この記事のまとめ
- アジャイル開発とデザイン思考を融合した専門スキルは、現代のIT業界で最も求められる能力の一つ
- UXエンジニア・プロダクトデザイナーとしての複合スキルは年収1600万円クラスの高待遇ポジションへの道筋となる
- エンジニアリング技術とユーザー体験設計の両方を理解することで、プロダクト開発の中核人材として活躍できる
現代のプロダクト開発において、技術力だけでは十分ではありません。ユーザーの真のニーズを理解し、アジャイルな開発プロセスでそれを実現できる人材が強く求められています。
実は多くの企業が、エンジニアリング技術とデザイン思考の両方を理解できる「架け橋人材」の不足に悩んでいます。この記事では、そうした市場ニーズに応える専門家として、どのようにキャリアを構築し、年収1600万円を実現するかを詳しく解説します。
アジャイル・デザイン思考融合専門家として転職を成功させるための具体的なスキルセット、市場価値の高め方、そして理想的な転職戦略について、実践的なアプローチをご紹介していきます。
アジャイル・デザイン思考融合専門家とは何か
アジャイル・デザイン思考融合専門家とは、エンジニアリングスキルとデザイン思考の両方を駆使して、ユーザー中心のプロダクト開発を主導する新しい職種です。従来のエンジニアとデザイナーの境界を越えて、技術実装とユーザー体験設計を一体的に推進する能力を持った人材として、現在最も市場価値が高い職種の一つです。
この専門分野が注目される背景には、デジタルトランスフォーメーションの加速があります。企業がユーザーエクスペリエンスで差別化を図る必要性が高まる中、技術とデザインの両面を理解できる人材への需要が爆発的に増加しています。
なぜアジャイル・デザイン思考融合が重要なのか
現代のプロダクト開発では、技術仕様だけでなくユーザーエクスペリエンスが競争力の源泉となっています。特にスタートアップから大企業まで、すべての企業がユーザー中心設計を重視するようになりました。しかし実際には、技術チームとデザインチームが分離されているために、優れたユーザー体験を実現することが困難な状況が続いています。
そこで求められているのが、エンジニアリング能力とデザイン思考を両方理解し、チーム間の橋渡しができる専門家です。このような人材は、プロダクトオーナーやテックリードとして、開発プロセス全体をユーザー価値創出に向けて最適化できる貴重な存在として評価されています。
加えて、アジャイル開発手法が標準となった現在、迅速な仮説検証とユーザーフィードバックの取り込みが成功の鍵となっています。技術実装からユーザー調査まで一貫して理解できる人材こそが、現代のプロダクト開発を成功に導くことができるのです。
市場での需要と年収レンジ
人材紹介会社のデータによると、アジャイル・デザイン思考融合専門家の求人数は過去3年間で250%増加しています。特にSaaSプロダクトを展開する企業、フィンテック企業、ヘルステック企業において、この専門スキルを持つ人材への需要が急激に高まっています。
年収レンジについては、経験年数3-5年で800-1200万円、5-8年で1200-1600万円、シニアレベル(8年以上)では1600-2500万円と、一般的なエンジニアポジションよりも高い水準で推移しています。特に外資系企業やユニコーン企業では、この分野の専門性に対して破格の待遇を用意するケースも珍しくありません。
企業が求める具体的なスキルセット
アジャイル・デザイン思考融合専門家として評価されるためには、以下の3つの領域でのスキル習得が不可欠です。まず技術領域では、フロントエンド開発(React、Vue.js、TypeScript)、バックエンド開発(Node.js、Python、Ruby)、そしてクラウド運用(AWS、Azure、GCP)の基礎知識が求められます。これらは実際にプロトタイプを素早く作成し、アイデアを検証するために必要な技術基盤となります。
デザイン思考領域では、ユーザーリサーチ手法(インタビュー、観察、ペルソナ作成)、プロトタイピングツール(Figma、Sketch、Adobe XD)、そしてユーザビリティテストの設計・実行能力が重要です。さらに、デザインシステムの構築とメンテナンス経験も高く評価されます。
