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コーディング試験後のコードレビュー対策 - 自分のコードを説明する技術

コーディング試験が終わって「やっと終わった」と安心した直後、面接官から「では、このコードについて説明してください」と言われて動揺した経験はありませんか。実は、多くの企業のコーディング試験では、コードを書いた後にそのコードについてのレビューセッションが設けられています。ここでの受け答えが、合否を決定づけることも珍しくありません。

コーディング試験でコードを書くスキルと、そのコードを人に説明するスキルは、まったく別の能力です。優れたコードを書けても、設計の意図や選択の理由を論理的に説明できなければ、面接官は「自分が何をしているかを本当に理解しているのか」と疑問を持ちます。この記事では、コーディング試験後のコードレビューで高評価を勝ち取るための具体的なテクニックと準備法を解説していきます。

なぜコーディング試験後にコードレビューが行われるのか

コーディング試験後のコードレビューが実施される理由は、コードだけでは候補者の真の実力を測りきれないからです。同じ正解コードでも、その背景にある理解の深さは候補者によって大きく異なります。パターンを暗記して機械的に適用した人と、問題の本質を理解した上で最適な解法を選んだ人とでは、コードは同じでも思考の質がまったく違うのです。コードレビューは、その違いを見極めるための重要なプロセスです。

ところで、コードレビューセッションは面接官にとって候補者の「一緒に働きやすさ」を評価する機会でもあります。プロダクション環境では、プルリクエストのレビューで自分のコードについて質問を受け、設計意図を説明する場面が日常的に発生します。面接でのコードレビューはそのシミュレーションであり、候補者がチームの一員として建設的なコミュニケーションが取れるかどうかを確認しているのです。

コードレビューが行われる形式にはいくつかのパターンがあります。コーディング試験の直後に同じ面接官がレビューを行うケースもあれば、別の面接官がコードを見てから質問するケースもあります。テイクホーム課題の場合は、後日のオンサイト面接でコードレビューが行われることが一般的です。どの形式であっても、自分のコードについて明確に説明できる準備が必要です。

コードの設計意図を効果的に説明するフレームワーク

コードレビューで最も重要なのは、自分のコードの設計意図を論理的かつ簡潔に説明することです。しかし、何の準備もなく即興で説明しようとすると、話が散漫になったり重要なポイントを伝えそびれたりしがちです。そこで、コード説明のための構造化されたフレームワークを持っておくことが有効です。

効果的な説明の基本構造は「問題の理解」「アプローチの選択理由」「実装の詳細」「計算量の分析」の四段階です。まず問題をどのように理解したかを簡潔に述べ、複数あり得るアプローチの中からなぜこの方法を選んだかを説明します。その上で、コードの主要な部分をウォークスルーし、最後に時間計算量と空間計算量を提示します。この四段階を意識するだけで、説明の質が格段に向上します。

実は、このフレームワークで最も差がつくのが「アプローチの選択理由」の部分です。「このアプローチがなぜ最適なのか」を説明するためには、他のアプローチとの比較が欠かせません。「ブルートフォースなら O(n^2) になりますが、ハッシュマップを使うことで O(n) に改善できるため、このアプローチを採用しました」のように、代替案との比較を交えた説明ができると、面接官はあなたの分析力の高さを感じ取ります。

トップダウンで全体像から説明する

コードの説明で多くの候補者が犯すミスが、1行目から順番にコードを読み上げてしまうことです。面接官が知りたいのは「各行が何をしているか」ではなく「全体としてどういう設計になっているか」です。木を見て森を見ない説明は、聞いている側にとって非常に理解しにくいのです。

トップダウンの説明とは、まず全体のアーキテクチャやアルゴリズムの概要を伝え、その後に各部分の詳細に降りていくスタイルです。「このコードは大きく三つの部分に分かれています。入力の前処理、メインのアルゴリズム実行、そして結果のフォーマットです」のように、全体像を先に示すことで、面接官はコードの構造を頭の中に描きやすくなります。

そういえば、このトップダウンの説明スタイルは、実際のプルリクエストの説明文の書き方とも共通しています。プルリクエストの説明でも、「このPRはユーザー検索機能のパフォーマンスを改善します。具体的にはクエリのインデックス追加とキャッシュ導入の二つの変更を含んでいます」のように概要から始めるのが良い習慣です。面接でこのスタイルを自然に使えると、実務でのコミュニケーション力の高さをアピールできます。

トレードオフの説明で技術的な深さを見せる

面接官が最も感心するのは、候補者がトレードオフを意識して設計判断を行っていることがわかったときです。すべての設計判断にはトレードオフが存在し、どちらか一方が絶対的に優れているということは稀です。時間計算量を改善するために空間計算量を犠牲にした、コードの可読性を優先して微細な最適化は見送った、といった判断の背景を説明できると、エンジニアリングの本質を理解していることが伝わります。

たとえば、メモ化を使った解法を選んだ場合、「再帰的なアプローチでは O(2^n) の計算量になりますが、メモ化によって O(n) に改善しています。その代わり、O(n) の追加メモリが必要になりますが、入力サイズの制約を考慮するとこのトレードオフは許容範囲です」のように、得るものと失うものの両方を明示的に述べましょう。

