フロントエンドエンジニアやフルスタックエンジニアの採用面接では、JavaScriptでのライブコーディングを求められるケースが増えています。JavaScriptはWebの世界では圧倒的なシェアを持つ言語ですが、その独特な仕様やクセを正しく理解していないと、面接の場で思わぬ失点をすることがあります。
この記事では、JavaScript限定のライブコーディング面接に特化した対策を紹介します。JSならではの言語仕様、面接で問われやすいトピック、そして実際の頻出問題の解法パターンまで、実践的な内容をカバーしています。普段JavaScriptを使っている方でも、面接対策として改めて整理しておくと安心です。
JavaScriptがコーディング面接で選ばれる理由と注意点
フロントエンド系のポジションではJavaScriptが面接言語として指定されることが一般的ですが、バックエンドやフルスタックのポジションでもJavaScriptを選択する候補者は少なくありません。Node.jsの普及により、サーバーサイドでもJavaScriptが当たり前に使われるようになった背景があります。
JavaScriptをコーディング面接で使うメリットのひとつは、柔軟なデータ構造の表現です。オブジェクトリテラルやMapを使えばハッシュマップの操作が直感的に書けますし、配列のメソッドチェーンで複雑なデータ変換をスマートに表現できます。PythonやJavaと比較しても、短いコードで処理を記述できる場面が多いのは面接では有利に働きます。
ただし、JavaScriptには他の言語にはない特有の罠がいくつかあります。暗黙の型変換、thisのバインディング、非同期処理の挙動など、理解が浅いと面接中にバグを作り込んでしまうリスクがあります。面接官がJavaScript経験者であれば、こうした言語特有のポイントを正しく扱えるかどうかを注意深く見ています。Pythonのように「とりあえず動くコードが書ける」だけでは不十分で、JavaScript特有の挙動を理解した上でコーディングすることが求められます。
面接で問われるJavaScript基礎知識
ライブコーディングの前後で、JavaScriptの基礎知識に関する口頭質問が入ることがあります。コードを書きながらこれらの概念を正確に説明できると、面接官からの信頼度が格段に上がります。
クロージャはJavaScript面接で最も頻繁に問われるトピックのひとつです。関数が自身が定義されたスコープの変数にアクセスできるという仕組みですが、これを利用したカウンターの実装やプライベート変数のシミュレーションなどが面接で出題されます。「クロージャとは何ですか?」と直接聞かれることもあれば、クロージャを使った問題を解く中で自然と説明を求められることもあります。いずれにせよ、自分の言葉で明確に説明できるように準備しておきましょう。
thisキーワードの挙動もJavaScript面接の定番テーマです。通常の関数呼び出し、メソッド呼び出し、コンストラクタ呼び出し、アロー関数、そしてcall/apply/bindによる明示的なバインディングで、thisが何を指すかが変わるという点は、正確に理解しておく必要があります。面接で「このコードのthisは何を指しますか?」と聞かれたときに即答できるかどうかは、JavaScriptエンジニアとしての実力を測る試金石です。
そういえば、プロトタイプチェーンについても触れておかなければなりません。ES6のclass構文が普及した現在でも、その裏側ではプロトタイプベースの継承が動いています。面接では「classで書いたコードがプロトタイプレベルでどう動くか」を問われることがあります。new演算子がオブジェクトを生成する際の内部的な流れや、prototypeプロパティの役割を理解しておくと、深い質問にも対応できます。
配列メソッドを使いこなす
JavaScriptの配列メソッドは、ライブコーディング面接で最も頻繁に使う武器です。map、filter、reduce、forEach、find、some、everyなど、豊富なメソッドを状況に応じて適切に使い分けることが求められます。
mapとfilterの組み合わせは面接で最も出番が多い パターンです。たとえば「ユーザーの配列からアクティブなユーザーの名前だけを取り出す」という処理は、filter でアクティブなユーザーを絞り込み、mapで名前を抽出するという2段階で書けます。メソッドチェーンで一連の処理をつなげて書くスタイルは、JavaScriptのコーディング面接では好印象です。
reduceはやや高度ですが、使いこなせると面接で大きなアドバンテージになります。配列の要素を集約してひとつの値にまとめる処理全般に使え、合計の計算はもちろん、グルーピングやフラット化にも応用できます。面接では「reduceを使って配列をオブジェクトに変換する」というタイプの問題が出ることがありますが、reduceの初期値とコールバック関数の引数を正しく理解していないとつまずきやすいポイントです。
ところで、配列メソッドとforループのどちらを使うべきかという問題もあります。面接では一般に、配列メソッドを使った宣言的なスタイルが好まれますが、パフォーマンスが重要な場面やbreak/continueが必要な場面ではforループの方が適切です。「なぜこの場面でforループを選んだか」を説明できるかどうかも、面接官が見ているポイントのひとつです。
非同期処理の理解と実装
JavaScriptのライブコーディング面接で避けて通れないのが、非同期処理に関する問題です。コールバック、Promise、async/awaitの3つのアプローチを理解し、それぞれの特性と使い分けを説明できることが求められます。
Promiseの基本的な使い方は必ず押さえておきましょう。Promise.all、Promise.race、Promise.allSettledの違いを聞かれることは珍しくありません。とくにPromise.allは、複数の非同期処理を並行実行して全ての結果を待つ場面で頻繁に使います。ひとつでも失敗するとrejectされるPromise.allと、すべての結果を取得できるPromise.allSettledの違いは、実務的な知識として問われやすいポイントです。
