この記事のまとめ
- 宇宙開発業界は急激な成長期にあり、エンジニアの需要が高まっている
- 衛星開発、ロケット制御、宇宙データ解析など多様な技術分野でエンジニアが活躍
- 航空宇宙工学の基礎知識とプログラミングスキルの組み合わせが高年収実現の鍵
宇宙開発分野への転職を検討しているエンジニアの方々は、この業界の圧倒的な成長ポテンシャルに気づいているのではないでしょうか。
実際に、宇宙産業市場は2040年までに1兆ドル規模に達すると予測されており、エンジニアにとって年収1800万円超えも夢ではない分野です。SpaceXやBlue Origin、日本でもスペースXや ispace など、革新的な宇宙企業が次々と誕生し、優秀なエンジニアを高待遇で迎え入れています。
今回は、航空宇宙エンジニアが宇宙開発企業への転職で高年収を実現するための戦略と、身につけるべき専門技術について詳しく解説します。この記事を読めば、アストロテック分野での理想的なキャリアパスが見えてくるでしょう。
宇宙開発業界の現状と転職市場の実態
宇宙開発業界は現在、歴史的な転換期を迎えています。従来の国家主導から民間企業主導へのシフトが加速し、エンジニアの採用需要は急激に高まっています。ただし、求められる技術レベルや専門性は極めて高く、年収1800万円という高待遇を実現するには戦略的なスキル構築が不可欠です。ここでは、宇宙開発エンジニアの転職市場の実態を詳しく分析します。
宇宙開発企業の人材獲得競争が激化
宇宙産業白書2024によれば、世界の宇宙産業市場規模は2023年に約38兆円に達し、2030年には60兆円を超える見込みです。この急成長の背景には、衛星コンステレーション、宇宙観光、月面探査などの新分野における技術革新があります。
特に注目すべきは、SpaceXやBlue Origin、Relativity Spaceなどの新興宇宙企業が、GAFAM並みの高待遇でエンジニアを獲得していることです。これらの企業では、経験豊富な宇宙開発エンジニアに対して年収2000万円を超える条件を提示するケースも珍しくありません。
日本国内でも、JAXAからのスピンアウト企業や、トヨタ・三菱重工業などの大手企業が宇宙事業に参入しており、優秀なエンジニアの確保が急務となっています。この状況は、適切なスキルと経験を持つエンジニアにとって、キャリアアップと年収向上の絶好の機会を提供しています。
20代エンジニアは宇宙開発の即戦力候補として高評価
20代のエンジニアは、宇宙開発業界において非常に価値の高い人材として位置づけられています。特に、大学で航空宇宙工学や機械工学を学び、プログラミングスキルも併せ持つ若手エンジニアは、宇宙企業から熱いオファーを受ける傾向にあります。
実際に、SpaceXでは新卒エンジニアでも年収1200万円からスタートし、数年で1800万円以上に到達するキャリアパスが用意されています。これは従来のIT業界と比較しても非常に高い水準です。
20代後半になると、より専門性が重視される傾向にありますが、ロケット制御システムの開発経験や衛星ソフトウェアの実装経験があれば、さらに高待遇での転職が期待できます。また、宇宙開発特有の安全性・信頼性要求を理解しているエンジニアは、年齢に関係なく高く評価される傾向があります。
30代エンジニアは技術リーダーとして最高峰の年収を実現
30代は宇宙開発エンジニアとして最も価値の高い年代です。この時期には、技術的な深い専門性と、プロジェクトマネジメント能力の両方を兼ね備えることが期待され、年収1800万円~2500万円の範囲での転職が現実的になります。
特に、月面探査機の制御システム開発や、衛星コンステレーションの軌道計算アルゴリズム設計などの経験があるエンジニアは、宇宙企業から引く手あまたの状況です。また、NASA/ESAなどの国際プロジェクトへの参加経験があれば、より高いポジションでの採用も期待できます。
30代では、単純な開発スキルだけでなく、宇宙システムの安全性要求分析や、国際宇宙法への適合性評価など、より高度な技術判断能力が求められるようになります。これらのスキルを体系的に身につけることで、CTOやテクニカルディレクターといった経営層に近いポジションでの転職も視野に入ってきます。
40代は宇宙開発のエキスパートとして最高峰のポジションを狙える