プロセス管理領域では、スクラム・カンバンといったアジャイル手法の実践経験、ステークホルダーとのコミュニケーション能力、データ分析によるプロダクト改善の経験が求められます。特に、定量的な指標(KPI、OKR)と定性的なユーザーフィードバックの両方を活用してプロダクトを改善した経験は、転職市場で非常に高く評価されています。
アジャイル・デザイン思考融合専門家のキャリアパス
この分野でのキャリア構築は、従来のエンジニアリングキャリアとは異なる特徴を持ちます。最も重要なのは、技術とデザインの両方向から価値創出できる能力を段階的に身につけることです。
多くの成功事例を見ると、エンジニア出身とデザイナー出身で異なるアプローチを取りながらも、最終的には同じような複合スキルセットに収束していくパターンが見られます。
エンジニア出身者のキャリアパス
エンジニア出身者の場合、まず現在の技術スキルを活かしながら、段階的にユーザー体験設計の知識を身につけていくアプローチが効果的です。最初のステップとして、フロントエンド開発においてユーザビリティを意識したUI実装を心がけることから始まります。具体的には、アクセシビリティ対応、パフォーマンス最適化、レスポンシブデザインの実装などを通じて、技術とユーザー体験の関係性を深く理解していきます。
次の段階では、ユーザーリサーチやデザインプロセスに積極的に参加し、実際にユーザーと接する機会を増やしていきます。エンジニアの論理的思考力は、ユーザーインタビューの結果を分析する際に大きな強みとなります。データ分析スキルを活用して、定量的なユーザー行動分析と定性的なフィードバックを組み合わせた洞察を提供できれば、チーム内での価値を大幅に向上させることができます。
最終的には、技術的な実現可能性とユーザー価値の両方を考慮したプロダクト提案ができるようになることが目標です。この段階に達すると、テックリードやプロダクトマネージャーといった上位ポジションへの転職が現実的になります。
デザイナー出身者のキャリアパス
デザイナー出身者の場合、既に持っているユーザー中心設計のマインドセットを活かしながら、技術的な理解を深めていくアプローチが有効です。まず重要なのは、デザインツールでの作業に留まらず、実際のプロダクト開発プロセス全体を理解することです。コードを書けるようになる必要はありませんが、技術的制約や実装コストを理解することで、より現実的で価値の高い提案ができるようになります。
具体的には、HTML/CSS、JavaScript の基礎を学び、自分がデザインしたものがどのように実装されるかを理解することから始めます。さらに、API の概念、データベースの基本、サーバーサイドの処理について学ぶことで、システム全体を俯瞰した設計提案ができるようになります。
また、データドリブンなデザイン判断ができるよう、アナリティクスツールの使い方、A/Bテストの設計、統計的な分析手法を身につけることも重要です。デザイナーの感性と数値による検証を組み合わせることで、説得力のある改善提案ができるようになり、プロダクトチーム内での発言力が大幅に向上します。
転職で評価される実績の作り方
転職市場で高く評価されるためには、単にスキルを身につけるだけでなく、実際の成果を示せる実績を作ることが重要です。最も効果的なのは、既存プロダクトの改善プロジェクトをリードした経験です。
具体的には、ユーザーリサーチから課題発見、解決策の設計、技術実装、効果測定まで一貫して担当したプロジェクトがあると非常に強力なアピール材料になります。例えば、「ユーザーインタビューから発見した課題に基づいて新機能を設計し、A/Bテストで20%のコンバージョン率向上を実現した」といった具体的な成果を示せれば、どの企業でも高く評価されるでしょう。
また、社内での横断的なプロジェクトを積極的に提案・実行することも重要です。技術チームとデザインチームの連携改善、デザインシステムの構築、ユーザーフィードバックループの整備など、組織全体のプロダクト開発力向上に貢献した経験は、シニアレベルのポジションへの転職で大きなアドバンテージとなります。
今すぐ始められるスキルアップ方法
アジャイル・デザイン思考融合専門家へのキャリアチェンジを目指す場合、まずは現在の職場で実践できることから始めることが重要です。エンジニアの場合、プロダクトチームのミーティングへの積極的な参加から始めてみましょう。プロダクトオーナーやデザイナーがどのような視点で機能を設計しているかを理解し、技術実装の観点からより良い代替案を提案できるようになることが第一歩です。
