ホーム > リモートワークで差がつく入力効率化テクニック

リモートワークで差がつく入力効率化テクニック

この記事のまとめ

  • テキストエキスパンダーやクリップボードマネージャーを活用するだけで、日々の入力作業は大幅に効率化できる
  • リモートワークならではのチャット文化に対応した定型文管理とAIツール活用が生産性の鍵
  • デスク環境の最適化は入力効率だけでなく、身体の健康と長期的な生産性を支える土台になる

リモートワークが当たり前になった今、エンジニアの働き方は大きく変わりました。通勤時間がゼロになった分、仕事に使える時間は増えたはずなのに、なぜか生産性が上がった実感がない。そんな声を聞くことが少なくありません。

実は、リモートワークでは対面のオフィスワークとは異なる種類の「入力作業」が大幅に増えているのです。Slackやteamsでのチャットコミュニケーション、ドキュメントの作成、プルリクエストのレビューコメント。コードを書く時間以外にも、テキスト入力を求められる場面がオフィス勤務のときよりもずっと多くなっています。この記事では、リモートワーク環境ならではの入力効率化テクニックを、すぐに実践できる具体的な方法とともに紹介します。

テキストエキスパンダーで繰り返し入力をゼロにする

リモートワークで最も手軽かつ効果の高い効率化が、テキストエキスパンダーの導入です。テキストエキスパンダーとは、あらかじめ登録した短い文字列(スニペット)を入力すると、それが自動的に長い文章やテンプレートに展開されるツールのことです。たとえば「;mtg」と入力するだけで、ミーティング議事録のテンプレートが丸ごと展開されるといった使い方ができます。

TextExpanderの活用法

TextExpanderは商用のテキストエキスパンダーとして最も知名度が高いツールです。macOS、Windows、iOS、Androidに対応しており、チームでスニペットを共有する機能も備えています。月額制のサブスクリプションモデルで提供されており、個人利用でも十分に元が取れるほどの時短効果を発揮してくれます。

TextExpanderの真骨頂は、単純なテキスト展開にとどまらない高度な機能にあります。日付の自動挿入、クリップボードの内容を埋め込んだテンプレート、入力フォーム付きのスニペットなど、柔軟なカスタマイズが可能です。たとえば、プルリクエストのテンプレートを作成する際に「変更の概要」「テスト方法」「影響範囲」などの入力フォームを設定しておけば、毎回同じ品質のPR説明文を素早く作成できます。

そういえば、TextExpanderの統計機能で「今月何文字分の入力を節約できたか」を確認できるのも面白い点です。導入初月で数千文字分の節約を実感できるはずで、その数字を見るとさらにスニペットを充実させたくなるという好循環が生まれます。チーム全体で導入すれば、コミュニケーションの定型部分が統一され、品質とスピードの両方が向上します。

Espansoでオープンソースの効率化

有料ツールに抵抗がある方には、オープンソースのテキストエキスパンダーであるEspansoがおすすめです。Rust言語で開発されたEspansoは、クロスプラットフォーム対応で動作も軽快です。設定ファイルはYAML形式で記述するため、エンジニアにとっては直感的に扱えるでしょう。

Espansoの設定はシンプルなYAMLファイルで管理できるため、dotfilesの一部としてGitで管理することも可能です。自宅のメインマシンと持ち運び用のノートパソコンで同じスニペットを使いたい場合も、Gitリポジトリを同期するだけで設定を共有できます。エンジニアらしいワークフローで効率化ツールを管理できるのは大きな魅力です。

ところで、Espansoには正規表現を使ったマッチングや、シェルコマンドの実行結果を展開する機能もあります。「;today」と打つと今日の日付がYYYY-MM-DD形式で挿入されたり、「;gitbr」と打つと現在のGitブランチ名が挿入されたりといった、開発作業に特化した使い方が可能です。この柔軟さは有料ツールにも引けを取りません。

エンジニアが登録すべきスニペット例

テキストエキスパンダーを導入したら、どんなスニペットを登録すればよいのでしょうか。エンジニアのリモートワークで特に役立つスニペットには、日常のチャットで使う挨拶や定型表現、コードレビューのコメントテンプレート、Git関連のコマンド、ミーティングのアジェンダテンプレートなどがあります。

Slackで毎朝送る「おはようございます。本日の予定は...」という日報のテンプレート、プルリクエストの承認時に添える「LGTM。以下の点が特に良かったです:」というコメント、ミーティング招集時の「以下の議題でミーティングを設定しました。参加可否をお知らせください。」といった文面。こうした定型文をスニペット化するだけで、一日あたり数十分の時間を節約できます。