40代の宇宙開発エンジニアは、業界のエキスパートとして、年収3000万円以上の最高峰ポジションを狙える立場にあります。この年代では、純粋な技術スキルに加えて、宇宙プロジェクトの全体設計や国際協力プロジェクトのマネジメント経験が重要な評価要素となります。
特に、宇宙ステーション実験モジュールの開発経験や、惑星探査ミッションのシステムアーキテクト経験があるエンジニアは、宇宙企業のCTO候補として迎え入れられる可能性があります。また、宇宙開発における安全性・信頼性基準の策定経験も、極めて高く評価されます。
40代では、次世代の宇宙開発エンジニアを育成するメンター的役割も期待されるため、技術的な深い洞察力と、若手エンジニアを指導するリーダーシップスキルの両方が求められます。これらを兼ね備えたエンジニアは、宇宙産業において替えの利かない貴重な人材として、極めて高い処遇を受けることができます。
【分野別】宇宙開発エンジニアが活躍している技術領域
宇宙開発業界は、「衛星開発・運用分野」「ロケット・推進技術分野」「宇宙データ・観測分野」「宇宙インフラ・通信分野」の4つの主要領域に分類され、それぞれで求められるスキルセットやキャリアパスが大きく異なります。宇宙開発エンジニアへの転職を成功させるためには、自分の強みや関心に最も適した分野を選択することが極めて重要です。
ここでは、宇宙開発の4つの主要技術領域と、それぞれで活躍するエンジニアの職種を詳しく解説します。
衛星開発・運用分野
衛星開発・運用分野は、宇宙開発の中でも最も市場規模が大きく、多様なエンジニアが活躍している領域です。衛星コンステレーション、地球観測衛星、気象衛星などの開発から、打ち上げ後の運用・保守までをカバーし、継続的な需要が期待できる分野です。主な職種は以下のとおりです。
衛星システムエンジニア
衛星システムエンジニアは、衛星の機能を制御するシステムの設計・開発を担当します。姿勢制御、通信システム、電力システムなど、衛星の生命線ともいえる重要システムの設計が主な業務です。極めて高い信頼性と安全性が求められるため、ハードウェアとソフトウェアの両方に精通したエンジニアが求められます。
衛星データ解析エンジニア
衛星データ解析エンジニアは、衛星から送信される大量のデータを処理・解析し、有用な情報を抽出する専門家です。地球観測衛星の画像データ解析、気象データの処理、宇宙物理現象の解析など、各衛星の目的に応じたデータ処理システムを設計・開発します。機械学習やAI技術を駆使した高度なデータ解析スキルが求められる分野です。
衛星ミッションプランナー
衛星ミッションプランナーは、衛星ミッション全体の企画・設計から実行までを統括するスペシャリストです。軌道力学、ミッション解析、リスク評価など、衛星プロジェクトの成功に必要な全ての要素を統合的に管理します。特に国際協力プロジェクトでは、複数の機関や企業との調整能力も求められます。幅広い宇宙工学の知識と高いコミュニケーション能力が求められる職種です。
衛星管制オペレーター
衛星管制オペレーターは、打ち上げられた衛星の日々の運用・管制を担当する重要な役割です。グラウンドステーションから衛星へのコマンド送信、テレメトリデータの監視、異常状況への対応など、24時間365日体制で衛星の状態を管理します。
特に緊急時の判断能力や、複雑なシステムを理解する能力、長時間の集中力が求められます。衛星システムの知識と、宇宙物理学の基礎的な理解があることが重要で、ベテランオペレーターは宇宙開発業界で非常に高く評価される専門家です。
ロケット・推進技術分野
ロケット・推進技術分野は、宇宙開発の最もダイナミックな領域であり、エンジニアにとって最もエキサイティングな分野です。SpaceXのFalcon 9やStarship、Blue OriginのNew Shepardなど、民間企業が主導する革新的なロケット開発が急速に進展しています。ロケットの設計から製造、試験、打ち上げ運用までを一気通貫で管理する必要があり、高い技術力とプロジェクト管理能力を持つエンジニアが求められます。主な職種には以下のようなものがあります。
ロケットシステムエンジニア
ロケットシステムエンジニアは、ロケット全体のシステム統合と最適化を担当する中核的な存在です。推進システム、誘導制御システム、構造システムの統合設計を通じて、ロケットの性能と安全性を最大化します。特に再使用ロケットの開発では、経済性と技術的信頼性を両立させる高度なシステムエンジニアリングが求められ、この分野のエキスパートは年収2000万円以上の待遇を受けることも珍しくありません。
