日本のIT業界で働く外国人エンジニアにとって、技術力だけでなく日本語能力も重要な評価要素となっています。実は、私がこれまでサポートしてきた外国人エンジニアの中でも、高い技術力を持ちながら言語の壁に苦戦する方が非常に多いのです。特に年収1000万円を超えるポジションでは、チームリーダーやクライアント対応など、高度な日本語コミュニケーション能力が求められます。
ところで、最近お会いした中国出身のエンジニアの方は、ビジネス日本語検定(BJT)でJ1レベルを取得後、大手IT企業への転職に成功し、年収が400万円もアップしました。彼の成功のポイントは、単に日本語が話せるだけでなく、ビジネスシーンで適切な日本語を使いこなせることを客観的に証明できたことでした。
本記事では、外国人エンジニアが日本企業への転職で成功するために、ビジネス日本語検定を活用したキャリア戦略について詳しく解説していきます。技術力と日本語能力の両方を武器に、理想的なポジションを獲得するための実践的なアプローチをお伝えします。
なぜ外国人エンジニアにビジネス日本語検定が重要なのか
日本のIT企業では、外国人エンジニアの採用が年々増加しています。しかし、多くの企業が採用時に重視するのは技術力だけではありません。日本企業特有の文化や慣習を理解し、円滑にコミュニケーションできる能力も同等に重要視されているのです。
私がキャリアコンサルタントとして外国人エンジニアの転職をサポートする中で気づいたのは、日本語能力試験(JLPT)のN1を持っていても、ビジネスシーンでの実践的な日本語運用に苦労する方が多いということです。JLPTは一般的な日本語能力を測る試験ですが、IT業界のビジネス現場で求められる専門的なコミュニケーション能力とは少し異なります。
そこで注目されているのがビジネス日本語検定(BJT)です。この検定は、実際のビジネスシーンを想定した問題が出題され、仕事で使える実践的な日本語能力を測定します。特にIT企業では、技術的な内容を日本語で正確に伝える能力、会議での発言力、メールやドキュメントの作成能力などが評価されるため、BJTの資格は強力なアピールポイントになるのです。
ビジネス日本語検定(BJT)の概要と評価基準
ビジネス日本語検定は、日本貿易振興機構(JETRO)が実施していた試験を、現在は日本漢字能力検定協会が引き継いで運営している検定試験です。この試験の特徴は、単なる語学力だけでなく、ビジネスコミュニケーション能力を総合的に評価する点にあります。
BJTの評価は0~800点のスコア制で、6つのレベルに分かれています。J5(最低レベル)からJ1+(最高レベル)まであり、IT企業への転職で有利になるのは一般的にJ2(420~529点)以上とされています。特に管理職やリーダーポジションを目指す場合は、J1(530~599点)以上が望ましいでしょう。
試験内容は、聴解、聴読解、読解の3つのセクションで構成されており、実際のビジネスシーンを想定した問題が出題されます。例えば、会議での発言内容を理解する問題、ビジネスメールの適切な表現を選ぶ問題、プレゼンテーション資料を読み解く問題などが含まれています。これらは、IT企業で日常的に遭遇するシチュエーションと密接に関連しているため、試験対策自体が実務能力の向上につながります。
日本のIT企業が外国人エンジニアに求める日本語能力
日本のIT企業が外国人エンジニアに求める日本語能力は、ポジションや役割によって大きく異なります。しかし、共通して重要視されるのは、技術的な内容を正確に伝える能力と、チーム内での円滑なコミュニケーション能力です。
開発現場では、仕様書やドキュメントの読み書き能力が必須となります。特に、要件定義書や設計書を日本語で作成する機会が多い企業では、正確で分かりやすい文章を書く能力が求められます。また、コードレビューやペアプログラミングの際には、技術的な議論を日本語で行う必要があるため、専門用語を適切に使いこなす能力も重要です。
さらに、キャリアアップを目指す場合は、より高度な日本語能力が必要になります。プロジェクトリーダーやマネージャーになると、クライアントとの打ち合わせ、プレゼンテーション、部下の指導など、多様なコミュニケーションスキルが求められます。このような場面では、相手の立場を考慮した適切な敬語の使用、婉曲的な表現、ニュアンスを含んだコミュニケーションなど、日本のビジネス文化に精通した日本語運用能力が不可欠となります。
