この記事のまとめ
- 視線追跡技術は次世代UI/UX分野で急速に需要が拡大している高度な専門領域
- アイトラッキングエンジニアは年収1200万円〜1800万円の高年収が期待できる希少価値の高いポジション
- HCI研究機関、VR/ARスタートアップ、自動車・医療機器メーカーが主要な転職先となる
視線追跡技術の分野でエンジニアとしてキャリアを築きたいと考えているものの、この専門領域への転職方法が分からずに悩んでいませんか。
アイトラッキング技術は、人間とコンピューターの相互作用(HCI)を革新する最前線の技術として、多くの企業が注目しています。実は、この分野の専門知識を持つエンジニアは極めて希少で、適切なスキルセットを身につければ年収1500万円以上の高待遇を実現することも可能です。
本記事では、視線追跡・アイトラッキング技術の専門知識を活かしてHCI・UXリサーチ分野への転職を成功させる具体的な戦略を解説します。この分野の市場動向から必要な技術スキル、効果的なキャリア構築方法まで、実践的なアドバイスをお伝えします。
アイトラッキング技術の市場動向と転職チャンス
視線追跡技術は、VR/AR、自動運転、医療機器、マーケティングリサーチなど多様な分野で革新的な変化をもたらしている最先端技術です。この技術に精通したエンジニアの需要は急激に高まっており、特にHCI(ヒューマンコンピューターインタラクション)分野では専門人材の確保が企業の競争力に直結しています。
急成長するアイトラッキング市場の現状
グローバル市場調査によれば、アイトラッキング技術市場は年平均成長率28.4%で拡大を続けており、2025年には約15億ドル規模に達すると予測されています。この急速な成長の背景には、VRヘッドセットへの視線追跡機能統合、自動車の安全運転支援システム、医療診断支援技術の実用化があります。
特に注目すべきは、これまで研究機関や大手企業の実験室に限定されていた視線追跡技術が、消費者向けデバイスに搭載され始めていることです。Apple Vision ProやMeta Quest Proなどの次世代デバイスには高精度なアイトラッキング機能が標準搭載され、開発者が視線データを活用したアプリケーションを構築できる環境が整いつつあります。
この技術普及により、従来のマウスやタッチ操作を超えた直感的なユーザーインターフェースの実現が可能になっています。視線追跡技術に精通したエンジニアは、この技術革新の最前線で新しいユーザー体験を創造する重要な役割を担っているのです。
HCI分野における人材不足の深刻化
現在、HCI分野では深刻な人材不足が発生しています。特に視線追跡技術の専門知識を持つエンジニアは全世界で数千人程度しか存在せず、需要に対して供給が圧倒的に不足している状況です。
この人材不足の背景には、視線追跡技術が学際的な知識を要求する高度な専門分野であることがあります。コンピューターサイエンス、認知心理学、光学工学、機械学習、ユーザビリティ工学など、複数の専門領域を横断した知識が必要とされるため、包括的なスキルセットを持つ人材の育成には長期間を要します。
しかし、この人材不足は転職を考えるエンジニアにとって大きなチャンスでもあります。適切なスキルと経験を身につけることで、従来のソフトウェア開発職を大きく上回る年収と、技術革新の最前線で働くやりがいの両方を手に入れることが可能です。
年代別キャリア戦略の考え方
視線追跡技術分野への転職において、年代によって最適なアプローチは異なります。20代であれば研究開発職やジュニアエンジニアとしてのポテンシャル採用が期待できますが、30代以降では既存の技術経験をアイトラッキング分野に応用する戦略的転職が効果的です。
30代のエンジニアの場合、機械学習、コンピュータービジョン、組み込みシステム、UI/UX設計などの経験があれば、それらを視線追跡技術と組み合わせることで即戦力として高く評価されます。例えば、機械学習エンジニアであれば視線パターン分析アルゴリズムの開発、組み込みエンジニアであればアイトラッカーハードウェアの最適化、UI/UXデザイナーであれば視線制御インターフェースの設計など、専門性を活かした役割で参入できます。
特に重要なのは、アイトラッキング技術の応用先となる業界での経験です。自動車業界でのADAS開発経験、医療機器開発経験、ゲーム業界での経験などは、それぞれの分野における視線追跡技術の実装において非常に価値の高いバックグラウンドとなります。