デザイナーの場合は、技術的な制約や実装コストを理解することから始めます。開発チームとのコミュニケーションを密にし、自分のデザインがどのように実装されるかを理解し、技術的制約を考慮した代替案を提案できるようになることが目標です。また、ユーザーテストの結果を数値で評価し、改善提案に結びつけるスキルも重要です。
両方に共通して重要なのは、ユーザーインタビューやユーザビリティテストの実施経験です。社内でユーザーリサーチの機会がない場合は、副業や個人プロジェクトで経験を積んでみてください。連続インタビューやユーザビリティテストの経験は、転職活動で非常に高く評価されます。
年収1600万円を実現する転職戦略
アジャイル・デザイン思考融合専門家として高年収を実現するためには、戦略的なアプローチが必要です。この分野での成功は、単純なスキルアップだけではなく、市場における自分の立ち位置を明確にし、適切な企業をターゲットとした活動にかかっています。
ターゲット企業の選定方法
高年収を目指す場合、どのような企業をターゲットとするかが極めて重要です。アジャイル・デザイン思考融合専門家に対して高い年収を支払う企業には、いくつかの共通パターンがあります。まず、急成長中のSaaS企業で、プロダクトマーケットフィットやユーザー体験の改善が直接的な売上向上につながる企業です。このような企業では、技術とデザインの両方を理解して成果を出せる人材への需要が非常に高く、それに応じて年収も高く設定されています。
次に、フィンテックやヘルステックなど、ユーザー体験が競争優位性の源泉となる業界の企業です。これらの業界では、規制やセキュリティへの配慮も必要なため、技術的な実装からユーザー体験まで一貫して考えられる人材の価値が特に高く評価されます。
加えて、グローバル展開を進める日系大企業や外資系企業も有力なターゲットです。これらの企業では、グローバルスタンダードのユーザー体験を提供するために、技術力とデザイン思考を両立させた人材を積極的に採用しており、その市場価値に応じた競争力のある年収を提示しています。
年収交渉のポイント
アジャイル・デザイン思考融合専門家としての年収交渉では、単に技術スキルやデザインスキルをアピールするだけでは不十分です。最も重要なのは、あなたが企業にもたらす具体的なビジネスインパクトを数値で示すことです。
例えば、「ユーザーリサーチで発見した課題を解決するための新機能を設計・実装し、コンバージョン率を従来比、30%向上させた結果、月間売上が年間2000万円向上した」といった具体的な成果を提示できれば、企業側もあなたの経済价値を理解しやすくなります。
また、アジャイル・デザイン思考融合専門家は市場での希少性が高いため、従来のエンジニアやデザイナーよりも1.5-2倍の年収を期待できる立ち位置にあります。この点を交渉材料として活用し、市場価値に基づいた適正な年収を要求することが重要です。同時に、あなたが持つ特殊なスキルセットが、その企業の特定の課題解決にどう貢献できるかを明確に伝えることで、単なスキルプレミアムではなく、本質的な価値貢献に対する正当な対価であることを理解してもらうことができます。
ポートフォリオと実績のアピール方法
アジャイル・デザイン思考融合専門家としてのポートフォリオは、従来のエンジニアやデザイナーのものとは異なる構成が必要です。重要なのは、プロセス全体を通したストーリーを示すことです。具体的には、ユーザーリサーチの発見から始まり、問題の分析、仮説立案、プロトタイプ作成、ユーザーテスト実施、最終的な技術実装、そして効果測定という一連のフローを一つのケーススタディとしてまとめ、それぞれのステップでどのような判断を行い、どのような成果を得たかを明確に示すことが重要です。
また、技術スキルとデザインスキルを別々にアピールするのではなく、両方を統合した解決策を提示することが重要です。例えば、ユーザーインタビューで発見した課題に対して、技術的制約やパフォーマンスへの影響を考慮しながら、最適なユーザー体験を実現するための複数の解決策を比較検討し、最終的に選択したアプローチの理由を明確に説明できるようなポートフォリオ構成が理想的です。
面接時のアピールポイント