外国人エンジニアがBJTを活用して転職成功する具体的な方法
外国人エンジニアがビジネス日本語検定を転職活動に活かすためには、戦略的なアプローチが必要です。単に高いスコアを取得するだけでなく、そのスコアが実務でどのように活かせるかを明確に示すことが重要なのです。
私がこれまでサポートしてきた成功事例を分析すると、BJTのスコアと技術スキルを効果的に組み合わせてアピールできた方が、理想的なポジションを獲得しています。例えば、インド出身のフルスタックエンジニアの方は、BJT J1レベルの取得と同時に、日本語で技術ブログを執筆し始めました。その結果、日本語コミュニケーション能力と技術力の両方を実証でき、外資系企業の日本法人でテックリードのポジションを獲得しました。
また、転職活動のタイミングも重要です。BJTの受験から結果発表まで約1か月かかるため、転職活動のスケジュールを逆算して計画を立てる必要があります。理想的には、転職活動を本格的に開始する3~6か月前にBJTを受験し、スコアを取得しておくことをおすすめします。
BJTスコア別の転職戦略とポジション選択
BJTのスコアレベルに応じて、狙えるポジションと転職戦略が変わってきます。それぞれのレベルで効果的なアプローチ方法を見ていきましょう。
J3レベル(320~419点)の場合、まだビジネス日本語の基礎段階にあるため、技術力を前面に押し出しつつ、日本語学習への意欲をアピールすることが重要です。このレベルでは、外国人エンジニアの採用に積極的な企業や、英語を公用語としている企業を中心に応募することをおすすめします。面接では、日本語学習の具体的な計画や、将来的にどのレベルまで到達したいかを明確に伝えることで、成長意欲の高さをアピールできます。
J2レベル(420~529点)になると、一般的なビジネスコミュニケーションが可能になるため、選択肢が大きく広がります。このレベルでは、日本企業の開発チームで中核メンバーとして活躍できるポジションを狙えます。履歴書や職務経歴書を日本語で作成し、面接でも日本語で技術的な説明ができることを実証することで、即戦力として評価されやすくなります。
J1レベル(530~599点)以上になると、リーダーポジションや顧客対応を含む上流工程の仕事も視野に入ってきます。このレベルの方は、日本語能力を単なる付加価値としてではなく、ビジネス上の強みとして積極的にアピールすべきです。例えば、グローバルプロジェクトでの橋渡し役、海外展開を検討している日本企業でのキーパーソンなど、言語能力を活かした特別なポジションを提案することも可能です。
履歴書・職務経歴書でのBJT資格の効果的なアピール方法
履歴書や職務経歴書でBJT資格をアピールする際は、単にスコアを記載するだけでなく、そのスコアが実務でどのように活かせるかを具体的に示すことが重要です。
資格欄には「ビジネス日本語能力テスト(BJT)J1レベル(550点)」のように、レベルとスコアの両方を明記します。さらに、職務経歴書の自己PR欄では、BJTの学習を通じて身につけた具体的なスキルを記載します。例えば、「BJT J1レベルの日本語能力を活かし、日本人クライアントとの要件定義会議で通訳なしで技術仕様の説明を行い、プロジェクトの効率化に貢献しました」といった実績を含めると効果的です。
また、BJTの資格と併せて、日本語を使った実務経験や成果を具体的に記載することも重要です。日本語でのドキュメント作成実績、日本人チームでのプロジェクト経験、日本語での技術プレゼンテーション経験など、言語能力が実務で活かされた事例を積極的に盛り込みましょう。これにより、採用担当者は応募者の日本語能力が実務レベルで通用することを具体的にイメージできるようになります。
面接でのビジネス日本語コミュニケーション実践テクニック
面接は、BJTで身につけたビジネス日本語能力を実際に示す絶好の機会です。しかし、緊張する面接の場で適切な日本語を使いこなすには、事前の準備と練習が欠かせません。
面接でよく聞かれる質問に対する回答を、あらかじめ日本語で準備しておくことは基本中の基本です。ただし、丸暗記した回答をそのまま話すのではなく、自然な会話として伝えられるよう練習することが大切です。特に、技術的な内容を説明する際は、専門用語を適切に使いながらも、相手の理解度に応じて説明のレベルを調整できる柔軟性が求められます。