実は、スニペットの管理で大切なのは「短縮キーの命名規則を統一すること」です。たとえばセミコロンで始まるものはテンプレート系(;pr、;mtg、;daily)、コロンで始まるものは挨拶系(:ohayo、:otsu)、スラッシュで始まるものはコード系(/log、/todo)というように、カテゴリごとにプレフィックスを決めておくと、スニペットが増えても混乱しません。

クリップボードマネージャーで情報の再利用を加速する

リモートワークでは、ブラウザのURL、チャットのメッセージ、コードの一部、エラーメッセージなど、さまざまなテキストをコピーして他の場所に貼り付ける作業が頻繁に発生します。標準のクリップボードは直前にコピーした内容しか保持しないため、過去にコピーした内容をもう一度使いたいときには、元の場所に戻ってコピーし直す必要があります。クリップボードマネージャーを導入すれば、この非効率を一掃できます。

おすすめのクリップボードマネージャー

macOSユーザーに圧倒的な人気を誇るのがAlfredに内蔵されたクリップボード履歴機能です。Alfredは本来ランチャーアプリですが、Powerpuckライセンスを購入するとクリップボード履歴を含む高度な機能が使えるようになります。過去にコピーした数百件のテキスト、画像、ファイルを検索可能な形で保持してくれるため、「さっきコピーしたあのURLはどこだっけ」と探す手間がなくなります。

Windowsユーザーなら、OS標準のクリップボード履歴機能(Windows+Vで呼び出し)がまず試すべき機能です。追加のインストールなしで25件分のクリップボード履歴を利用でき、ピン留め機能で頻繁に使う項目を固定することもできます。より高度な機能が必要であれば、Ditto Clipboard Managerというオープンソースのツールが充実した検索機能と暗号化機能を備えています。

そういえば、クリップボードマネージャーを導入する際に注意したいのが、機密情報の取り扱いです。パスワードやAPIキーなど、クリップボード履歴に残したくない情報もあるでしょう。多くのクリップボードマネージャーには特定のアプリケーション(パスワードマネージャーなど)からのコピーを履歴に残さない除外設定があるので、セキュリティのためにも初期設定を確認しておくことをおすすめします。

クリップボードを活用したワークフロー

クリップボードマネージャーは「過去にコピーしたものを貼り付けられる」という基本機能だけでも便利ですが、ワークフローに組み込むことでさらに威力を発揮します。たとえば、コードレビューを行う際に気になった箇所を次々とクリップボードにコピーしておき、レビューコメントを書くときにまとめて参照するといった使い方が可能です。

チャットでのコミュニケーションでも、過去のやり取りで共有したURLやコマンドをクリップボード履歴から素早く呼び出せるのは大きなメリットです。「あのときSlackで共有したAWSのドキュメントURL、もう一度送ってもらえる?」と聞かれたとき、チャット履歴を遡るよりもクリップボード履歴を検索するほうがずっと速いケースがあります。

日常的に使うコマンドやURLをクリップボードマネージャーのお気に入りに登録しておくのも効果的です。開発環境のURL、よく使うcurlコマンド、データベースの接続文字列など、記憶に頼ると間違えやすい文字列を安全に管理できます。テキストエキスパンダーとクリップボードマネージャーを併用することで、入力効率は相乗的に向上するのです。

辞書登録とIME設定の最適化

テキストエキスパンダーほど高機能ではありませんが、OSに標準で搭載されている辞書登録機能も見逃せない効率化ツールです。特別なソフトウェアをインストールすることなく、今すぐ始められるのが最大のメリットです。

よく使う技術用語の辞書登録

エンジニアが日常的に使う技術用語には、変換しにくいものが数多くあります。「デプロイ」「リファクタリング」「マイグレーション」「アーキテクチャ」といったカタカナ語は、IMEの予測変換に出てくるまでに何文字か入力する必要があり、地味に時間を奪います。これらをよみがな付きで辞書登録しておけば、最小限の入力で変換候補のトップに表示されるようになります。

ところで、辞書登録で特に効果が高いのは、自分のメールアドレスや会社のドメイン名です。「めーる」と入力するだけで自分のメールアドレスが変換候補に出るようにしておけば、フォームの入力やアカウント登録の場面で大幅な時短になります。住所や電話番号なども同様に登録しておくと、日常のさまざまな場面で恩恵を受けられます。

プログラミング関連では、長いクラス名やパッケージ名を辞書登録するエンジニアもいます。たとえばJavaの開発者が「AbstractAuthenticationProcessingFilter」のような長いクラス名を頻繁にチャットで言及する場合、「aapf」で変換できるようにしておくと便利です。ただし、コーディング中はIDEの補完機能を使うべきなので、辞書登録はあくまでチャットやドキュメント作成の場面で活用しましょう。

