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自宅でホワイトボードコーディングを練習する方法とツール

ホワイトボードコーディング面接の対策をしたいと思っても、多くの人が「自宅にホワイトボードなんてない」という壁にぶつかります。会社の会議室にあるあの大きなボードを自宅に置くスペースはないし、かといって何も準備しないまま面接に臨むのは心もとない。そんな悩みを抱えているエンジニアは、きっと少なくないはずです。

実は、本物のホワイトボードがなくても効果的に練習する方法はたくさんあります。物理的な代替品からデジタルツール、さらにはオンラインで模擬面接ができるサービスまで、自宅にいながらホワイトボードコーディングのスキルを磨く手段は年々充実してきています。この記事では、予算や住環境に合わせて選べる練習方法とツールを、具体的な使い方のコツとともに紹介していきます。

物理的なホワイトボードを自宅に導入する選択肢

デジタルツールの話に入る前に、まずは物理的なホワイトボードの導入を検討してみましょう。「実際にマーカーを持って立った状態で書く」という体験は、デジタルでは完全には再現できないものがあるからです。

壁掛け式やスタンド式のホワイトボード

自宅にある程度のスペースがあるなら、壁掛け式のホワイトボードを設置するのが最も本番に近い練習環境を作れる方法です。60cm x 90cm程度のサイズであれば、一般的なワンルームの壁にも収まりますし、価格も数千円程度で購入できます。壁に穴を開けたくない場合は、フックで吊り下げるタイプや、スタンド式のものを選ぶとよいでしょう。

サイズ選びで迷ったら、実際の面接で使われるホワイトボードの大きさを想像してみてください。面接室のホワイトボードはたいてい120cm x 90cm以上あります。自宅で同じサイズを確保するのは難しいかもしれませんが、最低でも60cm x 45cm以上のサイズを選ぶと、ある程度まとまったコードを書く練習ができます。あまり小さいものだと、「スペース管理の練習」にならないという本末転倒な状態になりかねません。

ところで、マーカーの選び方も意外と重要です。安価なマーカーはインクの出が悪かったり、すぐにかすれたりして、練習のテンポを崩してしまいます。パイロットやサクラクレパスなどの国内メーカーの製品は品質が安定していておすすめです。黒、赤、青の3色があれば、コードの構造を色分けしながら書く練習もできます。イレイサーも忘れずに用意しましょう。古いタオルで代用もできますが、専用のイレイサーの方が消し跡が残りにくいです。

ホワイトボードシートとガラスマーカー

壁掛けのボードを置くスペースがないという方には、ホワイトボードシート(ホワイトボードフィルム)がおすすめです。これは壁やデスクの表面に貼り付けて使うシートで、使わないときは巻いて収納できるものもあります。貼って剥がせるタイプなら賃貸住宅でも安心して使えます。

実は、もっと手軽な方法もあります。窓ガラスにガラスマーカーで書くのです。ガラスマーカーは水拭きで簡単に消せるため、窓やガラステーブルの表面がそのままホワイトボードの代わりになります。天気の良い日には窓に向かってコードを書きながら練習するのも、気分転換になって悪くありません。ただし、透明なガラスだと文字が見えにくいことがあるので、背景が白い壁の前にあるガラス面を使うのがコツです。

もうひとつの選択肢として、大きめのスケッチブックやイーゼルパッドを使う方法もあります。これは書いたものを保存できるという利点があり、自分の進歩を振り返るのに便利です。マーカーではなく太めのペンを使うことになりますが、立って書く姿勢の練習にはなります。100円ショップでも大きめの模造紙やスケッチブックが手に入るので、費用を抑えたい場合にはこちらも検討してみてください。

デジタルツールで練習環境を整える

物理的なボードが用意できない場合、あるいは物理ボードと併用したい場合には、デジタルツールを活用するのが現実的です。タブレットやパソコンを使って、ホワイトボードに近い書き心地で練習できるアプリやサービスが数多く存在します。