面接での敬語の使い方も重要なポイントです。過度に丁寧すぎる敬語は不自然に聞こえることがあるため、ビジネスシーンで一般的に使われるレベルの敬語を身につけることが大切です。また、面接官からの質問に対して、「はい」「いいえ」だけでなく、理由や具体例を交えて答えることで、コミュニケーション能力の高さをアピールできます。
BJT対策と並行して進めるべきIT業界特化の日本語学習
BJTの対策だけでなく、IT業界で実際に使われる日本語を並行して学習することで、より実践的な日本語能力を身につけることができます。IT業界には独特の専門用語や表現があり、これらを適切に使いこなすことが、円滑なコミュニケーションの鍵となります。
技術ドキュメントや仕様書でよく使われる表現パターンを学習することから始めましょう。「~を実装する」「~に対応する」「~を考慮する」といった動詞の使い方、「要件」「仕様」「実装」「検証」といった名詞の適切な使い分けなど、IT業界特有の語彙を体系的に学習することが重要です。
さらに、実際の開発現場で使われるカジュアルな表現も身につけておくと良いでしょう。例えば、「バグる」「落ちる」「重い」といった俗語的な表現は、教科書では学べませんが、チーム内のコミュニケーションでは頻繁に使われます。こうした表現を理解し、適切な場面で使えるようになることで、チームの一員として自然に溶け込むことができます。
IT専門用語の日本語マスター術
IT専門用語を日本語で正確に理解し、使いこなすことは、外国人エンジニアにとって大きな課題の一つです。英語由来のカタカナ語が多い一方で、日本独自の略語や造語も存在するため、体系的な学習が必要です。
まず重要なのは、同じ技術用語でも文脈によって異なる日本語表現が使われることを理解することです。例えば、「deploy」は「デプロイ」というカタカナ表記が一般的ですが、「配備する」「展開する」「リリースする」といった日本語表現も使われます。これらの使い分けは、社内文書、顧客向け資料、技術ブログなど、文書の種類や読み手によって変わってきます。
効果的な学習方法として、日本語の技術ブログや技術書を積極的に読むことをおすすめします。特に、自分の専門分野に関する日本語の技術記事を毎日読む習慣をつけることで、自然な表現パターンが身につきます。また、社内の日本語ドキュメントを分析し、よく使われる表現や言い回しをノートにまとめておくと、自分が文書を作成する際の参考になります。
技術ドキュメント・仕様書の読み書き能力向上法
日本のIT企業で働く上で、技術ドキュメントや仕様書を日本語で読み書きする能力は必須スキルです。特に、要件定義書、基本設計書、詳細設計書といった上流工程のドキュメントは、プロジェクトの成否を左右する重要な文書であり、正確で分かりやすい日本語で記述する必要があります。
読解力を向上させるには、実際の業務で使用されているドキュメントのテンプレートや過去の事例を分析することが効果的です。多くの日本企業では、ドキュメントの書式や構成がある程度標準化されているため、そのパターンを理解することで、効率的に内容を把握できるようになります。特に注目すべきは、「目的」「背景」「要件」「制約事項」といったセクションの書き方で、それぞれのセクションでどのような情報をどのような表現で記述するかを学ぶことが重要です。
文書作成能力を向上させるには、まず短い技術メモやメールから始めて、徐々に長い文書に挑戦していく段階的なアプローチが効果的です。作成した文書は、できれば日本人の同僚にレビューしてもらい、不自然な表現や改善点についてフィードバックを受けることで、実践的な文章力が身につきます。
会議・プレゼンでの効果的な日本語表現
会議やプレゼンテーションでの日本語コミュニケーションは、多くの外国人エンジニアが苦手とする分野です。技術的な内容を正確に伝えるだけでなく、日本のビジネス文化に適した話し方や進行方法を身につける必要があります。
会議での発言では、いきなり本題に入るのではなく、適切な前置きを使うことが重要です。「恐れ入りますが」「私の理解では」「もしかすると的外れかもしれませんが」といった謙遜表現を適度に使うことで、日本的なコミュニケーションスタイルに馴染むことができます。ただし、過度な謙遜は自信のなさと受け取られることもあるため、バランスが大切です。