ところで、トレードオフの説明は「正解を示す」ためではなく「思考の深さを示す」ためのものです。面接官は別のトレードオフを指摘して「もし入力サイズが非常に大きい場合はどうしますか」と追加質問をしてくることがあります。こうした質問は攻撃ではなく興味の表れなので、柔軟に議論を楽しむ姿勢で臨みましょう。

改善点を自ら提示するテクニック

コードレビューで高い評価を得るための強力なテクニックが、面接官に指摘される前に自分から改善点を提示することです。完璧なコードを書くことは難しいですし、制限時間内で書いたコードには必ず改善の余地があります。その改善点を自覚していることを示すことで、品質への意識の高さとプロフェッショナルとしての成熟度をアピールできます。

改善点の提示は具体的であるほど効果的です。「もう少し良くできると思います」のような曖昧な表現ではなく、「この関数は二つの責務を持っているので、時間があればバリデーション部分を別の関数に切り出したいです」のように、何をどう改善するかを明確に述べましょう。面接官はこの一言で、あなたが単一責任の原則を理解しており、リファクタリングの視点を持っていることを読み取ります。

実は、改善点の提示にはタイミングも重要です。コードの説明を一通り終えた後、面接官が質問を始める前に「もし時間があれば改善したい点がいくつかあります」と切り出すのが自然な流れです。面接官が先に弱点を指摘してしまうと、あなたが自発的に気づいたのか指摘されて気づいたのかの区別がつかなくなるため、先手を打つことが重要なのです。

よく指摘される改善ポイントへの備え

コードレビューで面接官が指摘しやすいポイントはある程度パターン化されています。これらのポイントについて事前に準備しておくと、指摘された際にも慌てずに対応できます。計算量のさらなる最適化の可能性、エッジケースの処理漏れ、コードの可読性に関する改善、エラーハンドリングの不足、テストの観点からの改善、この5つは特に頻出する指摘事項です。

計算量に関しては「この部分はソートを使っているので O(n log n) ですが、ヒープを使えば上位k個の要素だけを追跡できるので O(n log k) に改善できます」のように、さらなる最適化の方向性を述べられると非常に好印象です。完全な実装がなくても、改善の方向性を示せるだけで十分です。

エッジケースについては「空の入力、単一要素の入力、重複要素を含む入力については処理していますが、整数のオーバーフローについてはまだ対処できていません」のように、対処済みの項目と未対処の項目を明確に分けて説明するとよいでしょう。自分のコードの弱点を正確に把握していることは、デバッグ能力の高さの証明にもなります。

質疑応答で高評価を得るための心構え

コードレビューの質疑応答パートは、面接官との技術的な対話の場です。ここでの振る舞い方が合否を左右することも多いため、心構えを整えておくことが大切です。最も重要なのは、質問を「攻撃」ではなく「探求」として捉えることです。面接官は候補者を落としたいのではなく、候補者の理解の深さを確かめたいだけなのです。

質問に答える際は、結論から述べるCREC(結論・理由・例・結論)の構造を意識しましょう。「なぜこのデータ構造を選んだのですか」と聞かれたら、「検索を O(1) で行いたかったからです。この問題では頻繁に要素の存在確認が必要で、配列での線形探索では計算量が悪化するため、ハッシュセットを選びました」のように、理由を先に述べてから補足を加えます。

ところで、質問の意図がわからない場合は、推測で答えるよりも確認する方が賢明です。「ご質問は計算量の観点からのことでしょうか、それともコードの可読性の観点からでしょうか」のように、質問の焦点を確認することで、的外れな回答を避けられます。面接官は質問の意図を汲み取ろうとする姿勢を好意的に受け止めます。

答えがわからない質問への対処法

コードレビューの質疑応答で、答えがわからない質問をされることは珍しいことではありません。面接官が意図的に候補者の知識の境界線を探るために、やや高度な質問を投げかけることもあります。こうした場面での対処法を事前に準備しておくと、平常心を保てます。

答えがわからない場合に最も誠実で効果的な対応は、知っていることと知らないことの境界を明確に示すことです。「その最適化手法については詳しくないのですが、現在の実装のボトルネックがこの部分にあることは認識しています。メモリアクセスのローカリティを改善する方向で考えられるかもしれません」のように、不明な部分は正直に認めつつ、関連する知識を活用して推論する姿勢を見せましょう。

実は、面接官が高度な質問を投げかけたとき、最悪の対応は適当な答えをでっち上げることです。面接官は専門家ですから、不正確な答えはすぐに見破られます。それよりも、「その点については勉強不足です。面接後に調べてみたいと思います」と率直に答えた方が、誠実さと学習意欲が伝わります。知らないことがあること自体はマイナスではなく、知らないことへの向き合い方が評価されるのです。

テイクホーム課題のコードレビューで意識すべきこと

テイクホーム課題(自宅で取り組む課題)の場合、コーディング試験とは異なり、十分な時間をかけてコードを書いた後にレビューが行われます。そのため、面接官の期待値も当然高くなります。時間制約のあるライブコーディングとは異なり、テイクホーム課題では「プロダクションレベルのコード品質」が求められるのです。