推進システムエンジニア
推進システムエンジニアは、ロケットの心臓部であるエンジンシステムの設計・開発を担当します。液体ロケットエンジン、固体ロケットエンジン、イオンエンジンなど、さまざまな推進技術に精通し、ミッション要求に応じた最適なエンジンを選択・設計します。特に再使用ロケットの場合は、燃焼効率の最大化とメンテナンス性を両立させる高度な技術が求められ、この分野のエキスパートは宇宙業界の中でも最高クラスの待遇を受けることができます。
フライトダイナミクスエンジニア
フライトダイナミクスエンジニアは、ロケットの飛行軌道設計と誘導制御システムの開発を担当します。打ち上げから軌道投入までの精密な飛行シーケンス設計、風の影響や大気撾乱への対応、緊急時の回避シーケンスなど、高度な軌道力学と制御理論を駆使したシステム設計を行います。特に再使用ロケットの着陸シーケンス設計は極めて高度な技術であり、この分野のエキスパートは宇宙企業から非常に高く評価されます。
ロケットプロジェクトマネージャー
ロケットプロジェクトマネージャーは、ロケット開発プロジェクト全体の統括管理を担当する最重要ポジションです。設計フェーズから製造、試験、打ち上げまでの数年にわたる長期プロジェクトのスケジュール管理、数百億円規模の予算管理、国際パートナーや政府機関との調整など、極めて高度な管理能力が求められます。プロジェクトの成否が企業の命運を左右するため、十分な経験と実績を持つPMは年収3000万円以上の処遇を受けることも珍しくありません。
宇宙データ・観測分野
宇宙データ・観測分野は、衛星や宇宙探査機が収集した大量のデータを処理・解析し、科学的発見や実用的情報に変換する分野です。気象予測、炉害監視、資源探査など、現代社会に不可欠なサービスを提供している領域であり、AIや機械学習の最新技術を駆使した高度なデータ科学手法が求められます。主な職種には以下のようなものがあります。
宇宙データサイエンティスト
宇宙データサイエンティストは、衛星データから有用な情報を抽出するためのアルゴリズムや機械学習モデルを開発する専門家です。地球観測衛星のリモートセンシングデータからの物体識別、気象衛星データからの気象予測モデル構築、深宇宙探査データからの宇宙現象解析など、幅広い分野で活躍します。Python、R、MATLABなどのデータ解析ツールに精通し、同時に宇宙物理学や地球科学の深い知識も必要です。
宇宙画像解析エンジニア
宇宙画像解析エンジニアは、地球観測衛星や惑星探査機から送られる高解像度画像データを処理・解析する専門家です。コンピュータービジョンやディープラーニング技術を駆使して、地表の変化検出、物体識別、地形解析などを自動化し、人間の目では発見できないパターンや変化を抜け出します。特に災害監視、農業監視、都市計画などの分野で高い需要があり、コンピューターサイエンスと宇宙物理学の両方に精通したエンジニアは非常に高く評価されます。
宇宙気象モデリングエンジニア
宇宙気象モデリングエンジニアは、衛星データを使用して地球の気象・気候システムをモデル化し、高精度な予測システムを開発する専門家です。数値気象モデルの開発、衛星データ同化手法の改善、異常気象の早期警報システム構築など、現代社会の安全を支える重要な役割を担っています。気象学、大気科学の深い知識と、高性能コンピューティング・数値解析スキルを両立させたエンジニアは、気象庁や研究機関はもちろん、民間気象企業からも非常に高く評価されます。
宇宙物理シミュレーションエンジニア
宇宙物理シミュレーションエンジニアは、宇宙空間で発生する物理現象をコンピューターシミュレーションで再現し、宇宙ミッションの計画や安全性評価に活用する専門家です。宇宙放射線環境シミュレーション、惑星大気突入シミュレーション、衛星軌道での微小重力影響シミュレーションなど、宇宙特有の環境を正確にモデル化する高度な数値計算技術が求められます。物理学、数学の高度な知識と、ハイパフォーマンスコンピューティングスキルを併せ持つエンジニアは、国内外の宇宙機関から非常に高い需要があります。
セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアは、情報システムをサイバー攻撃から守る役割を担う専門職です。具体的には、サーバーやネットワークのセキュリティー強化、脆弱性のチェック、適切なセキュリティー対策の導入が求められます。IT 未経験から目指す際には、セキュリティーに関連する資格の取得が強い後押しになります。
OAインストラクター
OAインストラクターは、パソコンやOffice系ソフトなどの操作を分かりやすく教える専門家です。主に講座形式で指導し、多様な参加者のレベルに応じた教え方が求められます。基本的なコンピューターリテラシーがあり、人に教えることが好きな方に向いています。
CAD設計エンジニア
CAD設計エンジニアは、CADソフトを駆使して製品や部品の設計を担当する職種です。特に、製品や建築物のモデリングを行い、クライアントの要望に応じた設計図を作成します。また設計だけでなく、シミュレーションで性能を評価し、設計プロセス全体を改善する役割も担っています。
宇宙インフラ・通信分野
宇宙インフラ・通信分野は、宇宙空間でのデータ伝送、衛星コンステレーション、深宇宙通信など、宇宙開発の基盤となる通信インフラストラクチャを支える領域です。特に最近では、衛星インターネットや宇宙データセンターなど、次世代の情報インフラとして大きな注目を集めています。高速・低遅延・高信頼性の通信システム設計が求められ、最先端の通信技術と宇宙特有の環境制約を理解したエンジニアが求められています。主な職種には以下のようなものがあります。
宇宙通信システムエンジニア
宇宙通信システムエンジニアは、宇宙空間での高速データ伝送を実現するための最先端通信システムを設計・開発します。レーザー通信、ミリ波通信、量子通信など、従来の電波通信を超えた革新的な通信手法の実用化に取り組みます。特に最近注目されている衛星インターネットの分野では、地上インターネットと同等のサービス品質を宇宙空間で実現する高度なネットワーキング技術が求められ、この分野のエキスパートは非常に高い市場価値を持っています。
宇宙グラウンドステーションエンジニア
宇宙グラウンドステーションエンジニアは、地上から衛星や宇宙探査機との通信を行うための地上設備システムを設計・運用する専門家です。大型アンテナシステム、信号処理装置、データ受信・解析システムなど、高度な電気・通信技術とシステム統合技術が求められます。特に最近では、世界各地に分散したグラウンドステーションネットワークを統合管理するシステムの重要性が高まっており、グローバルな観点で宇宙インフラを設計できるエンジニアは極めて高く評価されています。
宇宙開発エンジニアの年収は経験と専門性によって最大3倍の差がある
宇宙開発業界の年収は、一般的なIT業界と比較して圧倒的に高い水準にあります。宇宙産業白書のデータによると、宇宙開発エンジニアの平均年収は980万円ですが、経験や専門性によって大きな幅があります。特にSpaceXやBlue Originなどの海外先進企業では、日本人エンジニアでも年収3000万円を超える処遇を受けるケースが報告されています。ここでは、宇宙開発業界の職種別年収レンジを詳しく紹介します。
職種名 | 新人~3年 | 5~10年 | 10年以上・エキスパート |
---|---|---|---|
ロケットシステムエンジニア | 800~1200万円 | 1500~2200万円 | 2500~3500万円 |
衛星システムエンジニア | 700~1000万円 | 1200~1800万円 | 2000~3000万円 |
宇宙データサイエンティスト | 650~950万円 | 1100~1600万円 | 1800~2800万円 |
推進システムエンジニア | 900~1300万円 | 1600~2400万円 | 2800~4000万円 |
フライトダイナミクスエンジニア | 850~1250万円 | 1400~2100万円 | 2400~3600万円 |
また、宇宙開発業界の年代別年収レンジを以下に示します。
年代 | 日本国内 | 海外企業(リモート含む) |
---|---|---|
20代後半 | 600~1200万円 | 1000~2000万円 |
30代前半 | 1000~1800万円 | 1800~3000万円 |
30代後半 | 1400~2500万円 | 2500~4000万円 |