アジャイル・デザイン思考融合専門家としての面接では、一般的なエンジニアやデザイナーの面接とは異なるアプローチが必要です。最も重要なのは、技術とデザインの架け橋としての価値を具体的に示すことです。たとえば、「デザインチームが提案した機能に対して、技術的制約やパフォーマンスへの影響を分析し、より良いユーザー体験を実現するための代替案を提案した結果、プロジェクトのタイムラインを短縮しながらユーザー満足度を向上させることができた」といった具体的なエピソードを用意しておきましょう。
また、アジャイル開発プロセスにおけるユーザーフィードバックの圧縮顔面を課題として認識し、技術チームとデザインチームが連携して改善できる仕組みを構築した経験などをアピールすることも有効です。このような組織横断的な改善経験は、シニアレベルのポジションで求められるリーダーシップ能力を示す強力な材料となります。面接では、このような経験をストーリー仕立てで話し、あなたが入社後に同じような価値を提供できることを印象づけることが重要です。
キャリアアップの将来展望
アジャイル・デザイン思考融合専門家としてのキャリアは、単純なスキルアップではなく、継続的な市場価値の向上と、それに伴う年収の成長が期待できる分野です。特に、AI技術の進歩やメタバースの発展に伴い、技術とデザインの両方を理解した人材への需要はさらに高まることが予想されます。
年収成長の軌道
この分野でのキャリア成長は、一般的なエンジニアリングキャリアとは異なる特徴を持ちます。ジュニアレベル(経験年1-3年)では、まず技術もしくはデザインのどちらか一方のスキルを確実に身につけ、その後にもう一方の分野への理解を深めていくフェーズになります。この段階での年収レンジは500-800万円程度ですが、重要なのは幅広いスキルセットと実績を積み上げることです。
ミドルレベル(経験年3-7年)になると、技術とデザインの融合スキルが本格的に発揮され、プロダクト改善や新機能開発で実績を作る段階に入ります。このフェーズでの年収は1000-1600万円のレンジで、特に成果を数値で示せる人材は高い年収を実現できます。
シニアレベル(7年以上)になると、組織全体のプロダクト開発力向上をリードするポジションに進み、プロダクトマネージャー、テックリード、VPof Productなどの上位ポジションで。1600-3000万円以上の年収を期待できます。このレベルでは、個人の技術スキルだけではなく、チームや組織全体の成果に対する貢献が評価されるようになります。
スペシャリストからマネージメントへの道筋
アジャイル・デザイン思考融合専門家としてのキャリアは、スペシャリストとして深い専門性を追求する道と、マネージメントポジションで組織全体の成果に貢献する道の両方があります。スペシャリストの道を選ぶ場合、特定の領域(例えばフィンテックのUX、ヘルステックのプロダクトデザイン、B2B SaaSのユーザーエクスペリエンスなど)での極めて高い専門性を身につけ、その分野の最高峰のエキスパートとしての地位を確立することができます。このルートでは、2000-4000万円以上の年収も現実的です。
一方、マネージメントの道を選ぶ場合は、技術とデザインの両方を理解したバックグラウンドを活かし、プロダクトマネージャー、テックリード、CTO、CPOなどのポジションで、組織全体のプロダクト開発力を向上させる役割を担うことができます。このルートでは、個人の技術スキルだけではなく、チームビルディング、ビジョン設定、ステークホルダーマネジメントなどのマネジメントスキルも積極的に身につけていく必要がありますが、3000-8000万円といった非常に高い年収レンジを期待できます。
アジャイル・デザイン思考融合専門家への第一歩
アジャイル・デザイン思考融合専門家としてのキャリアを始めるためには、まずは現在の立ち位置を正確に把握し、最初のステップを踏み出すことが重要です。現在のスキルセットがエンジニアリング寄りの方は、ユーザーリサーチやデザインプロセスへの理解を深めることから始めましょう。デザイン寄りのスキルを持つ方は、技術的な制約や実装コストを理解し、より現実的な設計提案ができるようになることが目標です。
最初のステップとして、現在の会社でできる小さな改善プロジェクトから始めてみてください。技術チームとデザインチームの連携改善、ユーザーフィードバックの収集・分析プロセスの整備、既存機能のユーザビリティ改善など、小さなことから始めて着実に実績を積み上げ、そこでの経験と成果を転職活動のアピール材料として活用していくことが、最終的に年収1600万円を実現するための確実な道筋となります。
