この記事のまとめ
- 24時間体制のIT企業では深夜・夜勤シフト勤務が増加しており、専門スキルを持つエンジニアの需要が高まっている
- 夜勤シフト勤務は生活リズムの管理が最重要課題となるが、手当による年収アップや集中しやすい環境などのメリットがある
- 夜勤エンジニアとして成功するには、睡眠科学に基づいた健康管理と、シフト勤務に適した企業文化の見極めが重要
エンジニアとして働く中で、夜勤やシフト勤務の求人を目にして気になったことはありませんか。実は近年、24時間体制でサービスを提供するIT企業が増加しており、深夜・夜勤シフトで働くエンジニアの需要が高まっています。
ところで、夜勤シフト勤務は本当に身体に悪いのでしょうか。確かに生活リズムの調整は必要ですが、実際には科学的なアプローチで健康管理を行えば、むしろ集中力の向上や年収アップといったメリットを享受できる働き方でもあります。
今回は、エンジニアが深夜・夜勤シフト勤務で健康とキャリアを両立する実践的な戦略をご紹介します。この記事を読めば、夜勤エンジニアとして理想的なキャリアを築く方法が分かるでしょう。
なぜ今、夜勤エンジニアの需要が急速に高まっているのか
現代のIT業界では、グローバル化とクラウドサービスの普及により、24時間体制でのシステム運用が当たり前になってきました。実は多くの人が気づいていませんが、あなたが普段何気なく使っているスマートフォンアプリやWebサービスの裏側では、深夜から早朝にかけても多くのエンジニアが働いています。
そういえば、近年のサイバー攻撃の多くが日本時間の深夜から早朝にかけて発生していることをご存知でしょうか。これは攻撃者が日本の監視体制が手薄になる時間帯を狙っているためです。このような脅威に対応するため、セキュリティエンジニアや運用エンジニアの夜勤体制は今や企業の生命線となっています。
特に金融機関、医療機関、物流業界では、システムの停止が直接的な損失や人命に関わるため、夜間も含めた継続的な監視・保守が欠かせません。こうした背景から、夜勤シフトで働くエンジニアは単なる「夜間要員」ではなく、企業の重要なインフラを支える専門職として高く評価されるようになっています。
24時間体制IT企業が求める夜勤エンジニアのスキル
24時間体制でサービスを運営するIT企業では、日中とは異なる特殊なスキルセットを持つエンジニアが重宝されています。深夜時間帯は少人数での対応となるため、一人あたりの責任範囲が広く、高度な問題解決能力と冷静な判断力が求められます。
夜勤エンジニアに特に求められるのは、システム障害時の迅速な原因特定能力です。日中のように多くの同僚に相談できない環境で、限られた情報から問題の本質を見抜く洞察力が必要となります。また、海外の開発チームや顧客とのコミュニケーションが発生することも多く、英語でのテクニカルコミュニケーション能力も重要な要素となっています。
ところで、夜勤エンジニアの業務は決して単調ではありません。システム監視だけでなく、深夜帯のメンテナンス作業、データベースの最適化、翌日の業務準備など、多岐にわたる責任を担っています。こうした幅広い経験は、技術者としての総合力を飛躍的に向上させる貴重な機会となります。
夜勤シフト勤務で年収が大幅アップする理由
夜勤シフト勤務の最大のメリットは、やはり経済的なリターンです。多くのIT企業では、夜勤手当として基本給の25%~50%の割増賃金が支給されます。これは労働基準法で定められた最低基準(25%)を上回る手厚い待遇を提供する企業が多いことを意味しています。
実際に計算してみると、年収400万円のエンジニアが週3日の夜勤シフトに移行した場合、年収が500万円を超えるケースも珍しくありません。さらに深夜手当に加えて、休日出勤手当や特別業務手当が加算される企業もあり、従来の日勤勤務では到達困難だった年収レンジに短期間で到達できる可能性があります。
ところで、金銭的なメリット以外にも注目すべき点があります。夜勤シフト勤務では、日中の時間を自由に使えるため、副業やスキルアップのための学習時間を確保しやすくなります。これにより、本業と並行して新しい技術を習得し、さらなるキャリアアップの基盤を築くことができるのです。
夜勤エンジニアのキャリアパスと将来性
