフィック管理機能を使って、カナリアデプロイメントやA/Bテストを実装した経験、分散トレーシングを使って複雑なイベントフローをデバッグした経験などが評価されます。また、mTLSによるサービス間通信の暗号化、認証・認可の実装経験も重要です。
可観測性(Observability)の実現
イベント駆動型システムでは、同期的なシステムと比べてデバッグが困難になりがちです。そのため、包括的な可観測性の実現が不可欠です。
Prometheus、Grafana、Jaeger、ELKスタックなどを組み合わせて、メトリクス、ログ、トレースの三本柱(Three Pillars of Observability)を実現した経験は高く評価されます。特に、OpenTelemetryを使った統一的な観測データの収集、カスタムメトリクスの設計、SLI/SLOに基づくアラート設計などの経験があれば、それは大きな強みになります。
プログラミング言語とフレームワーク
イベント駆動型マイクロサービスの実装では、非同期処理に強い言語とフレームワークの選択が重要です。転職市場では、以下の技術スタックの経験が特に評価されます。
Go言語とその生態系
Go言語は、その優れた並行処理モデル(goroutineとchannel)により、イベント駆動型システムの実装に最適な言語の一つです。軽量で高速、かつメモリ効率が良いため、大量のイベントを処理するマイクロサービスに適しています。
実務では、Sarama(Kafkaクライアント)、NATS、Watermillなどのライブラリを使った経験が重要です。また、context.Contextを使った適切なキャンセレーション処理、エラーハンドリング、構造化ログの実装など、プロダクション品質のコードを書けることが求められます。
Java/Kotlin + Spring Boot
Spring Bootエコシステムは、エンタープライズ向けマイクロサービスの開発で広く採用されています。Spring Cloud Streamを使ったイベント駆動型アプリケーションの開発、Spring Cloud Contractによるコンシューマー駆動契約テストの実装経験などが評価されます。
特に、リアクティブプログラミング(Project Reactor、RxJava)の経験は重要です。WebFluxを使った非同期Web APIの実装、バックプレッシャーの適切な処理など、リアクティブシステムの設計・実装経験は大きなアドバンテージになります。
Node.js/TypeScriptとサーバーレス
サーバーレスアーキテクチャとイベント駆動型設計は相性が良く、AWS Lambda + EventBridge、Azure Functions + Event Gridなどの組み合わせが一般的です。
TypeScriptによる型安全な実装、AWS CDKやServerless Frameworkを使ったInfrastructure as Code、Step Functionsによるワークフロー管理など、クラウドネイティブな開発経験が求められます。また、Cold Start問題への対処、非同期処理のタイムアウト管理など、サーバーレス特有の課題への対処経験も重要です。
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。