まとめ
アジャイル・デザイン思考融合専門家は、現代のプロダクト開発において最も求められているスキルセットの一つであり、その市場価値は今後さらに高まっていくことが予想されます。技術力とデザイン思考を組み合わせ、ユーザー中心のプロダクト開発をリードできる人材として、年収1600万円という高い目標を実現するためには、継続的なスキルアップと実績作り、そして戦略的なキャリア構築が不可欠です。
しかし、その分、この分野での成功は、単なスキルアップではなく、ビジネスへの実質的な価値貢献を通じて得られるものであり、その成果は現在の職場から次のキャリアステップまで、長期にわたってあなたのキャリアを支える強固な基盤となるでしょう。アジャイル・デザイン思考融合専門家としての道は、挑戦的でありながらも、年収1600万円という高い目標を実現し、現代のIT業界で最も価値の高いキャリアの一つとなることができるでしょう。
教育制度の有無を確認して企業を選ぶ
未経験からIT業界へ転職する場合、教育制度の充実度を確認しておいたほうが安心です。たとえば大企業の場合、研修内容やスケジュールなどの骨組みが整っている傾向にあります。
逆にベンチャー企業だと研修内容が確立しておらず、社員の働きを見て学ぶ姿勢を求められるケースがあります。入社してまもなくの状態で、即戦力としての働きを求められる可能性もあるでしょう。スキルを学んでから実践していきたい方は、教育制度の有無と内容まで把握してから転職先を決めることをおすすめします。
IT業界に役立つ資格を取得する
IT業界未経験者の場合、ITスキル習得に向けて勉強している姿勢を見せるため、以下のような資格を取得するのがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
- 応用情報技術者試験
また以下のようなスキルを持っている場合、未経験でもIT業界で活躍できる可能性が高いといえます。
- 論理的思考力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
- プレゼンスキル
- 資料作成能力
- 英語力
IT業界では、物事を筋道立てて考え、プログラミングで形にしていく力が求められます。また、チームやクライアントとの話し合いを進めていく中で、分かりやすく伝える力も必要です。IT業界の最新情報は英語圏から発信されるケースも多いため、英文を読み解く語学力があるとなおよいでしょう。
文系でも転職可能|IT業界に活かせるスキルをアピールする
IT 未経験でIT業界への転職を考える際、強く意識したいのがスキルのアピールです。多くのIT企業では、技術的なバックグラウンドよりもビジネススキルやコミュニケーション能力を重視する傾向があります。
たとえば、パソコンスキルとしてMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使いこなせることはIT業界でも役立ちます。また、論理的に物事を考えるためのロジカルシンキングも重要です。プロジェクトの進行を支える役割を担うときには、複雑な問題を分解して解決策を考える力が問われるからです。
また、IT業界はチームでの協働やクライアントとの密接なコミュニケーションが多いため、スムーズな意思疎通を図るためのコミュニケーション能力も評価されます。このように、文系理系にかかわらず、既存のスキルと意欲をアピールすることで、IT業界での新しいキャリアを切り開くことが可能です。
【例文あり】志望動機を明確にしておく
未経験からIT業界への転職を成功させるために、志望動機の内容はじっくり考えて準備しておきましょう。アピールできる専門的なスキルがないからこそ、「なぜIT業界で働きたいのか」という理由を明確に伝えると、採用につながりやすくなります。押さえておきたいポイントは、下記のとおりです。
- 身につけたいスキルや目指すポジションなど目標を伝える
- 仕事への興味や関心を積極的に伝えて入社意欲の高さを示す
- 自分自身のエピソードを盛り込む
3つのポイントを基に、職種別の例文を2つ紹介します。
プログラマー
【例文】 現在はものづくりを行う会社で働いておりますが、アイデアを1から形にしていくことにやりがいを感じたため、プログラマーを希望いたしました。