プレゼンテーションでは、聴衆の理解度を確認しながら進める配慮が求められます。「ここまでで何かご質問はありますか」「この点について補足が必要でしょうか」といった確認の言葉を適切なタイミングで入れることで、一方的な説明にならず、インタラクティブなプレゼンテーションを実現できます。また、技術的に複雑な内容を説明する際は、図表を活用しながら、段階的に説明を進めることで、日本語能力の不足を補うことができます。
外国人エンジニアが日本企業で成功するための文化理解
日本のIT企業で成功するためには、言語能力だけでなく、日本の企業文化やビジネス慣習への理解も不可欠です。技術力と日本語能力が高くても、文化的な違いを理解していないと、チーム内での摩擦や誤解が生じることがあります。
日本企業の特徴の一つは、コンセンサス重視の意思決定プロセスです。重要な決定を下す前に、関係者全員の意見を聞き、合意形成を図ることが一般的です。このプロセスは時間がかかることもありますが、決定後の実行がスムーズに進むというメリットがあります。外国人エンジニアとしては、このプロセスを理解し、忍耐強く参加することが求められます。
また、日本企業では「報連相(報告・連絡・相談)」という考え方が重視されます。これは、業務の進捗や問題点を適切なタイミングで上司や同僚と共有することを意味します。特に問題が発生した場合は、早めに相談することで、チーム全体でサポートする文化があります。この文化を理解し、積極的にコミュニケーションを取ることで、信頼関係を構築できます。
日本企業の評価制度と昇進の仕組み
日本企業の評価制度は、欧米企業とは異なる特徴があります。多くの日本企業では、個人の成果だけでなく、チームへの貢献度や協調性も重要な評価項目となります。
技術力が高くても、チームワークを乱すような行動は評価を下げる要因となります。逆に、技術力が平均的でも、チームの生産性向上に貢献したり、後輩の指導に積極的だったりする人は高く評価される傾向があります。外国人エンジニアとしては、個人の成果をアピールしつつ、チーム全体の成功にどう貢献したかを明確に示すことが重要です。
昇進のスピードも、欧米企業と比べると緩やかな傾向があります。しかし、近年は実力主義を取り入れる企業も増えており、特にIT業界では能力次第で早期昇進も可能です。重要なのは、日本語でのコミュニケーション能力を向上させながら、技術面でもリーダーシップを発揮することです。BJTの高スコアは、管理職として日本人部下を指導できる能力の証明にもなるため、昇進の際の強力な武器となります。
チームワークとコミュニケーションの日本式アプローチ
日本のIT企業では、個人プレーよりもチームワークが重視される傾向があります。これは、品質重視の日本のものづくり文化が、ソフトウェア開発にも反映されているためです。
チーム内でのコミュニケーションでは、直接的な批判を避け、建設的な提案の形で意見を述べることが好まれます。例えば、同僚のコードに問題を見つけた場合、「このコードは間違っています」と直接的に指摘するのではなく、「こういう方法もあるかもしれませんが、いかがでしょうか」といった提案型のアプローチが効果的です。
また、定期的な情報共有も重要です。朝会や週次ミーティングでの進捗報告は、単なる形式的なものではなく、チーム全体で情報を共有し、問題を早期に発見するための重要な機会です。外国人エンジニアとしては、これらの会議で積極的に発言し、自分の業務状況を適切に共有することで、チームの一員として認められやすくなります。
BJT取得後のキャリアパスと年収アップの実現方法
BJTの資格を取得した後は、それを最大限に活用してキャリアアップを図ることが重要です。単に資格を持っているだけでなく、実務でその能力を発揮し、継続的にスキルを向上させることで、着実に年収アップを実現できます。
私がサポートした韓国出身のエンジニアの事例では、BJT J2レベル取得後、社内の国際プロジェクトに積極的に参加し、日本側と海外側の橋渡し役として活躍しました。その結果、2年後にはプロジェクトマネージャーに昇進し、年収が300万円アップしました。このように、BJTの資格を実務で活かす機会を自ら作り出すことが、キャリアアップの鍵となります。