IME設定のチューニング

日本語入力のIME設定を見直すだけでも、入力効率は改善できます。macOSの標準IMEやGoogle日本語入力には、多くの人が知らない便利な設定が隠れています。ライブ変換の有効化/無効化、予測変換の候補数、句読点のスタイル(、。か,.か)など、自分の好みに合わせて最適化しましょう。

実は、Google日本語入力にはユーザー辞書のインポート/エクスポート機能があり、設定をテキストファイルで管理できます。このファイルをGitリポジトリで管理しておけば、新しいパソコンをセットアップするときにも辞書登録をゼロからやり直す必要がありません。開発環境のdotfiles管理と同じ発想で、IMEの設定も管理するのがエンジニア流の効率化です。

変換精度に不満がある場合は、IMEの切り替えも検討してみてください。macOSの標準IME、Google日本語入力、ATOK(有料)はそれぞれ変換エンジンの特性が異なります。ATOKは技術文書での変換精度が特に高いと評判で、エンジニア向けの辞書も充実しています。月額300円程度の投資で日本語入力のストレスが軽減されるなら、十分に検討に値するでしょう。

Slackやチャットでの効率的なコミュニケーション

リモートワークにおけるコミュニケーションの中心は、SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールです。一日に何百回とメッセージを送受信するエンジニアにとって、チャットでの入力効率はそのまま仕事全体の生産性に直結します。

Slackの入力効率を上げる設定とテクニック

Slackにはあまり知られていないキーボードショートカットが数多く存在します。Ctrl+Kでチャンネルやユーザーを検索、Ctrl+Shift+Kでダイレクトメッセージ一覧を開く、上矢印キーで直前のメッセージを編集。これらのショートカットを覚えるだけで、マウスに手を伸ばす回数が大幅に減ります。

Slackのカスタム絵文字リアクションも、入力効率の面で侮れない機能です。「承知しました」「確認します」「完了しました」といったステータスをリアクションで表現すれば、わざわざメッセージを打つ必要がなくなります。チームで「:shiranakatta:(承知しました)」「:kakunin:(確認中)」のようなカスタム絵文字を作っておくと、ワンクリックで応答できて便利です。

そういえば、Slackのワークフロービルダーを活用すると、定型的なコミュニケーションを自動化できます。毎朝の日報テンプレートの送信、週報の収集、休暇連絡のフォーマットなど、繰り返し発生するコミュニケーションをワークフローとして定義しておけば、毎回同じ文面を手で打つ無駄がなくなります。設定にはノーコードのUIが用意されており、プログラミングなしで構築できるのも嬉しいポイントです。

AIツールを活用した文章作成の効率化

ChatGPTやClaudeのようなAIチャットツールを、文章作成のアシスタントとして活用するエンジニアが増えています。長文のドキュメント作成、技術的な説明文の執筆、英語でのコミュニケーションなど、ゼロから文章を組み立てる場面でAIの下書きを土台にすると、執筆時間を大幅に短縮できます。

特に英語でのコミュニケーションが必要な場面では、AIの活用効果は絶大です。海外のチームメンバーへのメッセージ、英語でのイシュー報告、英語ドキュメントの作成。日本語で要点を伝えてAIに英文を生成してもらい、それをチェックして送信するワークフローは、英語に自信がないエンジニアの生産性を飛躍的に向上させます。

ところで、AIを文章作成に活用する際に注意したいのが、機密情報の取り扱いです。社内のプロジェクト名、顧客情報、未公開の機能の詳細などを外部のAIサービスに入力してしまうと、情報漏洩のリスクがあります。AIに渡す前に機密情報を伏せるか、会社が承認したAIツールのみを使用するようにしましょう。多くの企業がAIツールの利用ポリシーを策定し始めているので、所属する組織のルールを確認しておくことが大切です。

デスク環境の最適化が入力効率の土台を作る

入力効率化というとソフトウェアの設定やツールに目が向きがちですが、リモートワークでは物理的なデスク環境の最適化も同じくらい重要です。オフィスでは会社が用意した環境で作業しますが、自宅では自分で環境を作る必要があるため、ここに差がつきやすいのです。

モニターとデスクの配置

外部モニターの導入は、リモートワークの生産性を最も劇的に改善する投資のひとつです。ノートパソコンの13インチや15インチの画面だけで作業している場合、27インチ以上の外部モニターを1台追加するだけで、コーディングとドキュメントの同時表示、チャットの常時表示など、作業の幅が大きく広がります。デュアルモニター環境ならさらに効率的で、片方の画面でコードを書きながらもう片方でブラウザやターミナルを開いておけます。

モニターの高さと角度も入力効率に影響する要素です。画面が低すぎると首が前に倒れ、長時間の作業で肩こりや首の痛みを引き起こします。モニターの上端が目線の高さに来るように調整し、画面との距離は50〜70cm程度を保つのが理想的です。モニターアームを使えば高さと角度を自在に調整できるので、デスクのスペース確保と健康維持の両面で有効です。