現在はJavaやPythonを学んでおり、入社後も業務内容に応じて使用できる言語を増やしていく所存です。より高度なスキルを身につけ、将来的にはシステムエンジニアやITスペシャリストを目指したいと考えています。
システムエンジニア
【例文】 前職では、業務効率化のためSEの方と打ち合わせをする機会が多くありました。その中でITシステムの重要性を実感し、システムエンジニアになろうと決意いたしました。これまで営業職として「顧客の役に立つ仕事をしたい」と奮闘してまいりましたが、今後はIT業界の中でその思いを実現したいと考えております。
現在はJavaのプログラムについて勉強しており、自分の考えたシステムが形になっていく楽しさも実感しています。前職でのマネジメント経験も活かし、入社後はプロジェクトマネージャーを目指してスキルを磨いていく所存です。
上記に加えて、企業の魅力や特徴など、働きたいと思った理由を盛り込むとなおよいでしょう。
【例文あり】履歴書や面接での自己PRも重要
未経験からIT業界を目指す際、「ITのスキルはありません」とだけ伝えるのは避けたほうがよいでしょう。採用するメリットがないと企業側に判断される可能性があるためです。職種関係なく活かせるスキルや、入社前に取得した資格などを積極的にアピールしていきましょう。下記に、例文を紹介します。
プログラマー
【例文】 私の強みは、課題解決能力とコミュニケーション能力です。現在塾講師として働いており、生徒に積極的に話しかけて悩みをヒアリングし、どのような解決策があるか一緒に考えています。
目の前でトラブルが発生した際に、冷静かつ客観的に現状を分析し、最善の対処法を提案していく力は、プログラマーとしても活かせるのではないかと考えております。入社後はコミュニケーション能力を発揮し、チームで協力してひとつずつ成果を積み上げていけるよう努めていく所存です。
システムエンジニア
【例文】 私の強みは、常にチャレンジ精神を持って取り組む姿勢です。現職では、業務での反省点をまとめて次に活かすこと、必要なスキルは積極的に磨くことを心がけております。現在は、スクールに通いながらシステムエンジニアに求められる技術を習得しているところです。学習意欲の高さを活かし、貴社に最大限貢献できるよう努めます。
転職エージェントを活用した準備がおすすめ
未経験からIT業界への転職を成功させるためには、転職エージェントを活用して準備を進める方法をおすすめします。転職エージェントを利用する大きなメリットは、転職希望者の適性や経験に合った企業を紹介してくれる点です。
また転職のプロが志望動機の書き方や面接のアドバイス、転職後のアフターフォローなどをしてくれるサービスもあります。IT業界は専門性が高いため、まったくの未経験者が個人で行う転職活動には限界があるでしょう。これらのサービスは無料で受けられるケースが多いため、うまく活用してみてください。
未経験からIT業界へ転職するメリット
まったくの未経験からIT業界へ転職するとなると、仕事を覚えるのに苦労することもあるでしょう。しかし未経験であっても、IT業界へ転職して得られる利点は十分あります。ここでは、未経験からIT業界へ転職するメリットを2つに分けて紹介します。
在宅勤務など自由度の高い働き方ができる場合も
IT業界の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていればパソコンひとつで作業できます。そのため、在宅ワークやノマドワークなど場所を選ばない働き方が実現可能です。
また、個人作業が多い職種であれば周りと勤務時間を合わせる必要がないため、フレックスタイム制を導入している企業もあります。出産や子育てなどライフステージの変化に合わせて自由度の高い働き方を選択できる点は、IT業界へ転職するメリットといえます。
キャリアプランを立てやすい
IT業界で仕事をすると専門的なスキルを身につけられます。そのため、実績を活かして転職したりフリーランスとして独立したりと、キャリアプランを立てるうえでの選択肢が幅広い点は大きなメリットです。またひとつの業種にこだわるのではなく、担当できる業務を次々と広げていくことで年収アップを狙える可能性もあります。将来の目標を立てやすく、仕事に対するやる気にもつながるでしょう。
未経験からIT業界への転職はきつい?知っておきたい注意点