async/awaitはPromiseの糖衣構文ですが、面接ではその裏側の挙動を理解しているかどうかが問われます。async関数が常にPromiseを返すこと、awaitがPromiseの解決を待つ間に他のコードが実行されること、try/catchでエラーハンドリングすることなど、基本的な挙動を正確に説明できるようにしておきましょう。面接で「このasync関数の実行順序を教えてください」というタイプの問題が出た場合、イベントループの仕組みを理解していないと正しく答えられません。
実は、イベントループの理解は多くのJavaScript面接で重要視されています。「console.logの出力順序を答えてください」という問題で、setTimeout、Promise、マイクロタスクとマクロタスクの実行順序を正しく理解しているかが試されます。JavaScript独自の実行モデルを理解していることは、シニアレベルのポジションでは特に重要な評価ポイントです。
頻出のアルゴリズム問題とJavaScriptでの実装
コーディング面接のアルゴリズム問題自体は言語に依存しませんが、JavaScriptならではの書き方やデータ構造の活用法を知っておくと、解答の効率が上がります。
文字列操作の問題はJavaScript面接でとくに多く出題されます。Pythonと同様に文字列がイミュータブルなため、文字列の一部を変更する場合はsplitで配列に変換してから操作し、joinで結合するというパターンが基本です。正規表現もJavaScriptでは強力な武器で、文字列のパターンマッチングやバリデーションの問題では正規表現を使ったシンプルな解法が好まれることがあります。
JavaScriptでハッシュマップを使う場合、通常のオブジェクトとMapの使い分けを理解しておくことが重要です。オブジェクトはキーが文字列に限定されますが、Mapは任意の型をキーにできます。また、Mapにはsizeプロパティやforof Loopでの反復処理など、ハッシュマップとしての使い勝手が良い機能が備わっています。面接でどちらを使うか迷ったときは、Mapを選んでおくのが安全な選択です。
Set も面接で役立つデータ構造です。配列の重複除去は、JavaScriptでは[...new Set(array)]の1行で実現でき、この書き方を知っているかどうかで印象が変わります。Setの存在チェックはO(1)なので、「配列の中に重複する要素があるか」という問題では、Setに要素を追加しながら既存要素との衝突を確認するアプローチが効率的です。
DOM操作とフロントエンド固有の問題
フロントエンドエンジニアのポジションでは、アルゴリズム問題に加えてDOM操作やブラウザAPIに関する問題が出ることがあります。これはJavaScript面接ならではの特徴で、他の言語の面接にはないカテゴリです。
デバウンスとスロットルの実装は、フロントエンド面接の超定番問題です。ユーザーの入力やスクロールイベントの発火頻度を制御するこれらの関数を、クロージャとsetTimeoutを使って一から実装できるかどうかが試されます。ライブラリに頼らずに自分で実装できることが重要で、それぞれの違い(デバウンスは最後のイベントから一定時間後に発火、スロットルは一定間隔で発火)を説明しながらコードを書けると高評価です。
イベントデリゲーションの仕組みも頻出です。イベントバブリングを利用して親要素でイベントを捕捉するパターンで、「リストの各項目にクリックイベントを効率的に設定する方法」として出題されます。各要素に個別にイベントリスナーを設定するのではなく、親要素にひとつだけリスナーを設定してevent.targetで判定する方法を説明できると、DOMの仕組みを深く理解していることが伝わります。
そういえば、近年のフロントエンド面接では、VanillaJSでのコンポーネント実装を求められることもあります。Reactのような仕組みをフレームワークなしで簡易的に再現するという課題で、仮想DOMの概念や状態管理の基本的なパターンを理解しているかが問われます。フレームワークの裏側で何が起きているかを理解しているエンジニアは、面接で高く評価される傾向にあります。
面接本番で気をつけたいJavaScriptの罠
JavaScriptには、面接中にうっかり踏んでしまいやすい罠がいくつかあります。これらを事前に把握しておくことで、本番でのミスを防げます。
等価演算子の使い分けは基本中の基本ですが、面接の緊張下ではつい==を使ってしまうことがあります。===(厳密等価)を常に使うべきで、==(抽象等価)は暗黙の型変換が発生するため予期しない結果を招きます。面接中に===を一貫して使っていれば、JavaScriptのベストプラクティスを理解していることが自然と伝わります。
変数宣言のlet、const、varの使い分けも見られるポイントです。varはホイスティングや関数スコープの挙動が直感的でないため、現代のJavaScriptではletとconstを使うのが標準です。面接では、再代入が不要な変数にはconstを使い、再代入が必要な場合のみletを使うという原則を守りましょう。すべてletで書いてしまうと「constとletの使い分けを意識していない」という印象を与えかねません。
配列のコピーに関する問題も注意が必要です。JavaScriptでは配列やオブジェクトは参照渡しのため、単純な代入では元のデータを変更してしまいます。面接中にスプレッド演算子([...arr])やArray.from()でシャローコピーを作る場面では、「ここでコピーを作らないと元の配列が変更されてしまうので」と一言添えると、意識の高さが伝わります。
まとめ
JavaScript限定のライブコーディング面接では、アルゴリズムの基本に加えて、JavaScript特有の言語仕様や概念の理解が問われます。クロージャ、this、非同期処理、プロトタイプチェーンといった基礎知識を正確に説明できること、配列メソッドやMap/Setを適切に使いこなせること、そしてDOM操作やブラウザAPIの問題にも対応できることが、高評価を得るための鍵です。
面接本番では、JavaScriptの罠に注意しながら、きれいで読みやすいコードを書くことを意識してください。constとletの適切な使い分け、厳密等価演算子の一貫した使用、モダンな構文の活用など、細かな部分の積み重ねがあなたのJavaScriptエンジニアとしての評価を左右します。