夜勤シフト勤務は決して一時的な働き方ではありません。多くの企業では、夜勤エンジニアから昼間のシニアエンジニアやチームリーダー、さらには技術責任者へのキャリアパスが明確に設計されています。夜間の少人数体制で培った幅広い技術力と問題解決能力は、昼間の大規模プロジェクトでも高く評価されます。
特に注目すべきは、夜勤エンジニア経験者の多くが、将来的にフリーランスとして独立した際に高単価案件を獲得しやすいことです。24時間体制でのシステム運用経験は、多くの企業にとって貴重なスキルであり、時間単価で日勤エンジニアの1.5倍から2倍の報酬を得られるケースも見られます。
そういえば、最近では「夜勤専門エンジニア」として複数社と契約を結び、年収1000万円を超える収入を得ている技術者も増えています。これは夜勤業務の専門性と希少性が高く評価されている証拠といえるでしょう。
深夜・夜勤シフト勤務のエンジニアに求められる専門スキル
夜勤エンジニアとして成功するためには、日中の通常業務とは異なる専門的なスキルセットが必要となります。夜間の少人数体制では、一人あたりの責任範囲が幅広く、緊急時の対応力と技術的な深い理解が求められます。
実は夜勤エンジニアの業務内容は、各業界や企業の特性によって大きく異なります。ここでは、主要な4つの分野で夜勤エンジニアが担う役割と、それぞれに求められるスキルを詳しく解説します。これらの情報を理解することで、あなたに最適な夜勤エンジニアのキャリアパスが明確になるでしょう。
Webサービス・ ECサイトの24時間運用エンジニア
グローバルなWebサービスやECサイトでは、世界中のユーザーがいつでもアクセスするため、24時間365日の安定稿動が求められます。この分野で夜勤を担当するエンジニアは、特にピーク時のアクセス集中や緊急メンテナンスに対応する必要があります。
この分野では、サービスの停止が直接的な売上損失に繋がるため、夜勤エンジニアには非常に高い専門性と責任が求められます。その分、年収も高く設定されており、多くの企業で重要なポジションとして位置づけられています。主な職種とその責任は以下の通りです。
サイト信頼性エンジニア(SRE)
サイト信頼性エンジニア(Site Reliability Engineer)は、Webサービスの安定性とパフォーマンスを維持するスペシャリストです。夜勤シフトでは、システムの監視、アラート対応、緊急時の障害対応を担当します。特に海外ユーザーが多いサービスでは、日本の深夜が海外のピークタイムと重なるため、高い専門性と緊急時対応能力が求められます。
コードファーストアプローチでのインフラ管理、KubernetesやDockerを使ったコンテナ管理、以及びPrometheusやGrafanaを使ったモニタリングシステムの構築スキルが特に重要です。
フロントエンド・バックエンド緊急対応エンジニア
夜間の緊急メンテナンスや障害対応では、フロントエンドからバックエンドまでの幅広い知識を持つエンジニアが求められます。少人数体制での対応となるため、JavaScript、Python、Javaなど複数のプログラミング言語に精通し、データベースからCDN設定まで一連のシステムを理解していることが重要です。
このポジションの特徴は、夜間のメンテナンス時間を活用した新機能のデプロイやパフォーマンス最適化作業を並行して進めることです。これにより、日中の業務を停止することなく、システムの改善と安定運用を両立させることができるのです。
金融・銀行システムの24時間監視エンジニア
金融機関や銀行のシステムは、一分一秒の停止が巨額の損失や社会的信用の失墜に直結するため、24時間体制での厳格な監視が必要です。この分野で夜勤を担当するエンジニアは、極めて高いセキュリティ意識と金融法規に関する深い理解が求められます。
特に深夜帯は海外の取引所やヘッジファンドからのアクセスが集中する時間帯でもあり、国際金融市場の動向をリアルタイムで把握しながらシステムの安定性を維持する高度なスキルが必要です。そのため、この分野の夜勤エンジニアの年収は一般的なITエンジニアよりも高く設定されています。
セキュリティオペレーションセンター(SOC)アナリスト
セキュリティオペレーションセンター(SOC)のアナリストは、深夜から早朝にかけてのサイバー攻撃の監視と初期対応を担当します。サイバー攻撃の多くが日本の深夜時間帯に集中することから、この時間帯に勤務するセキュリティエンジニアの重要性は非常に高いと言えます。