また、BJTの資格は転職時だけでなく、現職でのキャリアアップにも活用できます。例えば、社内公募制度を利用して、より日本語能力が求められるポジションに挑戦したり、日本語での技術発表の機会を増やしたりすることで、自分の価値を高めることができます。
短期・中期・長期のキャリア戦略
外国人エンジニアがBJTを活用してキャリアを構築する際は、短期・中期・長期の視点で戦略を立てることが重要です。
短期(1~2年)では、まずBJT J2レベル以上の取得を目指し、同時に現職での日本語使用機会を増やすことに注力します。日本語でのドキュメント作成、会議での発言、社内勉強会での発表など、小さな挑戦から始めて、徐々に難易度を上げていきます。この期間に、日本語を使った実績を積み重ねることで、転職時のアピールポイントを作ります。
中期(3~5年)では、BJT J1レベル以上を目指しながら、リーダーポジションへの挑戦を視野に入れます。技術的な専門性を深めると同時に、日本人メンバーをマネジメントする経験を積むことで、管理職としての素養を身につけます。この段階では、年収1000万円以上のポジションも現実的な目標となります。
長期(5年以上)では、CTOやVP of Engineeringといった経営層に近いポジションを目指すことも可能です。高度な日本語能力と豊富な実務経験を武器に、日本企業のグローバル展開をリードする人材として活躍できます。また、起業という選択肢もあり、日本市場に精通した外国人起業家として、ユニークな価値を提供することができます。
年収1200万円を実現するための具体的なステップ
年収1200万円は、日本のIT業界では上位層に位置する水準ですが、適切な戦略を実行すれば十分に達成可能な目標です。
まず必要なのは、市場価値の高い技術スキルとBJT J1レベル以上の日本語能力の組み合わせです。現在需要が高い技術分野(クラウド、AI/ML、セキュリティなど)のスペシャリストになることで、基本的な市場価値を高めます。さらに、高度な日本語能力があることで、日本企業の重要なポジションに就くことが可能になります。
次に重要なのは、適切な企業選びです。外資系企業の日本法人、急成長中のスタートアップ、大手IT企業の新規事業部門など、高い報酬を支払う余力がある企業をターゲットにします。これらの企業では、技術力と日本語能力の両方を持つ人材は希少価値が高く、相応の報酬を得られる可能性が高いです。
最後に、継続的なスキルアップとネットワーキングも欠かせません。技術カンファレンスへの参加、技術ブログの執筆、オープンソースプロジェクトへの貢献など、自分の価値を対外的に示す活動を続けることで、より良い機会に巡り合える確率が高まります。
外国人エンジニアの成功事例と学ぶべきポイント
実際に日本で成功している外国人エンジニアの事例から、具体的な成功パターンを学ぶことができます。
ベトナム出身のAさんは、来日当初はJLPT N3レベルの日本語能力でしたが、働きながらBJTの勉強を続け、3年後にJ1レベルを取得しました。その過程で、社内の技術勉強会を日本語で主催するようになり、技術力と日本語力の両方をアピールできる場を作りました。現在は某大手IT企業のテックリードとして、年収1300万円で働いています。
中国出身のBさんは、BJT J2レベル取得後、日本企業と中国企業の合弁プロジェクトで通訳兼技術アドバイザーとして活躍しました。両国の技術者間のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトを成功に導いた実績が評価され、グローバル事業部の部長に抜擢されました。現在の年収は1500万円を超えています。
これらの成功事例に共通するのは、BJTの資格を単なる証明書として使うのではなく、実務で積極的に日本語能力を発揮し、独自の価値を創造している点です。また、日本語能力の向上と並行して、技術力も継続的に磨き続けていることも重要なポイントです。
まとめ
外国人エンジニアが日本のIT企業で成功するためには、技術力だけでなく、ビジネス日本語能力も重要な要素となります。ビジネス日本語検定(BJT)は、その能力を客観的に証明する有効な手段であり、適切に活用することで、キャリアアップと年収アップを実現できます。