テイクホーム課題のコードレビューで面接官が重視するのは、コードの構造設計、テストの網羅性、エラーハンドリングの丁寧さ、README や設計ドキュメントの質といった、より実務に近い観点です。アルゴリズムの効率性も当然見られますが、それ以上にコードベースとしての成熟度が問われます。適切にディレクトリが構成されているか、意味のあるコミットメッセージが書かれているか、といった細部まで評価の対象になります。

そういえば、テイクホーム課題のレビューで意外と差がつくのが「やらなかったことの説明」です。提出したコードには含まれていないけれど、もし時間があれば追加したかった機能やテスト、最適化のアイデアを整理してREADME に書いておくと、技術的な判断力と優先順位付けの能力をアピールできます。面接官は「限られた時間で何を優先したか」を見ることで、候補者の実務での判断力を推し量っているのです。

テイクホーム課題特有の質問パターン

テイクホーム課題のコードレビューでは、ライブコーディングとは異なる種類の質問が多くなります。「なぜこのフレームワークを選んだのですか」「このアーキテクチャを選んだ理由は何ですか」「スケールする場合にどこがボトルネックになりますか」のように、設計判断やアーキテクチャに踏み込んだ質問が中心です。

こうした質問に対応するためには、自分が行ったすべての技術選定について「なぜその選択をしたのか」を明確に説明できるように準備しておく必要があります。データベースの選定、APIの設計方針、認証の方法、キャッシュ戦略など、すべての判断に理由があるべきです。「なんとなく」や「いつも使っているから」では面接官を納得させることはできません。

実は、テイクホーム課題のレビューで面接官が最も聞きたい質問のひとつが「もう一度やるなら何を変えますか」です。この質問は候補者の内省力と成長志向を測るものです。「入力バリデーションをもっと厳格にする」「テストのカバレッジを上げる」「データ構造の選択を見直す」のように、具体的かつ建設的な回答を用意しておきましょう。

コードレビュー対策としての日常的な練習法

コードレビューで的確に受け答えするスキルは、面接直前に付け焼き刃で身につくものではありません。日頃からコードについて言語化する習慣を持つことが、最も効果的な対策になります。ここでは、日常の開発業務やアルゴリズム練習に取り入れられる練習法を紹介します。

最も手軽な練習法は、LeetCodeで問題を解いた後に、自分の解法を声に出して説明する「セルフレビュー」の習慣です。誰もいない場所で、面接官がいると想定して「この問題に対して、私はスライディングウィンドウのアプローチを選びました。理由は...」と説明します。最初は恥ずかしく感じるかもしれませんが、この練習を続けると、面接本番でも自然に説明できるようになります。

ところで、最も効果的な練習法は、実際に他の人にコードを説明する機会を作ることです。勉強会やペアプログラミングの場で自分のコードを説明したり、友人に問題の解法を教えたりする経験は、コードレビュー対策として非常に価値があります。説明を受けた側からの質問やフィードバックは、自分では気づかなかった視点を提供してくれます。「なぜそうしたの」という素朴な質問に答えることが、面接での質疑応答の最良のトレーニングなのです。

コードレビュー文化のある企業での準備

コードレビューを重視する企業に応募する場合は、その企業のエンジニアリングブログや技術カンファレンスでの発表を事前に調べておくと有利です。企業ごとにコード品質に対する価値観や優先事項は異なるため、志望先の文化を理解した上でレビューに臨むことが重要です。

たとえば、テストカバレッジを重視する企業であれば、自分のコードにテストを追加した理由やテスト戦略について詳しく説明できるようにしておくべきです。パフォーマンスを重視する企業であれば、ベンチマークやプロファイリングの結果について語れると好印象です。こうした企業研究は、面接全般の準備としても有効ですが、コードレビューセッションでは特にその効果が表れます。

実は、GitHubのオープンソースプロジェクトでプルリクエストのレビューコメントを読むことも、コードレビュー対策として有効です。経験豊富な開発者がどのような観点でコードをレビューしているかを知ることで、面接官の思考パターンを理解できるようになります。自分でもオープンソースプロジェクトにプルリクエストを出してレビューを受ける経験を積めば、面接でのコードレビューに対する耐性が自然と身につくでしょう。

まとめ

コーディング試験後のコードレビューは、技術力だけでなくコミュニケーション能力と自己認識力が試される重要な選考ステップです。効果的な説明には「問題の理解」「アプローチの選択理由」「実装の詳細」「計算量の分析」の四段階フレームワークを活用し、トップダウンで全体像から伝えることが大切です。

自分から改善点を提示する先手のアプローチと、質問に対して誠実かつ論理的に答える姿勢が、面接官からの高評価につながります。日頃からコードを言語化する習慣を持ち、他の人にコードを説明する機会を積極的に作ることが、コードレビュー対策として最も効果的な練習法です。コードを書く力と説明する力の両方を磨くことで、コーディング試験全体の評価を大きく引き上げることができるでしょう。

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