このポジションでは、SIEMツールやインシデント対応プラットフォームの操作スキルに加え、攻撃手法のトレンドや脆弱性情報に関する幅広い知識が必要です。さらに、初期対応からエスカレーション判断まで、冷静で的確な判断能力が求められる責任重大な仕事です。
クラウドインフラストラクチャの24時間運用エンジニア
クラウドインフラストラクチャの管理では、AWS、Azure、Google Cloud Platformなどのサービスが24時間体制で稼働し、世界中のユーザーにサービスを提供しています。この分野の夜勤エンジニアは、主にインフラストラクチャのスケーリング、コスト最適化、および障害対応を担当します。
特に深夜帯は、日中のピークタイムで稼働したサーバーのスケールダウンや、翌日の業務準備のためのバッチ処理実行など、コスト効率とパフォーマンスを両立させる重要な作業が集中します。このような作業を通じて、インフラエンジニアとしての幅広い経験と知識を積むことができます。
クラウドインフラストラクチャエンジニア
クラウドインフラストラクチャエンジニアは、クラウドサービスの設計、構築、および管理を担当します。夜勤シフトでは、システムの安定性監視、コスト最適化のためのリソース調整、およびバックアップ・リストア処理などの重要な作業を実行します。Infrastructure as Code(IaC)やコンテナ技術に精通し、Terraform、Ansible、Kubernetesなどのツールを使いこなすスキルが必要です。
DevOpsエンジニア
DevOpsエンジニアは、開発チームと運用チームの橋渡し役として、継続的インテグレーションと継続的デプロイメント(CI/CD)の構築と管理を担当します。夜勤シフトでは、日中に開発された新機能の本番環境へのデプロイ、パフォーマンステスト、およびシステムの最適化作業を実行します。Git、Jenkins、Docker、Kubernetesなどのツール群に精通し、システムの安定性と開発速度を両立させるスキルが求められます。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは、営業をサポートして製品・サービスの販売を促進する仕事です。自社の製品を活用できるよう、情報提供や実演を行うこともあります。知識・スキル面から営業をフォローし、クライアントの満足度を上げるのが役割です。クライアントの疑問に答えるため、技術面の深い知識に加え、分かりやすく伝える能力も求められます。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ITシステムの利用における技術的な問題に対応する問い合わせ窓口です。「操作の仕方が分からない」「動かなくなった」などの問い合わせに対し、電話やメール、チャットなどを使って解決に導きます。問い合わせの一次対応をするヘルプデスクよりも高度な知識が求められる職種です。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、システム開発などのプロジェクト全体の進行を管理する職種です。具体的には、計画立案や予算管理、リソースや工程の管理、さらにはステークホルダーとのコミュニケーションも業務内容に含まれます。いわば、プロジェクトを成功へ導く重要な役割を担うといえます。
ソフトウェア業界
パソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラム(ソフトウェア)を制作するのがソフトウェア業界です。主な職種には以下のようなものがあります。
プログラマー
プログラマーは、決められた仕様書に基づいて実際にプログラミングを行う仕事です。作成したシステムを確認し、バグを発見・解消する業務もプログラマーが担当します。開発するジャンルにより、必要なプログラミング言語は異なります。ひとつの言語を使いこなせるようになると、ほかの言語も比較的楽に習得できるようになるでしょう。こうしてスキルアップすることにより、仕事の幅を広げていけます。
関連記事 IT・エンジニアの職種図鑑|プログラマー
システムエンジニア(SE)