BJTの学習を通じて身につけた日本語能力は、単なる言語スキルにとどまらず、日本のビジネス文化や慣習への理解も深めることができます。この理解は、日本企業での長期的な成功に不可欠な要素です。技術力と日本語能力、そして文化理解の3つを兼ね備えることで、他の候補者との差別化を図り、理想的なキャリアを築くことができるのです。
今後、日本のIT業界はますますグローバル化が進み、高度な技術力と日本語能力を持つ外国人エンジニアの需要は更に高まることが予想されます。今こそ、BJTへの挑戦を始め、自身の市場価値を高める絶好の機会です。一歩一歩着実に日本語能力を向上させながら、日本のIT業界でのキャリアを積み重ねていきましょう。
今回は、未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイントや未経験者が転職しやすいIT職種を紹介します。この記事を読めば、未経験からIT業界に転職するコツが分かるでしょう。
IT業界とは?未経験でも転職可能?
IT業界は需要が高く、未経験でも比較的挑戦しやすい職種ですが、条件に合う転職先に入社できる可能性は年代によっても大きく異なります。たとえば、将来性を期待できることから若い年代を積極的に採用している企業は少なくありません。ここでは、未経験からIT業界への転職事情を年代別に紹介します。
未経験者に門戸を開くIT企業は増えている
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和6年11月)」によれば、IT業界を含む情報通信業では人材不足に悩む企業が多く、その割合は55%に達しています。
この状況は、未経験者を積極的に採用する企業が増加している背景となっています。IT業界経験者だけでは補いきれない需要があるため、ポテンシャルややる気を重視する採用が広まりつつあります。そのため、未経験者であっても、ポテンシャルややる気をうまくアピールできれば、IT業界への転職は十分可能です。
とはいえ、人手の足りない企業ほど即戦力を求めているため、同じ未経験者でも業界知識を持っているほうが採用される可能性は高くなります。転職活動を始める前に、独学で学んだりスクールに通ったりして基本的な知識やスキルは身につけておくとよいでしょう。
20代は未経験・第二新卒でも採用されやすい
20代は、未経験でもIT業界へ転職しやすい傾向にあります。実績よりも、人柄とやる気が重視されるケースが多いためです。新卒だけでなく、3年程度社会人経験のある第二新卒も人材育成の手間が少し省けるとして採用されやすい点が特徴です。ただし20代後半になると、20代前半に比べて未経験採用枠が少し減ってしまったり、前職でのスキルなども選考基準に組み込まれたりする場合があります。
30代になると実績やスキルを活かした転職が増える
30代では、20代と比較して未経験採用枠が減る傾向にあり、前職での実績やスキルを活かした転職が一般的になっていきます。まったくの初心者からIT業界への転職を考えている場合は、Webコーダーなど未経験からも挑戦しやすい職種を選択するとよいでしょう。また転職前にスクールに通うなどして、知識やスキルをある程度身につけてアピールできるよう準備しておく方法も有用です。
40代は求人条件が厳しく転職活動が長期化する恐れが
40代に突入すると、未経験からIT業界への転職は厳しくなる傾向にあります。未経験者を募集する求人数が減り、自分の希望する年収や勤務先などの条件と一致した転職先を探すのが困難になるためです。40代でIT業界への転職に挑戦したい場合は、事前にスキルや知識の勉強しておくことが必須となるでしょう。
ただし、マネジメント経験など40代ならではの強みをアピールすると、採用につながりやすくなる可能性もあります。派遣社員やアルバイト、簡単な副業から始めて実績を積んだうえで正社員登用を目指す方法も有効です。
【分類別】未経験者が知っておきたいIT業界で活躍している職種
一口にIT業界といっても「Web関連業界」「情報処理・提供サービス業界」「ソフトウェア業界」「ハードウェア業界」の4つに大きく分類され、それぞれ業務内容が大きく異なります。未経験からIT業界へチャレンジする際には、ミスマッチを防ぐためにも4つの業界の特徴を把握しておくことが大切です。
ここでは、4つのIT関連業界の特徴やその業界で働く主な職種を解説します。
Web関連業界