働き方の自由度が高く、専門的なスキルを磨けるIT業界に魅力を感じる方もいるでしょう。しかし、未経験から転職するとなると、大変な点があることも事実です。ここでは、IT業界へ転職したいと考える際に知っておきたい注意点を2つ紹介します。
未経験でも応募できる求人を自分で見つけるのは難しい
転職を希望する企業が決まっている場合は、採用ページから直接アクセスしてみるとよいでしょう。しかし企業の採用サイトは、キャリア採用や新卒採用の求人が多い傾向にあります。未経験からIT業界への転職を目指す場合は、ひとつずつ企業のホームページを検索していくのではなく、転職サイトや転職エージェントを活用する方法がおすすめです。
転職サイトや転職エージェントはインターネット環境さえあればいつでも自由に求人を検索でき、動画や画像も確認できるため企業のイメージが湧きやすいといえます。また転職サイトや転職エージェントは、無料でサービスを利用できる点もメリットです。
人員不足で業務量の負担が大きい可能性がある
IT業界は、人材が不足している企業も少なくありません。ひとりに課せられる業務量が多い企業に転職してしまうと、残業や休日出勤が必要となる可能性もあります。
思った以上に過酷さを感じ、「イメージと違った」「前職のほうがよかった」など後悔してしまうケースもあるでしょう。このような企業に転職しないためには、雇用条件を十分確認する、転職エージェントのキャリアアドバイザーに企業の内情を聞くなどの方法が有用です。
未経験からIT業界を目指す際に気になる疑問を解決
未経験からIT業界への転職を目指すために必要なポイントを理解したものの、細かい疑問が残っている方もいるでしょう。ここでは、副業やアルバイトからIT業界を目指す方法、フリーランスとしての独立やインターン情報などを紹介します。また、学歴が重視されるのかといった点も触れています。
副業やアルバイトから始められる?
未経験でIT業界の副業を始める場合、いきなり仕事を獲得するのは困難です。スクールに通ってスキルを磨いたり、一度IT業界に転職して実績を作ったりしてからのほうがスムーズにいく可能性は高いといえます。また企業のアルバイトであれば未経験でも採用してくれるケースは多々あり、実績作りにも向いています。
フリーランスとして活躍するには?
ITフリーランスは業務の幅が広く、需要も高いと考えられます。しかし未経験からいきなりフリーランスを目指すのは難しく、まずは実績や人脈作りを優先させるとよいでしょう。一度IT業界に転職して専門性を高め、そのスキルを基にフリーランスに転向したほうが、未経験で始めるより安定した収入を得られる可能性は高いといえます。
高卒でもIT業界を目指せる?
IT業界は需要が高く、また学歴より実績を重視する企業もあるため、大学や専門学校を卒業していない方でも採用される可能性は十分にあります。ただし、大卒レベルの数学知識が求められるシステム開発などの業種では、高卒だと採用時に不利になってしまう場合があるため注意が必要です。求人情報の内容をよく確認し、高卒でも応募できる業種を選択したほうが無難です。
未経験でもインターンを受けることは可能?
IT業界のインターンは、未経験でも受けられる可能性はあります。ただしほとんどの企業では、プログラミングなどのスキルを身につけていることが条件となるでしょう。まったくの未経験だと、まずひとつの言語を習得するまでに大幅な時間がかかってしまうためです。未経験でインターンに参加する場合も、独学やスクールである程度の知識は身につけておきましょう。
まとめ
未経験者がIT業界へ転職を目指す際には、具体的な職種や求められるスキル、資格の理解が重要です。また、教育制度が整った企業を選ぶことでスムーズな適応が可能になります。
未経験からIT業界への転職を成功させるには、未経験者を募集している求人を探すことが欠かせません。その際には、IT業界の転職事情に精通している転職エージェントが役立ちます。
マイナビITエージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが未経験者を募集しているIT求人を紹介します。応募書類の添削や面接対策など転職を成功に導くサポートも充実しているため、未経験からIT業界を目指したいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。