システムエンジニアはプログラマーの上流にあたる仕事です。クライアントの要望に基づき、システム全体の設計を決め、仕様書に落とし込んでいきます。システム開発をするうえで必要な予算やスケジュールを組む役割も求められます。プログラマーとして現場経験を積んだ後、キャリアアップの一環でシステムエンジニアを目指す方も少なくありません。
ネットワークエンジニア
ネットワークエンジニアは、システムが利用できるようにネットワーク環境を整えるのが仕事です。ルーターやLANケーブルなど、物理的な機器に触れて行う仕事が多いのが特徴です。セキュリティーに関する知識も求められます。
テクニカルライター
テクニカルライターは、家電やソフトウェアなどのマニュアルを作成する専門職です。技術的な情報を一般のユーザーにも分かりやすく伝える役割を担います。ユーザーからの問い合わせ内容を改訂版に反映させ、より良いマニュアルに仕上げることもテクニカルライターとしての重要な役割です。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
ハードウェア業界
ハードウェア業界は、パソコン本体やキーボード、マウス、モニター、プリンター、スマートフォン、タブレット、ゲーム機などの製作・販売を行っています。主な職種には以下のようなものがあります。
ハードウェアエンジニア
ハードウェアエンジニアは、コンピューター内部で使われる電子回路や部品を設計します。パソコンやスマートフォンなど自社商品に加え、クライアントの要望に合わせてオリジナルの機器を開発することもあります。電子回路やデバイスに関する知識だけでなく、使用者の安全面に配慮した設計が求められる仕事です。
組み込みシステムエンジニア
組み込みシステムエンジニアは、エアコン・炊飯器などの家電製品や工業機器が動作するためのシステムを開発する仕事です。コンピューターが内蔵されているほとんどの製品には、組み込みソフトウェアが搭載されています。スマート家電やIoT(モノのインターネット)の広がりに伴い、需要はますます高まっています。
関連記事 IT業界の転職知識まとめ
IT業界の年収は職種によって大きく異なる
マイナビエージェントのデータによると、IT業界全体の平均年収は427万円です。ただし職種や経験によって、年収は大きく異なります。ここでは、IT業界の中で平均年収の高い業種をいくつか紹介します。
職種名 | 平均年収 |
---|---|
プロジェクトマネージャー(オープン・WEB) | 670万円 |
プリセールス | 599万円 |
社内システム企画 | 512万円 |
サーバーエンジニア | 462万円 |
システムエンジニア(制御・組み込み) | 455万円 |
またマイナビエージェントのデータを基に、IT業界の年代別年収を紹介します。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20歳~24歳 | 307万円 |
25歳~29歳 | 373万円 |
30歳~34歳 | 449万円 |
35歳~39歳 | 528万円 |
IT業界は未経験から挑戦する場合でも、年収の高い職種や企業を選択してスキルや実績を着実に積み上げていけば、大幅な年収アップが実現可能です。
参照:職種別平均年収ランキング【2020年版】|マイナビエージェント
未経験から転職しやすいIT業界の職種4選
IT業界の仕事には専門的な知識やスキルが求められますが、高まる需要に対応するため未経験採用も行われています。とはいえ、高度な専門知識が求められる職種にすぐにチャレンジできるわけではありません。転職準備として知識やスキルを身につけたり、入社後に研修を受けたりしてスキルレベルを高めていくことが必要です。ここでは、未経験からチャレンジしやすいIT職種を紹介します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
関連記事 IT未経験者必見!IT業界へ転職する際の志望動機は?おすすめ文例もご紹介 未経験からITエンジニアになるには?目指す方法や向いている人の特徴について解説
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
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まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。