Web関連業界は、主にWebサイトやインターネット広告の制作などに携わります。SNSやポータルサイト、ショッピングサイトなどに関わる企業もこの業界に含まれます。主な職種は、以下のとおりです。
Webデザイナー
Webデザイナーは、企業や個人から依頼されたWebサイトのデザインを制作する仕事です。サイトの企画や実際のサイトを制作するコーディングまで担当することもあります。そのため、高いデザインスキルに加え、コーディングするためのプログラミングスキルも求められます。
Webディレクター
Webディレクターは、Web制作の中心的な役割を担います。プロジェクトのスケジュールを立て、管理・進行するのが主な業務です。現場の責任者として全体に指示を出しつつ、クライアントの窓口にもなります。要望をヒアリングして現場に伝えるコミュニケーション能力に加え、Webに関する幅広い知識が求められる職種です。
Webマーケター
Webマーケターは、主にWebを活用した集客や売り上げ増進を狙う職種です。具体的には、SEO施策やSNSの運用、広告の管理などを行い、ターゲットとなる顧客にアプローチします。特にWebマーケティングの成果はデータ分析によって可視化されやすく、施策の効果測定がしやすいのが特徴です。資格が不要なため、IT未経験者でも入りやすい職種ですが、Google Analyticsなどを用いたデータ分析スキルが求められます。
DTPオペレーター
DTPオペレーターは、Webデザイナーが作成したレイアウトを基に、印刷用のデータを作成する重要な職種です。具体的には、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopなどのソフトを使用し、テキスト入力やレイアウト調整を行います。
未経験からでも挑戦可能ですが、印刷物を完成させるための正確な作業とコミュニケーション能力が求められます。さまざまな業務を経験でき、自身が関わった作品が世に出ることにやりがいを感じられる仕事です。
情報処理サービス業界
IT技術は、さまざまなビジネス・産業・サービスで利用されています。企業が求める情報システムを構築し、利用をサポートするのが情報処理・提供サービス業界です。システムインテグレーター(SIer)とも呼ばれます。主な職種には、以下のようなものがあります。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、IT技術を用いてクライアントの経営課題の改善やシステム導入の支援を行う仕事です。コスト削減や効率化などを実現するパートナーと理解するとよいでしょう。ITコンサルタントとして活躍するには、IT分野に限らず、経営全般や携わる業界に関する幅広い知識などが求められます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、営業をサポートして製品・サービスの販売を促進する仕事です。自社の製品を活用できるよう、情報提供や実演を行うこともあります。知識・スキル面から営業をフォローし、クライアントの満足度を上げるのが役割です。クライアントの疑問に答えるため、技術面の深い知識に加え、分かりやすく伝える能力も求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ITシステムの利用における技術的な問題に対応する問い合わせ窓口です。「操作の仕方が分からない」「動かなくなった」などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどを使って解決に導きます。問い合わせの一次対応をするヘルプデスクよりも高度な知識が求められる職種です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、システム開発などのプロジェクト全体の進行を管理する職種です。具体的には、計画立案や予算管理、リソースや工程の管理、さらにはステークホルダーとのコミュニケーションも業務内容に含まれます。いわば、プロジェクトを成功へ導く重要な役割を担うといえます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
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