タブレットとスタイラスペンの活用

iPadとApple Pencilの組み合わせは、自宅でのホワイトボード練習において非常に強力なツールになります。手書きの感覚がリアルに再現され、書いた内容のズームや移動、コピーといったデジタルならではの機能も使えます。面接本番ではこうした便利機能は使えませんが、練習の初期段階ではアイデアの整理に役立ちます。

iPadで使えるホワイトボード系アプリとしては、GoodNotesやNotabilityが有名です。これらは本来ノートアプリですが、無限キャンバスの設定にすれば広大なホワイトボードとして使えます。Apple純正のフリーボードアプリも、シンプルながらホワイトボード練習には十分な機能を備えています。背景色を白に設定し、太めのペンツールを選んで書けば、かなりリアルに近い感覚で練習ができます。

そういえば、iPadを持っていなくてもAndroidタブレットやSurface、さらにはペンタブレット(板タブ)でも同様の練習は可能です。板タブの場合は画面を見ながら手元のタブレットに書くという間接的な操作になるため、最初は違和感があるかもしれません。しかし、キーボードでコードを書く練習ではなく「手書きでコードを書く」という行為そのものに慣れることが目的なので、多少の違和感は許容範囲です。

オンラインホワイトボードツール

ブラウザ上で動作するオンラインホワイトボードツールは、インストール不要で手軽に始められるのが利点です。MiroやExcalidrawといったツールは、無料プランでも十分にホワイトボードとして機能します。特にExcalidrawは手書き風のスタイルがデフォルトで適用されるため、見た目もホワイトボードに近い雰囲気を演出できます。

これらのオンラインツールの大きなメリットは、他の人とリアルタイムで共有できる点です。友人に面接官役をお願いして、画面を共有しながら模擬面接をすることができます。物理的に離れた場所にいても練習相手を見つけられるのは、特にリモートワークが広がった現代ならではの利点でしょう。音声通話と組み合わせれば、かなり本番に近い練習環境が作れます。

実は、コーディング面接専用のプラットフォームも存在します。CoderPadやCodeSignalといったサービスは、面接官と候補者がリアルタイムでコードを共有しながらコーディング面接を行うために設計されたツールです。これらは主にオンラインコーディング面接向けですが、ホワイトボード的な自由度は若干低いものの、コードの実行結果をその場で確認できるという独自の利点があります。練習の用途によって、ホワイトボード系ツールとコーディング系ツールを使い分けるのが賢いやり方です。

効果的な練習方法のデザイン

ツールが揃っても、練習の方法が適切でなければ上達は遅くなります。ただ問題を解くだけの繰り返しではなく、意図を持った練習の設計が大切です。

「声に出して書く」習慣をつける

ホワイトボードコーディングで最も重要なのは、考えていることを言葉にしながらコードを書く能力です。自宅で一人で練習していると、ついつい黙々と手を動かしてしまいがちですが、これでは本番で口が動かなくなります。練習の段階から、まるで隣に面接官がいるかのように声に出しながら書く癖をつけておきましょう。

最初は恥ずかしいと感じるかもしれません。一人で部屋にいるのに「ここで配列を走査して、最大値を更新します」と声に出すのは、確かに少し不自然な光景です。しかし、この練習を積み重ねていくと、思考と発話が自然に同期するようになります。面接本番では緊張して頭の中が混乱しがちですが、普段から声に出す練習をしていれば、身体が覚えた習慣として自然に言葉が出てくるのです。

ところで、自分の練習を録画して見返すのも効果的な方法です。スマートフォンのカメラで自分がホワイトボード(やその代替品)にコードを書いている様子を撮影し、後から客観的にチェックします。声のトーンや速さ、沈黙の長さ、姿勢、文字の読みやすさなど、自分では気づかない改善点が見えてきます。最初に見たときは「こんな風に見えているのか」と衝撃を受けるかもしれませんが、それこそが成長の出発点です。