シニアエンジニアのポジショニング戦略
40代以降のシニアエンジニアにとって、アイトラッキング分野は豊富な経験を活かせる理想的な転職先となります。この分野では技術的な深い知識だけでなく、プロジェクトマネジメント、技術チームの統率、産学連携の推進、規制対応など、シニアエンジニアならではのスキルが重要視されるためです。
特に注目すべきは、アイトラッキング技術の商用化プロジェクトにおけるマネジメント職の需要です。研究段階の技術を実用的な製品に落とし込むためには、技術的知見と事業経験を併せ持つリーダーが不可欠です。大手企業でのプロダクト開発経験、品質管理経験、国際標準化への参加経験などは、この分野において極めて高く評価されます。
また、視線追跡技術の応用が期待される医療・自動車・航空宇宙などの分野では、安全性と信頼性への要求が極めて高く、長年の開発経験を持つシニアエンジニアの知見が不可欠です。FDA認可、ISO26262対応、DO-178C準拠など、規制の厳しい業界での開発経験は転職市場において圧倒的な差別化要因となります。
アイトラッキング技術者が活躍する主要な職種とキャリアパス
視線追跡技術の専門知識を活かせる職種は多岐にわたり、それぞれ異なるスキルセットと年収レンジを持っています。この分野への転職を成功させるためには、自分の現在のスキルと興味に最も適合する職種を見極め、戦略的にキャリアを構築することが重要です。
実際の求人市場では、単純な「プログラマー」や「システムエンジニア」といった一般的なIT職種とは異なり、より専門性の高い独特なポジションが中心となります。ここでは、視線追跡技術者として働ける主要な職種とそれぞれの特徴、必要なスキル、キャリア戦略を詳しく解説します。
HCI研究開発エンジニア(年収1200万円〜2000万円)
HCI研究開発エンジニアは、視線追跡技術の最前線で新しいインタラクション手法を開発する研究者兼エンジニアです。大学の研究機関、大手IT企業の研究部門、先進的なスタートアップなどで活躍しています。
このポジションでは、既存の技術の限界を超える革新的なアプローチの開発が求められます。例えば、従来のアイトラッカーでは困難だった屋外環境での高精度視線追跡、複数人の同時視線計測、視線情報と脳波の融合分析など、技術的な挑戦性の高いプロジェクトに取り組みます。研究論文の執筆や国際会議での発表も業務の重要な一部となるため、高い英語力と学術的なコミュニケーション能力が必要です。
特に重要なスキルとして、機械学習(特にコンピューターヴィジョン)、信号処理、統計解析、認知心理学の知識が挙げられます。プログラミング言語ではPython、MATLAB、C++の習熟が求められ、深層学習フレームワーク(TensorFlow、PyTorch)の実装経験も高く評価されます。
UXリサーチエンジニア(年収1000万円〜1600万円)
UXリサーチエンジニアは、視線追跡技術を用いてユーザー行動の科学的分析を行い、プロダクト改善に活かす専門職です。WebサイトやモバイルアプリのUI最適化、広告効果測定、店舗レイアウト分析など、ビジネス直結の価値を創出します。
この職種では技術的なスキルと同時に、ビジネス課題を理解し適切な分析手法を選択する能力が重要になります。例えば、ECサイトのコンバージョン率向上のためには、商品ページでの視線パターンを分析し、購買意欲との相関関係を統計的に明らかにする必要があります。単なるヒートマップ作成にとどまらず、行動経済学や認知心理学の知見を活用した深い洞察を提供することが求められます。
必要なスキルとしては、統計解析(R、Python、SPSS)、実験計画法、データビジュアライゼーション、そして何より実際のアイトラッキング機器(Tobii、EyeLink、Pupil Labsなど)の操作経験が重視されます。また、クライアントや社内ステークホルダーに対する効果的なプレゼンテーション能力も重要な評価ポイントとなります。
VR/ARエンジニア(年収1300万円〜1800万円)
VR/ARエンジニアは、バーチャルリアリティや拡張現実環境において視線追跡技術を実装し、没入感の高いユーザー体験を創造する専門職です。Meta、Apple、Microsoft、Sony、Varjo、Magic Leapなどの大手VR/AR企業で高い需要があります。