実は、デスクの奥行きも見落としがちなポイントです。奥行きが浅いデスクだとキーボードとモニターの距離が近くなりすぎ、目の疲れの原因になります。最低でも60cm、理想的には70cm以上の奥行きがあるデスクを選びましょう。スタンディングデスクの導入も検討に値します。座り仕事の合間に立って作業することで血行が改善され、午後の眠気対策にもなります。

キーボードとマウスの選定

リモートワークでは一日の大半を自宅のキーボードで過ごすことになるため、キーボードの品質は生産性に直結します。会社支給のキーボードがしっくりこないなら、自分に合ったキーボードを自費で購入することも十分に合理的な投資です。メカニカルキーボードや静電容量無接点方式のキーボードは、快適な打鍵感で長時間のタイピングをサポートしてくれます。

マウスやトラックパッドの選択も侮れません。プログラミングではキーボードが主役ですが、ブラウザの操作、ファイルの管理、デザインのレビューなど、マウスを使う場面も意外と多いものです。エルゴノミクスマウスやトラックボールマウスを導入することで手首への負担を軽減でき、腱鞘炎の予防にもつながります。Logicool MX Master 3のような高機能マウスは、カスタマイズ可能なボタンとスムーズなスクロールで作業効率を向上させてくれます。

そういえば、リモートワークで忘れがちなのが椅子の品質です。安価な椅子で一日8時間以上座って作業していると、腰痛や肩こりが慢性化するリスクがあります。Herman MillerのAeronやSteelcaseのLeapのような高品質なオフィスチェアは10万円以上しますが、毎日使う道具としてのコストパフォーマンスを考えると決して高い買い物ではありません。身体の不調は入力効率の低下に直結するため、椅子への投資は長期的な生産性への投資でもあるのです。

日常のルーティンに効率化を組み込む

ツールの導入やデスク環境の整備に加えて、日々のワークルーティン自体に効率化の仕組みを組み込むことも重要です。リモートワークはオフィス勤務と比べて時間の使い方が自由な分、意識的にルーティンを設計しないと生産性が下がりやすいという特性があります。

朝のスタートアップルーティンをテンプレート化するのは効果的な方法です。パソコンを起動したら、まず開発環境の立ち上げ、Slackの未読チェック、当日のタスク確認、日報テンプレートの準備、という流れを毎朝同じ順序で行います。このルーティンをmacOSのショートカットアプリやAutoHotkeyスクリプトで自動化しておけば、ワンクリックで必要なアプリケーションがすべて起動し、すぐに作業に取りかかれる状態が整います。

ところで、タイマーを活用した集中と休憩のサイクル管理も、入力効率を維持するうえで効果的です。ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩のサイクル)は有名ですが、エンジニアの集中力は25分では短すぎるという意見もあります。自分に合ったサイクルを見つけるために、50分集中+10分休憩や、90分集中+20分休憩など、さまざまなパターンを試してみてください。休憩中にストレッチや軽い運動を取り入れると、血行が改善されてタイピングの正確性も向上します。

一日の終わりに「今日の入力で非効率だった場面」を振り返る習慣をつけると、継続的な改善が進みます。「同じ文面を3回も打った」「あのURLを探すのに5分かかった」といった気づきを書き留めておき、週末にまとめてスニペット登録やワークフロー改善に反映するのです。この小さなPDCAサイクルが、長期的には大きな効率の差を生み出します。

まとめ

リモートワークにおける入力効率化は、個々のテクニックは小さくても、積み重ねることで大きな生産性の差を生み出します。テキストエキスパンダーで定型入力を自動化し、クリップボードマネージャーで情報の再利用を加速し、辞書登録とIME設定で日本語入力を最適化する。これらのソフトウェア面の効率化に加えて、デスク環境の物理的な最適化も欠かせません。

AIツールの活用やSlackのショートカット習得など、コミュニケーション面での効率化も、リモートワークではオフィス勤務以上に重要になります。対面でのちょっとした会話がチャットのテキスト入力に置き換わった分、その入力を少しでも速く正確にする工夫が、一日の仕事全体の生産性を底上げしてくれるのです。

効率化の第一歩として、今日から始められることをひとつだけ挙げるとすれば、テキストエキスパンダーの導入をおすすめします。EspansoならOSSなので無料で始められますし、最初の10個のスニペットを登録するだけで、毎日の仕事が少し楽になる実感が得られるはずです。その実感がさらなる効率化へのモチベーションになり、リモートワークの生産性が加速度的に向上していくことでしょう。

IT転職で年収アップを実現しませんか?

エンジニア・プログラマー向け転職エージェントで、理想のキャリアを手に入れましょう。

おすすめ転職サイトを見る