時間制限を設けた実戦形式の練習

実際の面接では、一つの問題に対して30〜45分の時間が与えられるのが一般的です。このうち、問題の理解と質問に5分、方針の検討に5〜10分、実際のコーディングに15〜20分、テストと改善に5〜10分という配分が理想的です。自宅での練習でも、この時間配分を意識してタイマーをセットしておくことが重要です。

時間制限なしで練習していると、じっくり考えて完璧なコードを書く癖がつきます。それ自体は悪いことではないのですが、面接本番の緊張感や時間的プレッシャーの中では通用しません。制限時間内に「完璧でなくてもよいから動くコード」を書き上げる力が求められます。時間切れで何も書けないよりも、一部不完全でも方針と主要なロジックが書けている方が、面接ではずっと高い評価を受けます。

実は、練習で時間内に解けなかった問題こそが最大の学びの宝庫です。なぜ時間が足りなかったのかを振り返ってみましょう。問題の理解に時間がかかりすぎたのか、方針が定まらず迷走したのか、コーディング中にバグが多くて修正に時間を取られたのか。原因を特定して、その部分を重点的に鍛えることで、効率的にスキルアップできます。

段階的な難易度設計

練習を始めたばかりの頃にいきなり難問に挑戦しても、挫折するだけです。プログラミングの練習問題サイトで使われているような難易度分類(Easy、Medium、Hard)を参考に、段階的に難易度を上げていくのが効果的です。

最初の1〜2週間はEasyレベルの問題に集中しましょう。配列の反転、文字列の回文判定、リンクリストの走査といった基本的な問題を、ホワイトボード上で素早く書けるようになるまで繰り返します。この段階では、アルゴリズムの正確性よりも「手書きでコードを書くこと」そのものに慣れることが目標です。

Easyレベルが安定してきたら、Mediumレベルに進みます。二分探索、ハッシュテーブルを使った最適化、二分木のトラバーサルなど、少し思考が必要な問題に取り組みます。この段階で大切なのは、解法のパターンを「引き出し」として蓄えていくことです。面接で出される問題は、いくつかの基本パターンの組み合わせであることがほとんどです。パターンを認識する力をつけることで、未知の問題に遭遇しても対応できるようになります。

一人で練習するときの工夫と注意点

自宅での練習は自分のペースで進められる反面、フィードバックが得られにくいという課題があります。この課題をどう乗り越えるかが、練習の質を左右します。

模範解答との比較と自己添削

問題を解き終えたら、自分のコードと模範解答を比較する時間を必ず設けましょう。LeetCodeやHackerRankといったプラットフォームでは、他の人の解答やディスカッションフォーラムを閲覧できます。自分の解法と異なるアプローチがあれば、そのアイデアを吸収して引き出しを増やしていきましょう。

比較する際に注目すべきポイントは、時間計算量と空間計算量です。自分の解法がO(n^2)であれば、O(n)やO(n log n)で解けるアプローチがないかを確認します。面接では最適解まで到達できなくても評価されることはありますが、最適化の方向性を口頭で説明できるかどうかは大きな差になります。「この部分はハッシュマップを使えばO(1)のルックアップに改善できます」と言えるだけで、問題に対する理解度の深さをアピールできるのです。

そういえば、自分のコードを「面接官の目」で見直す練習も有効です。変数名はわかりやすいか、ロジックの流れは追いやすいか、エッジケースの処理は漏れていないか。面接官が初見でこのコードを見たとき、何を思うだろうかと想像してみてください。この視点の転換が、コードの品質とプレゼンテーション力の向上に直結します。

練習パートナーを見つける方法

一人での練習にも限界があります。可能であれば、練習パートナーを見つけて定期的に模擬面接をし合うのが理想です。同じく面接準備をしているエンジニア仲間がいれば、お互いに面接官役と候補者役を交代で務めることで、双方にとって有益な練習になります。