40代以上 | 2000~3500万円 | 3000~5000万円 |
宇宙開発業界は、適切なスキルと経験を積み上げることで、一般的なIT業界をはるかに上回る年収を実現できる分野です。特にロケット開発や推進システム、宇宙物理シミュレーションなどの高度な専門性を持つエンジニアは、国内外を問わず非常に高い需要があり、年収1800万円以上のポジションを獲得することが現実的に可能です。
宇宙開発エンジニアへの転職で高年収を実現する4つの戦略的アプローチ
宇宙開発業界への転職は、従来のIT業界とは異なる高度な専門知識と特殊なスキルセットが求められますが、適切な戦略とキャリア設計により、年収1800万円以上の高待遇ポジションへの転職が現実的に可能です。ここでは、航空宇宙エンジニアが宇宙開発企業への転職を成功させ、高年収を実現するための4つの戦略的アプローチを詳しく解説します。
エンジニアやプログラマー
多種多様なIT職種の中で、比較的未経験から転職しやすいのはソフトウェア業界のプログラマーやシステムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニアといわれています。これらの職種はシステム構築に欠かせない職種のため需要が高く、「未経験可」の求人も多く出ているからです。
「実務経験がなくても大丈夫なのだろうか」と心配されるかもしれませんが、未経験者を迎え入れている企業の多くは入社後の研修を用意しています。その辺りも事前に確認してみるとよいでしょう。
IT営業
ハードウェアやソフトウェアといったIT製品・サービス関連の営業をIT営業と呼びます。クライアントのビジネスを促進するため、または問題を解決するために最適なツールやシステムを提案するのが仕事です。
自社の製品やサービスに関する知識だけでなく、IT全般に関する知識、クライアントの要望をくみ取る能力、分かりやすく説明するスキルなども必要とされます。人とのコミュニケーションが得意な方におすすめの職種です。
IT事務
IT事務はITエンジニアのサポートをする職種です。専門的な知識は必要とされていませんが、事務作業に必要なMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordの基本スキル、タイピング技術、ビジネスマナーなどは必要です。IT業界を知るという意味では、チャレンジしやすい職種といえるでしょう。業務を通じて知識の幅を広げていけるため、別のIT職種へチャレンジする足掛かりにもなります。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、自社製品やサービスに関する技術的な問い合わせに対応します。クライアントと直接対話する形での対応になるため、カスタマーサポートのオペレーター経験がある人などは有利です。クライアントの要望をくみ取る能力や、順序立てて分かりやすく説明するスキルも求められます。
IT関連の基本スキルが必要であることに加え、転職後も勉強を続けて自分をアップデートしていかなければならない職種であることは理解しておきましょう。
未経験からIT業界への転職を成功させるためのポイント
未経験からでも条件に合うIT企業を探して転職を成功させたいと考えている場合は、ここで紹介するポイントを重視して準備を始めてみましょう。特に志望動機や自己PRでは、未経験だからといって何もアピールしないのではなく、これまでの経験を基に自分を採用するメリットを企業へうまく伝える必要があります。それぞれの例文も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
未経験者を募集している求人を探す
未経験からIT業界へ転職するには、未経験者を募集する求人を探すことが鍵となります。IT業界では、技術進化による需要拡大のため、多くの企業が新しい人材の参入を求めています。未経験者でも挑戦できる職種は多々ありますが、サポート・ヘルプデスクやインフラエンジニアなどのように、業務がマニュアル化されている職種は特に未経験者向けです。
さらに、転職エージェントを活用することで、未経験者向けの求人情報を効率的に探せます。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。