この分野では、リアルタイム視線追跡による直感的な操作インターフェースの実現が主要な技術課題となります。例えば、視線だけでメニュー選択を行うアプリケーション、視線方向に基づく動的レンダリング最適化(Foveated Rendering)、視線とジェスチャーを組み合わせた複合操作システムなど、従来のコントローラーでは不可能だった操作体験を実現する技術開発に携わります。
VR/ARエンジニアには、リアルタイム3Dグラフィックス(Unity、Unreal Engine)、低遅延システム設計、光学系設計の知識、そして何よりも120Hz以上の高フレームレートでの視線追跡アルゴリズム実装能力が求められます。C#、C++、HLSLなどの言語習熟に加えて、OpenXR、OpenVR、ARCoreなどのVR/AR開発プラットフォームでの実装経験が高く評価されます。
組み込みシステムエンジニア(年収1100万円〜1500万円)
組み込みシステムエンジニアは、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、自動車、医療機器などに搭載される視線追跡システムのファームウェア開発を担当します。特に消費者向けデバイスでの実装では、低消費電力、小型化、コスト最適化といった厳しい制約条件下での設計が求められます。
この職種では、ハードウェアとソフトウェアの境界領域での深い理解が必要になります。例えば、スマートフォンのフロントカメラを利用した視線追跡機能の実装では、カメラセンサーの特性理解、リアルタイム画像処理の最適化、モバイルプロセッサーでの効率的な演算処理、そして既存のアプリケーション層との統合といった多層的な技術課題に対応する必要があります。
必要な技術スキルとしては、C/C++での組み込み開発、RTOS(リアルタイムOS)の理解、ARM Cortexプロセッサーでの最適化、OpenCV、機械学習の軽量化技術(量子化、プルーニング)、そして電力効率最適化の手法が重要です。また、Bluetooth、USB、WiFiなどの通信プロトコルの実装経験も評価されます。
情報処理サービス業界
IT技術は、さまざまなビジネス・産業・サービスで利用されています。企業が求める情報システムを構築し、利用をサポートするのが情報処理・提供サービス業界です。システムインテグレーター(SIer)とも呼ばれます。主な職種には、以下のようなものがあります。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT技術を用いてクライアントの経営課題の改善やシステム導入の支援を行う仕事です。コスト削減や効率化などを実現するパートナーと理解するとよいでしょう。ITコンサルタントとして活躍するには、IT分野に限らず、経営全般や携わる業界に関する幅広い知識などが求められます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、営業をサポートして製品・サービスの販売を促進する仕事です。自社の製品を活用できるよう、情報提供や実演を行うこともあります。知識・スキル面から営業をフォローし、クライアントの満足度を上げるのが役割です。クライアントの疑問に答えるため、技術面の深い知識に加え、分かりやすく伝える能力も求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ITシステムの利用における技術的な問題に対応する問い合わせ窓口です。「操作の仕方が分からない」「動かなくなった」などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどを使って解決に導きます。問い合わせの一次対応をするヘルプデスクよりも高度な知識が求められる職種です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、システム開発などのプロジェクト全体の進行を管理する職種です。具体的には、計画立案や予算管理、リソースや工程の管理、さらにはステークホルダーとのコミュニケーションも業務内容に含まれます。いわば、プロジェクトを成功へ導く重要な役割を担うといえます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
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システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。