練習パートナーの見つけ方はいくつかあります。同僚や友人に声をかけるのが最も手軽ですが、周囲に適当な相手がいない場合はオンラインコミュニティを活用しましょう。Discordのプログラミング系サーバーや、connpassやMeetup.comで開催されている面接対策の勉強会に参加するのも手です。Prampというサービスは、面接練習に特化したマッチングプラットフォームで、世界中のエンジニアとペアを組んで模擬面接ができます。

ところで、練習パートナーとの模擬面接では、率直なフィードバックを交換することが何よりも大切です。「うまくいっていたと思います」という曖昧なフィードバックよりも、「配列のソートが必要な場面で計算量に触れなかったのが気になりました」という具体的な指摘の方が成長につながります。フィードバックを受けるときは、防御的にならずに素直に聞く姿勢を意識しましょう。

練習の記録と進捗管理

地道な練習を続けるには、自分の進歩を可視化する仕組みが必要です。どれだけ上達しているかがわからないと、モチベーションを維持するのが難しくなります。

練習ログの付け方

練習した日付、取り組んだ問題、かかった時間、解けたかどうか、学んだことをシンプルなスプレッドシートに記録していきましょう。Notion、Google Sheets、手書きのノートなど、自分が続けやすい方法であれば何でも構いません。大切なのは、毎回の練習後に振り返りの時間を5分でも取ることです。

記録を続けていると、自分の得意分野と苦手分野が数字として見えてきます。「グラフ関連の問題は正答率が低い」「文字列操作の問題は時間がかかりすぎる」といった傾向が明らかになれば、練習の優先順位を調整できます。闇雲にたくさんの問題を解くよりも、弱点を集中的に補強する方がはるかに効率的な対策です。

実は、練習を習慣化するには「量」よりも「頻度」を重視した方がよいという研究結果があります。週末にまとめて5時間練習するよりも、毎日30分ずつ7日間練習する方が、知識の定着率が高いのです。通勤時間にアルゴリズムのパターンを頭の中で反芻したり、昼休みに1問だけ解いたりする「スキマ時間の活用」も、積み重なれば大きな差になります。

面接本番までのマイルストーン設定

面接日が決まっている場合は、逆算してマイルストーンを設定するのが効果的です。「2週間前までにEasyレベルを全問クリア」「1週間前までにMediumレベルの正答率70%達成」「3日前から模擬面接を2回実施」といった具体的な目標を立てることで、日々の練習に目的意識が生まれます。

マイルストーンを設定する際に忘れがちなのが、「復習日」の確保です。新しい問題ばかり解き続けると、以前解いた問題のパターンを忘れてしまうことがあります。3〜4日に1回は「これまで解いた問題を振り返る日」を設けて、忘れかけているパターンを再確認しましょう。エビングハウスの忘却曲線を意識した復習サイクルを組み込むことで、知識が長期記憶に定着しやすくなります。

面接直前の2〜3日は、新しい問題には手を出さず、これまでの総復習とリラックスに充てるのが賢明です。この時期に解けない難問に出会ってしまうと、不安が一気に膨らんでしまいます。「自分はこれだけ準備してきた」という自信を胸に、コンディションを整えることに集中してください。練習は本番で最高のパフォーマンスを発揮するための手段であって、練習自体が目的ではないのですから。

まとめ

自宅でホワイトボードコーディングを練習するための方法とツールは、物理的なものからデジタルまで幅広い選択肢があります。壁掛けボードやホワイトボードシートといった物理的なツール、iPadやオンラインホワイトボードといったデジタルツール、そして練習パートナーとの模擬面接。これらを自分の環境や予算に合わせて組み合わせることで、効果的な練習環境を構築できます。

ツールと同じくらい大切なのが、練習の方法そのものです。声に出しながら書く習慣、時間制限を設けた実戦形式の練習、段階的な難易度設計、そして継続的な記録と振り返り。これらを意識した練習を積み重ねることで、ホワイトボードの前に立ったときに自信を持ってマーカーを握れるようになるはずです。

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